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男はつらいよ 寅次郎春の夢(24)

渥美清主演 山田洋次監督作品。
1930年代、大恐慌の波が押し寄せるサンフランシスコのチャイナタウンに、お尋ね者の寅次郎が撃たれて酒場へ飛び込んできた。水をくれた優しい女中に、妹へ渡す御守を託す寅次郎。だがその女中こそ、妹のさくらだった。
追手のFBIが現れ、威嚇射撃を放つが、天井のファンを落とし、ぶつかり気絶。博の船で寅次郎はさくらと日本へ渡った。
渡し舟の中で眠っていた寅次郎は、席からずり落ち目覚めた。
河原でテニスサークルと女子運動部の練習に目を取られた寅次郎だが、彼女達が一斉にブルマー姿になったため足早に去る。
さくらは英会話教室の講師めぐみに満男の遅刻を詫び、挨拶をしてからとらやへ。
おばちゃんは貰い物の葡萄を広げ、すると寅次郎がすんなりと帰宅し、お土産を出したがそれは葡萄。寅次郎は自室で被った事に気付き、更に博が社長のお裾分けで武道を貰って追い討ちを掛けた。
夜、塾から帰って来た満男に英語を使われ、社長が「動物園からトラが逃げた、トラが逃げた」と騒ぎ、バカにされた感じがして寅次郎は怒り、出て行った。
帝釈天に外国人が現れ、困った御前様はとらやへ彼を連れ、たまたま居合わせためぐみの母・圭子が受け答え、彼が泊まるところを探していた事がわかるが、近くに宿泊所は無く、御前様の頼みでとらやに泊める事になる。
外国人男性はマイケルと言い、ビタミン剤を売り歩くセールスマンながら、金欠気味だった。

結末 ネタバレ注意

寅次郎が四国で仲間達と商売をしている頃、とらやでは下宿中のマイケルが母をハワイへ連れて行こうと思っているが、仕事が難しく儲からないという事情を知るほど、すっかり打ち解けていたが、心配の種である寅次郎が帰宅。女房に逃げられた仲間を見て家族が恋しくなった寅次郎はすっかり長居をするつもりだった。
ひょんなことからアメリカ嫌いだと口にした寅次郎の前に、マイケルが現れ、驚く寅次郎だった。。
相変わらずマイケルの商売は上手くいかず、寅次郎はそんなマイケルの帰りを待ち構えていると、圭子とめぐみ親子が現れ、寅次郎は圭子に一目惚れ。更に圭子が未亡人と知り、浮かれる。
翌朝、寅次郎はマイケルの口に3つも梅干を放り込み、一泡吹かせる。
圭子を訪ねると、改築が捗らないらしく、担当の大工が旧友と知り、尻を叩く。
商売がうまくいかないマイケルは、優しにほだされ、ついさくらを抱きしめてしまい、それを見た寅次郎は怒り、ケンカになると、さくらが泣きだし、マイケルは寅次郎がさくらの兄と知り、反省して出て行こうとするのを、寅次郎から和解。社長と酒を飲みに行き、帰ってきても騒いでいた。
マイケルの母から手紙が届き、心配だから、早く帰って身を固めろ、という内容だったが、肝心のマイケルは関西へと足を延ばしていた。そこで旅一座の大空小百合に誘われたマイケルは芝居見物し、蝶々夫人に自分とさくらを重ねて、感動していた。
一方、圭子とめぐみを夕食に誘い、寅次郎は昼から2人の来訪を待ち焦がれる。
たこ社長の所の工員がめぐみに惚れているという事から、恋愛の話をする。
商売がうまくいかず、雨に降られて帰って来たマイケルは、母の手紙を読み、帰郷を口にする。そしてさくらに愛を伝えるが、振られ、悔やむ。
一方、圭子の家に雨宿りしていた寅次郎も、タンカーの船長をしている柳田が現れ、めぐみから、父になるかもしれないと聞かされ、引き上げる。
帰宅した寅次郎は、さくらがマイケルに告白され、断ったと知り、状況を察し、マイケルと寅次郎は連れ立って出発しする事に。
マイケルはさくらに詫び、寅次郎と上野へ。寅次郎はさくらに電話で、博には言うなと口止めし、始発まで飲み、マイケルに御守を渡して別れた。
機上でマイケルは客室乗務員に、眼下の川の名を訊ね、江戸川を見つめた。
正月になり、めぐみは工員たちとスキーへ。マイケルはアリゾナでさくらの写真に思いを馳せながら仕事をしており、寅次郎は仲間に新しい女房が出来て、呆れてから、仕事に励んだ。
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管理人の批評

1979年、日本松竹の作品です。
共演:香川京子 ハーブ・エデルマン 林寛子 梅野泰靖
ハーブ・エデルマンと聞いて、ほとんどの人はピンと来ない役者さんですが、他に日本に馴染みの深い出演作品が、ジャッキー・チェン、サモ・ハン、ユン・ピョウ主演の『スパルタンX』に探偵事務所所長として出ているそうで、どうやら、アジア地域を中心に活動されたそうですが、それ以上の情報は無く、言葉の壁の多い地域で、特に日本語や香港の英語など変わったところで、このような活動をするのはかなり珍しい俳優さんです。
林寛子さんは90年代にはバラエティーなどでよくお見かけしましたが、離婚後はテレビ出演も減り、スナックを経営されているそうです。
梅野泰靖(ひろやす)さんは『古畑任三郎』新シリーズ『若旦那の犯罪』でお師匠さん役で出演されている、ベテラン俳優さんです。『刑事コロンボ』の犯人役の吹き替えをなさったこともあります。
ブルマーとは、女性用の下半身用体操着の事ですが、その形状はホットパンツの裾を絞ったようなもので、女性の下半身を大きく露出し、臀部の形などもはっきりと露わになり、いやらしい目線で見られる事もあり、不評でした。現在は男女共に膝丈のハーフパンツが主流となっております。
この当時は外国人(アメリカ人)は珍しいですが、今の日本では多種多様な外国人が多く滞在しており、下町といえども外国人が住まれている事は珍しくありません。
軍関係の米国人、労働力としてのアジア人やブラジル人、更には日本の事が好き過ぎて日本独特の職業に就く方も増えています。
問題は交流があるのかどうかです。確かに「おもてなし」で外国語、主に英語を受け答え程度に話せる人は増えてきましたが、それは仕事であり、一方で日本にうち溶けている外国人のほとんどが「日本好き」の人に限られているような気がします。日本語が話せるとは言え、外国人を下宿させるという「とらや」の人たちの心の広さに脱帽し、自分の矮小さが情けなくなります。