トップページ

紹介映画リスト

管理人コラムへ

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花(25)

渥美清主演 山田洋次監督作品。
江戸時代、悪徳商人の御金蔵を狙う大泥棒・鼠小僧寅吉は、仕事を終えて逃走中、咄嗟に隠れる為に入った家の貧しい夫婦に礼金を渡すが、夫婦が柴又村出身で奥方の名がおさくと知り、彼女に生き別れの兄・寅次郎がいると驚くが、追手が迫り、役人に囲まれ、名乗りを上げて拍手を貰った。
土蔵で昼寝をしていた寅次郎は、笛の音に驚いて身構えるが、子供の遊びだった。避暑地を歩いた。
草団子用のヨモギを手摘みではなく、仕入れるようになったとらや。たこ社長は税務署に小細工がばれ、配達までやるようになった博がその届け先でリリーと再会する。挨拶し、招待しようと誘ったが、忙しかった。
その夜、ちょうど寅次郎から電話が入り、あった事を伝え、リリーの事を思い出す寅次郎。
一ヵ月後、寅次郎が柴又に戻り、水元公園にあやめを見に行こうとしていたとらやのみんなが引き返す事になり、不機嫌になってケンカ。寅次郎は出て行こうとするが、ついさっき届いた速達がリリーからの物と知り、病気で入院中と知った寅次郎は飛び出そうとするが、入院先は沖縄県那覇市。一刻も早く行きたいものの、出された飛行機案に駄々をこね、近所中の人や御前様に説得され、翌朝、羽田へ。
空港前でまだ駄々をこねる寅次郎だったが、美人スチュワーデスに惹かれ搭乗。到着するやフラフラで、車椅子で病院へ。
ベッドを間違えて語りかけるが、再会を果たし、寅次郎の来訪にリリーは感動。寅次郎が甲斐甲斐しく世話を焼き、2人は仲むつまじさを見せつける。見舞いの合間に商売をする寅次郎。医者の言いつけを守り、笑顔が溢れるリリーは快復する。
とらやに、退院したリリーから手紙が届く。寅次郎とリリーは部屋を借り、同棲していると知り、一同は驚いた。

結末 ネタバレ注意

寅次郎とリリーの2人は母子家庭の離れに暮らしていた。
沖縄の暑さに参った寅次郎は、涼を求めて、仕事に行く大家の長男・高志の車で海洋博の水族館へ。そこでイルカと美人ダイバー・かおりとおしゃべりして過ごす。
一方、リリーは高志に車で通院の送迎をしてもらい、街で仕事を探すが安過ぎた。
高志はリリーに寅次郎を選ぶのはやめろと忠告するが、反省して謝る。
かおりを送り寅次郎は帰宅。そんな姿にリリーは嫉妬してか結婚をほのめかすが、寅次郎は踏み切れず、高志が入ってリリーの肩を持ち、寅次郎と高志はケンカ。リリーの怒声で寅次郎は出て行った。
翌朝、戻って来た寅次郎は謝る気でいたが、リリーは既に出立。寅次郎は急いで後を追う。
柴又で寅次郎とリリーの事を心配していると、とらやに寅次郎が生き倒れで運ばれてくる。さくら達は空きっ腹におかゆをと考えていたが、寅次郎はおばちゃんの買ってきたうな重に飛びつき、皆が止めるのも効かず、夜には寿司に天ぷらそばを入れ、すっかり回復。寅次郎は経緯を説明し、みんなは寅次郎に、反省して所帯を持つよう勧める。だがリリーの行方はわからなかった。
後日、リリーが柴又に現れ、再会を祝して寅次郎と抱き合う。リリーのお土産はハイビスカス。沖縄の話をして、リリーは沖縄の歌を口ずさみ、寅次郎はつい、「リリー、俺と所帯を持つか?」と呟き、リリーもはっとするが、2人とも冗談にし、沖縄での接近は、熱に浮かされた事にする。
リリーを駅まで送り、答えようのない問いにああ答えるしかなかったリリーは、「また倒れたら会いに来て」と頼み、寅次郎も約束する。
とらやに戻った寅次郎も出立した。
夏の盆、高志から挨拶の手紙が届き、その頃の寅次郎は旅先でバスを待っていると、バンドマン達と一緒に仕事用のバスに乗るリリーと再会。同道する事にした。
DVD通販 DVD/CDレンタル

管理人の批評

1980年、日本松竹の作品です。
共演:浅丘ルリ子 江藤潤
今作は『男はつらいよ』シリーズ特別編も含めた全49作品のちょうど折り返しに当たり、奇しくも寅さんと密接な恋をしたリリーとのエピソードを描いた、シリーズ屈指の人気作です。
スチュワーデスというのは、現在ではCA(客室乗務員)の事を指す当時の言い方ですが、『スチュワーデス物語』や『スチュワーデス刑事』など、ドラマにもたびたび登場するほどの憧れの職業でありますが、その呼称が女性のみを指すという事で、職業の男女差別ではないかという論議が起こり、いつの間にか消えた呼称でございます。
沖縄のギャラの安さを嘆くリリーですが、沖縄の飲食に対する物価が、観光用と住民用ではかなりの差があるというのは知っておかなければなりません。宴会代一つ取っても、東京と沖縄では遥かに違う事、ならばギャラもそれに推移するという事を考えると、望みどおりにはいかないでしょう。
昔は江戸川河川敷にヨモギを摘みに行っていたとらやですが、いつの間にか仕入れになりました。80年代ともなると、食品衛生面についての厳しい見方があるかとは思いますが、少し寂しさを感じた方も多いのではないでしょうか?
寅さんはなぜ結ばれなかったのか?それは決してシリーズを伸ばしたくて山田監督や松竹が意地悪をしたわけではないとは思いますが、今の芸能界や、浅丘ルリ子さんを見てもわかる通り、芸人や水商売の仕事に就く人には自己の信念の強い、我の強い人が多い。そういう人同士が夫婦になると、どうしても人の意見ややり方を、多少受け入れられても従える人、結婚してパートナーの陰になろうと気持ちを切り替えられる人はほとんどいないという事を、描きたかったのかもしれません。