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男はつらいよ 寅次郎かもめ歌(26)

渥美清主演 山田洋次監督作品。
むかしむかし、村は天災にやられ、代官は生贄を差し出せと迫り、ある家では生贄となる美人の娘おさくを囲み泣いていると、虚無僧が現れ、箱の中に入れ替わり、やって来た代官達を仕置した。虚無僧はおさくに兄だと告白し、帰還の名乗りを上げた。
昼寝から覚めた寅次郎は、柱を池に落とし、子供に釣りの邪魔だと叱られた。
柴又に戻った寅次郎はボクサーにサインしてもらおうとねだるが断られ、貰った子供の物を取り上げようとして、コーチを突き飛ばし、ボクサーに当てケンカさせてしまった。
とらやに帰って来た寅次郎は、国勢調査に後ずさりするが、さくら達が中古の一軒家を買ったと聞き、新居を訪ね、自分の部屋が用意されていると知り、さくらにお金を包もうと考え、源公に借り、アイロンでしわをのばす。
寅次郎からの祝い金が2万円もあり、驚き皆は返そうとし、怒って寅次郎は飛び出した。
北海道に渡り、仲間を訪ねた寅次郎は、死んだ仲間がいると聞き、奥尻へ墓参り。
娘のすみれ(伊藤蘭)を訪ね、共に墓参りをした。
夜、宿にいる寅次郎の元をすみれが土産を持って訪ねてくる。すみれは東京に出て、働きながら定時制高校に通いたいと希望を口にし、寅次郎はとらやを教えた。
一方、とらやには警官の青山(米倉斉加年)が最近、田舎娘のかどわかしが横行していると、犯人のモンタージュを持ってくるが、それは寅次郎そっくりで、するとそこに寅次郎がすみれを連れて現れた。

結末 ネタバレ注意

青山は寅次郎を連行しようとし、寅次郎は怒ってケンカになるが、すみれが泣きながら説明し、納まった。
すみれの入浴中、寅次郎は皆に事情を説明。さくらと高校の願書を取りに行き、社長の知り合いのセブンイレブンへパートを決めた。
5日後の試験に向け、寅次郎は博とさくらにすみれの勉強を見させ、おばちゃんにお百度を踏ませる。
そして当日、送る途中、怖じけづくすみれを励まし、学校へ行くと、林先生に案内され、寅次郎は試験中、林に賄賂を握らせようとし、面接で追い出される。
そしてすみれは泣きべそをかいて帰って来た。
後日、見事試験に合格し、教科書を貰ったすみれは寅次郎に報告し、抱き合って喜び、祝宴ではすみれに唄ってもらう。
一方、奥尻にはすみれを訪ねて函館からバイクに乗った大工の男がやってくるが、すみれが不在で、すみれの元勤め先に行き先を訊ねた。
すみれは仕事と勉強を両立させ、寅次郎はすみれの送り迎えを行い、自転車をかっぱらう形に。
ある日、授業を外で観ていた寅次郎は中へ。
みんながトイレ掃除の詩の朗読に感動する中、寅次郎は居眠りしていた。
ある日、すみれの母親がとらやを訪れ、また一緒に暮らしたいと希望を伝え、お金を渡そうとするが、すみれは冷たくあしらう。だが母が去ると、さくらに背中を押されて後を追い、泣いていた母親に声を掛け、また別れた。
寅次郎は学生達に自分の話を聞かせ、学校を度々訪れる。
とらやにすみれの友達と名乗る男から電話が入り、すみれは大工の青年と再会。青年はヨリを戻そうと頼み、2人は抱き合った。
すみれは夜遅くなっても帰らず、寅次郎は心配する。そして朝帰りしたすみれは寅次郎に事情を説明し、結婚すると宣言。寅次郎は旅支度し、さくらにすみれの事を任せ、泣きつくすみれと別れた。
林先生を訪ねたさくらは、すみれが結婚しても通学するよう勧め、そして寅次郎の入学願書を、寅次郎は中学中退の為、夜間中学通学か認定試験を受ける必要があると、返した。
正月が来て、寅次郎は年賀状で源公への借金を先延ばしにすると告げ、とらやにはすみれが彼氏を連れ、3月に結婚式をするという。
その頃寅次郎は、阿波徳島で奥尻島のすみれの元勤め先のするめイカ工場のおばちゃん達の慰安旅行に遭遇。バスに乗せてもらった。
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管理人の批評

1980年、日本松竹の作品です。
共演:伊藤蘭 村田雄浩 梅津栄 あき竹城 米倉斉加年
やはり前作で区切りがあったのでしょうか、さくら一家が家を買うというビッグなイベントに新章の幕開けを感じます。
リアリティを追求するとはいえ、必ず撮らなければいけない、組まなければいけないセットが増えるというのは、正直面倒です。ですが、あえて踏み切った事にこの作品、シリーズの存続の成功があるのだと感じます。
マドンナの伊藤蘭さんはアイドルグループ・キャンディーズの元メンバー。「わたしたち、普通の女の子に戻ります」という解散宣言は今も語り継がれています。そしてテレビドラマで共演した俳優・水谷豊さんと結婚し、一女を儲けています。そして近年では、『少年H』での夫婦共演をするなど、夫婦揃っての出演をOKされる数少ない俳優さんです。
定時制高校と言えば、元不良や、経済的に困窮された人が通うというイメージですが、近年では、戦争などの理由で行けなかった高齢者も増えてきているそうです。
こういった事については同じく山田監督の『学校』シリーズをご覧ください。
奥尻島は北海道の南西部に位置する島です。大工の青年の函館からは近いようですが、北海道の距離を軽く考えていると痛い目を見ます。
法律上、未成年は結婚をすると、一人前の成人として扱われる事になります(ちなみに、男子18才、女子16才から)。今回の寅さんは交際相手というよりも、自分の娘のように可愛がっていたという側面が大きいのではないでしょうか?その娘に、頼る相手が他にいるとわかったからこそ、寅さんは潔く身を引いたのではないでしょうか?