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トゥルー・クライム

クリント・イーストウッド主演監督作品。
死刑囚フランク・ビーチャム。黒人の彼は、コンビニに勤める黒人女性店員エイミーを強盗に入り射殺したという罪状で、収監されていた。彼にはエイミーから金を借り、返済が滞って、催促されていたという動機があった。
だがフランクは無罪、冤罪を主張。しかし証言を覆す証拠は無く、死刑執行が迫っていた。フランクを気にして彼の事を取り上げた記事を書いた記者ミシェルは、編集長のアランにボツにされ、酒場で、職場の大先輩で同僚でありながら閑職の飲んだくれ、スティーブ・エベレットに愚痴り、再起を誓うが、帰宅するための車を運転中、交通事故を起こして死亡してしまう。
アランはミシェルの後釜にスティーブを据え、スティーブはミシェルの仕事を引き継ぐが、フランクの事件概要を眺めると疑問を持ち、事件があったコンビニに出向く。
だが、あまり家庭を顧みないため、妻バーバラにせっつかれていた幼い娘ケイティーを動物園に連れていくために一度帰宅すると、点いていたテレビに、事件当時、コンビニを訪れたデイル(白人)がインタビューを受けているのが映り、電話でデイルに取材を要請。許可が取れ、時間の都合があり、スティーブは動物園でケイティーをべビーカーに乗せ、高速であちこちを回り、ケイティーにケガをさせてしまい、連れ帰ってバーバラに叱られ、平謝りし、デイルの下へと向かう。
スティーブはデイルに目撃証言を訊ねる。デイルは現場で、倒れたエイミーの傍らで、銃を下げるフランクを見たと証言。だが、先ほどのコンビニの取材で、当時から働く店員からの聞き取りでスティーブが作った見取り図では、デイルの視点からでは、ポテトチップの陳列台が邪魔して、フランクの手元は見えないはずだった。

結末 ネタバレ注意

突っ込まれたデイルは怒ってしまい、取材は中止。帰社したスティーブはアランから、同僚ボブの妻と不倫した事を叱られるが、かまわずフランクの冤罪説を主張。その説に揺らいだアランは、ミシェルの二の舞を恐れ、証拠を重視し、掴むよう命令する。
スティーブは刑務所を訪ね、フランクに取材。事件の日、フランクはトイレに居り、エイミーと犯人の口論と銃声を聞き、飛び出し、犯人逃走後エイミーを手当てしようとしたが、パニックになり、逃げてしまったという。スティーブは更に詳しく話を聞こうとするが、面会時間が終わり、プランキット刑務所長に「死刑囚に妙な希望を与えるな」とたしなめられ、追い出される。
スティーブは担当検事に詰め寄り、当時目撃されたコーラを買いに来た少年が真犯人であると主張するが、取り合ってもらえない。アランとボブに注意されるスティーブ、当時、検事はその少年を聴取していた、だが、その少年の事は教えてはもらえなかった。その熱意に呆れるアランに、スティーブは自分のクビを賭ける。
ミシェルの取材メモをまさぐったスティーブは、その少年、ウォーレン・ラッセル(黒人)の名を見つける。スティーブはウォーレンの祖母アンジェラを訪ね、ウォーレンに会わせるよう詰め寄るが、不良だった彼はあの事件の後、些細なケンカがきっかけで、命を落とし、今は土の下にいた。
失意のスティーブは車で帰宅中、ラジオからフランクが罪を認めたというニュースが流れ、動揺。だがそれは、思い込みをしていたミラーマン牧師が遺族を慰めるために勝手にやった事で、プランキット所長はミラーマンを叱責した。
バーバラに別れを告げられ、バーで飲んだくれるスティーブ。事件を振り返る特集をするテレビを見ていたスティーブは、当時エイミーの付けていたペンダントが現場からなくなったと聞き、テレビに映るペンダントを、スティーブはアンジェラの首に見ていた。
スティーブは車を飛ばし、同じくテレビを見て気付いたアンジェラを乗せ、車を走らせる。死刑執行まで、あと30分。
フランクは死刑台で、最期を言い渡される。マジックミラー越しに大勢に見られる中、フランクは段階的に薬を投与されていくのだった。
スティーブとアンジェラは、エイミーの両親にペンダントを見せ、確認を求める。
刑務所。死刑が進む中、電話が鳴る。報告を受けたプランキットは、急いで死刑執行を取り止めた。
クリスマス、スティーブは娘へのプレゼントを購入。外に出ると、新聞にはスティーブがピューリッツァー賞の候補になったと文字が躍る。そしてスティーブは、家族と過ごすフランクを見つけ、目が合い、会釈を交わした。
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管理人の批評

1999年、アメリカの作品です。
ガンマンや刑事から離れたクリントが挑んだ社会派作品です。
95年の「マディソン郡の橋」(カメラマン)、97年の「目撃」(泥棒)から更に、映画監督、役者として解き放たれたクリントが挑戦した作品の一つ。社会派であり、エンターテインメントとしての形もしっかり作っている。さすがの才能です。
物語はミステリーの基礎を押さえつつ、余分な物を進むに連れてはぎ取っていきます。そして最後の証拠が見つかってからのスピード感。まさに証拠が見つかるシーンの為にある映画と言っていいでしょう。
ミシェルの仇打ちであり、スティーブ自身の再起であり、フランクの無念を晴らそうという正義。とっかかりが多く、見ている方はどれかに引っ掛かるのではないでしょうか?
エンターテインメント上のありがちなパターンなので、解説すると、警察が目撃証言だけで捜査をして容疑者を捕まえ、ミシェルが違和感を感じる。だがその正体がつかめず、情報収集のみに終わる。そしてスティーブが実地検証をして初めて、真相に気付く。これはミステリー、サスペンス物の常道パターンと言っていいでしょう。
大概、警察は目撃証言や動機のみで間違った犯人を捕まえる。それを主人公が違和感から、現場の証拠や徹底した聞き込み、実地検証によって真犯人へと辿っていく。もちろん本物の警察は、主人公のやり方をやっていますのでご心配なく。あなたも推理物を書くときは、参考にしてください。
クレジットを見ますと、ケイティー役の女の子はイーストウッド姓なので、クリントの身内と考えられます。