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男はつらいよ 翔んでる寅次郎(23)

渥美清主演 山田洋次監督作品。
妹のさくらを嫌な目に遭わせながら、便秘薬の研究に励む兄の寅次郎博士。食事に出た芋の繊維質にヒントを得て、薬を注ぐと、大爆発した。
看護師に呼ばれて目覚めた寅次郎は、処方された便秘薬を服用して、病院を後にした、と思いきや、便意に病院へ戻され、トイレへ駆け込んだ。
柴又に戻った寅次郎は、財布を拾おうとして、子供の悪戯にやられて怒り、追いかけてぶつかったアベック同志をケンカさせた。
朝日印刷の同僚の中村が結婚し、さくら夫婦とたこ社長がとらやへ。そこに憎まれ口を叩いた寅次郎は、おいちゃんに叱られてしまい、おいちゃんへの土産をさくらへ預ける。
夕食時、おいちゃんは化粧水を貰うが、頭に付けるものと勘違いし、一方、寅次郎は反省し、社長に詫びる。
寅次郎は満男に勉強を頑張るよう励まし、三重丸を貰ったという作文を朗読する。だが両親の事かと思いきや、寅次郎に困らされているという内容に怒り、暴れる。
それに満男が泣きだし、寅次郎は飛び出した。
北海道で仕事をし、終えて景色を眺める寅次郎。若い女性(桃井かおり)に声を掛けられた寅次郎は、「若い娘が気易く男に声を掛けるな」とたしなめた。
とらやでは、満男に寅次郎から鉛筆のプレゼントが届き、中村がハネムーンから帰ってきた。
寅次郎に声を掛けた女性は車がガス欠に陥り、通りがかった男性に助けてもらい、男の車で近くのガソリンスタンドまで。のはずが、車が止まり、その男に襲われる。なんとか逃げだした女性は通りかかった寅次郎の後ろに隠れ、男は間抜けにも自滅し、逃走。寅次郎と女性は同道するが、女性は男の車に自分の荷物を乗せたままなのを思い出し、落ち込む。
そして宿に辿り着くと、なんと主人はあの男。若い女性は警察への通報をちらつかせ、寅次郎もタダで泊まる。
夕食を終え、若い女性・入江ひとみは結婚を控えているが、気乗りせず悩んでいた。寅次郎はひとみを勇気づけ、とらやを教えた。
翌朝、主人にひとみの車を取りに行かせ、ひとみは出立。寅次郎は迷惑そうな主人を気にせず、逗留延長を決める。
ひとみは新郎・小柳邦男(布施明)との結婚式と披露宴を迎え、お色直しでウェディングドレスに着替えさせられ、タクシーで逃亡した。
とらやには、ひとみからの葉書が届き、おいちゃんとさくらは驚く。そこに寅次郎が帰って来たのでそれを見せると、寅次郎は心配。すると店の前にタクシーが止まり、ひとみが現れ、寅次郎は泣くひとみを匿う事にするのだった。

結末 ネタバレ注意

寅次郎はひとみの着替えなどを用意し、とらやの家族に話を付ける。ひとみは疲れてかうたた寝していた。そして源公は鐘撞きに遅れ、罰として御前様に鐘の中に入れられ、鐘の音を聞かされる。
翌日、ひとみの母がとらやに来て説得するが、ひとみは帰ろうとはしない。披露宴をぶち壊し、相手に迷惑を掛けた事を反省するひとみだが、結婚には絶望を感じていた。
結婚についての話になり、たこ社長は結婚式の時、見合いの時と嫁が別人で、妹から姉に変わっていた事に困ったが、仲人への借金などもあって、逃げられなかったという。
ひとみと寅次郎が河原から帰宅すると、とらやには邦男が。ひとみは顔を覆って2階へ上ってしまい、寅次郎が邦男を誘って喫茶店へ。戻って来た寅次郎は、ひとみに邦男のひとみへの愛を伝えた。
雨の日、邦男はひとみを呼び出して会い、ひとみは得意の英会話を活かして自活すると言い、そんなひとみに邦男は、実父の経営する大会社を辞職したと告白。
一人暮らしを始めた邦男のアパートに、邦男の妹が訪れ、実家とはかけ離れたみすぼらしさに、かわいそうがられる。
邦男は自動車工場で働きはじめ、ひとみは寅次郎に頼んで、たこ社長にツケで英会話講師のチラシを刷ってもらう。
昼休みに邦男がとらやへ。ひとみは不在で寅次郎は追い返すが、ひとみが戻り、だがひとみは2階へ。寅次郎は邦男を呑みに誘う。
母に叱られたひとみは、邦男のアパートを訪ねると、わびしくカップヌードルを啜る邦男が。
邦男は反省し、初めてひとみに愛の告白をし、ひとみはキスを求めた。
とらやでは、ひとみへのプレゼントを買った寅次郎が待っていると、ひとみが帰り、邦男と結婚を宣言し、寅次郎に仲人を頼む。寅次郎はまた旅に出ようとして、さくらに必死で止められ、仲人を務める。
結婚式披露宴は柴又の川子家で行われ、挨拶を求められた仲人の寅次郎は、メモを失くしてしまい、下品な挨拶で場を盛り上げる。
御前様が高砂を披露し、ひとみは人の気持ちを考える事を教えてくれた寅次郎に感謝し、プレゼントのネックレスに誓った。
そして邦男がギターで歌を披露し、気持ちを唄い、邦男の涙に皆も涙した。
夏が来て、とらやにひとみの母が訪れ、新婚生活をする2人の様子を訊ねに現れた。
寅次郎は北海道で、あの宿の主人と再会し、宿をたかった。
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管理人の批評

1979年、日本松竹の作品です。
共演:桃井かおり 布施明 木暮美千代
桃井かおりさんと言えば、山田監督の「幸福の黄色いハンカチ」では重要な役割を務め、故・松田優作さんとは養成所時代からのライバルだったというほど演技に対して強いこだわりを持つ女優さんとして有名です。
現在は外国に居を移し、長期ビザ(グリーンカード)も所持。そしてようやく結婚されましたが、お相手は海外での学生時代、好意を抱いていた男性だそうです。
今作のひとみはカリフォルニア大学卒業という経歴を持っていますが、山田監督は桃井さんのそこを活かして脚本を書いたと思われます。
一方、布施明さんは「シクラメンのかほり」「君は薔薇より美しい」で紅白歌合戦にも出場された歌手・俳優です。正直本作にてギターを弾いて唄う豪華な姿に、感動してしまいました。
ただ豪華な2人がカッコよく映る事に、寅さんの芸人的な三枚目さが浮き彫りになり、やはり芸人というのは「庶民のスター」であり、バラエティーでの芸人天下は当然だと感じました。
寅さんはシリーズを通じて、夏の暑さを避けるため北海道まで足を伸ばしますが、当時の北海道がどんなものだったのか、データが欲しいものです。