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男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(27)

渥美清主演 山田洋次監督作品。
浦島伝説の夢を見て、玉手箱を開けて亀吉を老けさせた寅次郎は、目覚め、子供達の亀を買い取り、海に返そうとするが、亀に噛まれた。
柴又に戻り、サイクリングに興じる若者達の三角関係に巻き込まれた寅次郎は取り為し、一方さくらはバイクでとらやへ。社長がピンチで落ち込んでおり、のんきに帰って来た寅次郎とケンカして金策へ。
夜になっても、社長が戻らないため、心配になった寅次郎は源と江戸川沿いを捜し出す。
しかし社長は、浦安の仲間から先払いの仕事を貰い、一杯呑み帰宅。戻って来た寅次郎は社長に驚くも安心する。だが社長に掴みかかり、寅次郎は2階へ。
翌朝、さくらは寅次郎が早朝に出発してしまった事を、おばちゃんから知らされた。
瀬戸内海にいた寅次郎は、高台の墓地で昼食を摂っていると、墓参に来た美女・ふみと出逢い、主人の法要かと訊ねると、祖母だった。
祖母の初七日を終え、大阪へと帰る彼女と、互いに自己紹介をして別れた。
大阪・通天閣の新世界ホテルの知り合い・喜介の所へ一週間滞在していた寅次郎は、大阪での水中花売りが上手くいかず、そんな時、おみくじをしていたふみと再会。ふみが芸者と知り、姐さん方と4人でお茶をし、寅次郎はカッコつけるが、ふみに払ってもらう。
酔って送られた寅次郎は、ふみにチップを渡そうとして、ふみに叱られ、それを見た喜介や客もふみに心奪われる。
とらやには寅次郎から手紙が来たが、大阪嫌いのはずの寅次郎が楽しそうだという様子に皆不思議がっていた。

結末 ネタバレ注意

寅次郎とふみはデートで宝山寺詣り。絵馬を見た寅次郎は、ふみに行き別れの弟がいると知り、会いに行こうと即断し、タクシーで山下運輸へ。
トイレから出てきた課長を捕まえるが様子がおかしく、事務所で、先月に心臓発作で病死したと聞かされ、ふみはショックを受ける。
替わって寅次郎が挨拶をして辞去し、弟の住んでいたアパートで生前の思い出の品や婚約者と出会い、ふみは辛くて耐えられず帰る事に。
仕事に出るふみだったが、気分が悪くなり早退け。寝ていた寅次郎の元に酔ったふみが訪れ、寅次郎の脚に泣き崩れる。案内した喜介は逃げるように去って階段から落ち、頭をケガし、ふみはそのまま寝てしまい泊まる事に。だが寅次郎は喜介の部屋へ移動する。
ふみは早朝、こっそりと出立。置手紙には、突然訪ねて寅次郎に迷惑を掛けてしまったと詫びが書いてあり、いたたまれず寅次郎は出発。喜介に見送られたが、勘定の残りは必ず届けると詫びた。
とらやには源公が団子を買いに来て、関西弁に寅次郎の事を思いだすと、寅次郎が帰宅。寅次郎は関西弁を使って皆を驚かせ、食事が濃くて食べられないと恋煩い。皆に経緯を聞かせる。
源公の母が源公を産んですぐ男と逃げたという話を聞いている寅次郎は上の空。とらやにはふみが現れ、忙しい店を手伝い出す。
夕食後、外で済ませて来た寅次郎を隠れて驚かし、芸者を辞めて、対馬で結婚すると告白。相手は、仕事に出るふみを気遣った板前だった。彼は故郷に戻り、寿司屋をするという。その板前・マコトから電話が入り、宿へと帰っていった。
雷雨になり、寅次郎は惨めな気分になった。
夏になり、喜介がとらやに勘定の残りを取り立てに現れ、その頃寅次郎はふみ夫妻を訪ねていた。
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管理人の批評

1981年、日本松竹の作品です。
共演:松坂慶子 芦屋雁之助 斉藤洋介 正司照江・花江 笑福亭松鶴 大村崑 吉岡秀隆
さくらがバイクに乗るというのはかなり貴重です。元々家が近所なので、また仕事を終えた博はとらやで食事を摂って、さくら達と一緒に帰るはずなので、必要ありませんが、この頃は何かと必要だったのかもしれません。後に、満男が大学生になってから満男のバイクが登場しますが、それは今作とは何の関係もありません。
そして今作から、満男役が吉岡秀隆さんに代わり、以後48作まで、変わらず演じる事になります。
新世界というのは大阪の通天閣周辺の地名で、下町であり、また独特の雰囲気を持った町として、有名です。
水中花というのは花一輪を筒の中に挿し、水で埋め、膨張して見る感じを楽しむ置き物ですが、今作では、松坂慶子さんのヒット曲「愛の水中花」になぞらえて、扱っています。
芦屋雁之助さんと言えば、80年代から90年代にかけてはフジテレビ系ドラマ「裸の大将放浪記」の主人公・山下清役が当たり役の俳優さんです。かなり長期のドラマでしたので、ご記憶の方も多いと思われます。
新世界ホテルの泊まり客の1人、笑福亭松鶴師匠は、上方落語復興の立役者、上方落語四天王の一人で、笑福亭仁鶴、鶴光、鶴瓶師匠達の師匠に当たります。「らくだ」などを得意なネタとし、かなり「いらち」(関西の方言で怒りっぽい、せっかち)だったそうです。奥さまが元芸者であり、落語や所作などを弟子に教える事もあったそうです。
斉藤洋介さんは初期の「SMAP×SMAP」では、柴田理恵さん、横山めぐみさんとSMAPの脇を固め、現在ではそのしゃくれた容姿からバラエティーに出演される事も多い役者さんです。
今作は「男はつらいよ」としては異色であり、失敗であったと私は思います。全て松坂慶子さんに持っていかれてしまった気がします。また松坂慶子さんはマドンナとして出演されるのですが、リベンジに見えて仕方がありません。