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男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(17)

渥美清主演 山田洋次監督作品。
叔父と叔母、満男を丸呑みし、源公の下半身を喰いちぎった人喰い鮫を追い、洋上で燃料尽きる寅次郎船長。叔父と叔母に呼ばれたと気がふれたさくらが食べられ、遂に鮫に襲われる寅次郎船長。その時、
子供に起こされた寅次郎は釣竿を引き上げ、釣った小魚に咬まれた。
土手で子供のチャンバラに混ざって、泣かし、その子の親父とケンカする寅次郎。
満男が小学校に入学し、帰った寅次郎も祝う事にするが、さくらが泣いて学校から戻り、寅次郎の甥という事で笑われたと話し、バカにされ、説教された寅次郎はケンカになり、出て行ってしまう。
その夜、寅次郎は上野から電話して、忘れたカバンを届けるようさくらに頼むが、さくらの反省に促され、戻る事にする。
だが、居酒屋で無銭飲食した老人の味方になり、勘定を受け持ち、老人を連れ帰り、叔父叔母は仕方なく泊めてやる。
厚かましい老人をよそに、寅次郎は大師の縁日の仕事に睡魔が邪魔し身が入らず、早々に引き揚げる。
帰った寅次郎は愚痴を聞かされ、寅次郎は謝りつつも、鰻を所望して出て行った老人の味方をする。
すると老人が酔っぱらって帰還。鰻を食べており、寅次郎は6千円の勘定を払う事に。
翌朝、寅次郎は老人に説教し、宿屋じゃないと気付き、反省し、紙と筆を求め、絵を描き、神田の大雅堂へ持っていくよう渡す。
たまたま神田明神に用があった寅次郎は渋々行き絵を渡すと、主人は血相を変え、途端に7万円で買うと渡し、寅次郎はあの老人が日本画の大家、池ノ内青観と知り、打ち出の小槌が手に入ったと喜び帰宅するが、青観は既に帰った後だった。
その夜、寅次郎たちは後悔し、たこ社長はお目にかかれなかった事を嘆く。
すると満男が遊んでいる時に青観に書いてもらった絵を出し、社長と寅次郎が引っ張り合い、破れ、ケンカ。たこ社長は泣き、寅次郎は出て行った。
さくらは青観の家を訪ね、お金を返すが、青観は龍野へ仕事に行っていた。
その頃、龍野観光課の車に乗せられ案内される青観は車を止めさせ、歩いていた寅次郎を知り合いだからと同乗させた。

結末 ネタバレ注意

市役所で挨拶された後、宴会の食事の芋を転がして注目を浴びる。
座が開け、芸者のぼたんから、観光課の係員がこの辺りの殿様の子孫で、課長が足軽の子孫と笑い話を聞かされる。
翌朝、二日酔いの寅次郎は課長に起こされ、青観の代わりに観光へ。そして昼食でぼたんと再会する。
一方、青観は一人で志乃を訪ね、互いに過去を語った。
そしてぼたんの熱烈な見送りで、2人は龍野を後にした。
柴又に戻った寅次郎は、龍野での接待に心奪われ、色惚けしていると、ぼたんが訪ねて来て、結婚の約束を口にし、皆は驚く。
ぼたんはたこ社長の宴会に頼まれる。
翌日、寅次郎がおもちゃを売っている頃、ぼたんは東京の街を歩く。
帰宅したぼたんは200万円を貸して、取り立てに来た事を打ち明け、電話に出た鬼頭に怒りをぶつける。
鬼頭は貧乏なふりをしてぼたんを騙し、会社が潰れたと逃げ、多くの被害者がいるという。
憤る寅次郎を皆で抑え、多少の心得のある社長に付き添ってもらい、ぼたんは鬼頭のマンションを訪ねるが、警備員に門前払いされ、鬼頭がオーナーの店で待ち伏せ。
横柄で狡猾な鬼頭は財産の名義を変え、態度を変えない。
泣き寝入りして帰ってきた2人に、寅次郎は犯罪者になる覚悟で飛び出すが、家も店も知らない。だがその姿勢に感激するぼたん。
寅次郎はやむなく青観に大金の為に画を描いてもらおうと頼むが、断られ、捨て台詞を吐く。
ぼたんが龍野へ帰り、さくらと源は上野へ寅次郎のカバンを届ける。寅次郎は源にラーメンをおごり、出立した。
夏が来て、青観がとらやを訪れるが、寅次郎が不在だったので帰る。
一方、寅次郎は龍野でアイスキャンデーを齧っていると、ぼたんを見つけ声を掛け、ぼたんは静観から届いたという絵を見せる。
課長が200万で融通を願ったが、1000万円でも売らないと宣言した。
寅次郎は外に出て、東京に向け手を合わせようとしたが、方角が定まらず、くるくる回った。
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管理人の批評

1976年、日本松竹の作品です。
共演:太地喜和子 宇野重吉 寺尾聰 桜井センリ 久米明 佐野浅夫
この作品はあるアンケートで「男はつらいよ」シリーズの好きな作品ランキングで、栄えある第1位に選ばれた作品です。
なんと言っても宇野重吉・寺尾聰の親子共演。決して時間は長くないですが、かなりの貴重さと、お芝居の見せ合いは必見です。
そしてもう一つは悪役の佐野浅夫氏の名演技です。佐野氏と言えば後に日本の善玉中の善玉、水戸黄門を長きにわたり演じているという今だからこそ逆に面白い。
そしてここまではっきりとした悪役が出るのは「男はつらいよ」では相当珍しい事なのです。寅さんに解決できませんから。
とにかくこの作品は「男はつらいよ」シリーズ中でもかなり話の完成度が高い、しっかりし過ぎた作品だと言えます。あまりにもドラマティックでありつつ、その実、寅さんには何の変化も無い(とらやの連中も含めて後に何も残らない)。
オープニングで見せた寅さんの夢物語のモチーフはスティーブン・スピルバーグの傑作『ジョーズ』です。鮫が襲う所では敢えて音楽を消すという手法の素晴らしさを淀川長治さんが解説しておられました事でも有名ですね。
『男はつらいよ』に興味の無い、もしくは薄れていた方ならば、せめてこれを見てから、もう一度、離れるかどうかを考えてください。