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男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(30)

渥美清主演 山田洋次監督作品。
若者たちで賑わうブルックリン。この街のチンピラ、スケコマシのジュリーが声を掛けた女は、ブルックリンの寅の妹。現れた寅の貫録に圧倒され、ジュリーはナイフを投げ捨て、街は浄化された。
そんなミュージカル風な夢から目覚めた寅次郎は、寝ていた神社に来た老婆の参拝を手伝い、鈴を落とした。
江戸川でボーリング作業員とカップルを覗いた寅次郎。作業員は相棒に叱られ、ケンカになった。
とらやでは、さくらが御前様から松茸を貰い、喜んでいると、向かいの店の桃枝(朝岡雪路)が派手な格好をしており、旦那の稼ぎで羽振り良く暮らしており、そこに帰って来た幼なじみの寅次郎と軽い会話をした。
夕食時、松茸料理に対して意地汚い寅次郎に、不機嫌なおいちゃんは我慢の限界で、ケンカになり、つい「出てけ」と口にし、寅次郎も「それを言っちゃおしまいだよ」と仕度を整え出すが、なぜかはさくらは止めようとせず、寅次郎は旅立った。さくらの様子に、あてにしていたおいちゃんはびっくりするが、さくらも、おいちゃんが「出てけ」と言った事にびっくりし、泣きだした。
寅次郎は別府でハングライダーを見て、仲間の車で臼杵へ。
一方、湯平の旅館に二枚目の若者が来客し、仲居や女性客たちは色めく。すると、その旅館に主人の友人でもある寅次郎が来訪。若者は主人に素性を明かし、昔この旅館に母が勤めており、その母が亡くなった事を伝えにやって来ていた。
その母親が薄幸だったと聞いた寅次郎は、葬儀を企画し、取り仕切りだした。
参列者が多い方が良いと、女性客たちにも呼び掛け、葬儀を行うが、寅次郎は焼香でうっかり火を掴み、それが坊主の背中に入り、大慌て。
翌日、寅次郎は女性客たちと同道し駅へ。杵築で納骨を終えた若者が車で帰ると、昨日の女性客の1人を見つけ、昨日の礼に乗せて送ると声を掛けると、もう一人の女性客・ゆかりと寅次郎も現れ、乗っかる。
4人はサファリや遊園地を回り、別れのホーバークラフト乗り場で、三郎は螢子に突然告白。螢子は困ってしまい出発。呆れた寅次郎は一言指南し、感じ入った三郎は同道したいと申し出、呼びとめた。

結末 ネタバレ注意

2人はとらやへ帰宅し、招き上げられ、博が店の前の車を寺の駐車場へ片付ける為、許可を取りに御前様の元へ。
昼寝の後、寅次郎と三郎は互いに金持ちだと思っていたと告白。三郎は動物園の飼育員だった。
三郎はとらやの賑やかさに喜び、さくらと博の馴れ初めを訊ねる。だが自分のこれからの事となると、逃げるように帰ってしまった。寅次郎は三郎の頼みを考えるが、寅次郎もまた、螢子を想っていた。
そして螢子がとらやを訪れ、旅の写真を渡そうとするが、寅次郎は不在。写真を置いて、船橋の実家へ帰宅。螢子は病の母から、親戚から見合い話が届いていると伝えられた。
仕事を終えた螢子は、行きつけのバーに寅次郎を待たせ、再会。寅次郎は三郎の気持ちを伝えるが、螢子は、二枚目過ぎる三郎よりも、一緒にいて楽しい寅次郎の方がいいと、楽しんだ。
帰宅した寅次郎を待ち侘びていた三郎が迎え、寅次郎からの残念な結果に三郎は飛び出す。
後日、寅次郎に呼ばれた螢子は喜んで柴又へ。だがとらやでは、三郎がデートの段取りに焦り、寅次郎が手ほどきするが、螢子が到着し、芝居を忘れた寅次郎がバラしてしまう。
結局、三郎と螢子は江戸川へ行き、ぎこちなくも会話をする。
雨の日、とらやに湯布院から飲用の温泉が宅急便で届いた。
ある朝、螢子は見合いの断りを両親にすると、交際相手について訊ねられ、戸惑っていると、寅次郎から電話が入り、すぐさま逃げるように遊びに行く。両親は写真で男の顔を確認するが、それは寅次郎だった。
寅次郎は螢子の悲しみに浮足立ち、楽しい話を聞かせるが、螢子は三郎が内気なので気詰まりしており、寅次郎は男として三郎の肩を持つが、それは螢子も理解していた。三郎の事が好きゆえに将来を考え悩む気持ちを寅次郎は理解出来ず二階へ。代わりにさくらが螢子の未来への不安を理解する。
螢子は動物園へ行き、三郎と二人で観覧車へ。そこで三郎はプロポーズをし、2人はキスをした。
上首尾の報告にさくら達は喜ぶが、寅次郎は旅支度。失敗と思っていたが成功と知り、それはまたそれで悲しかった。
正月になり、三郎が仕事の為、螢子はとらやを手伝う。そこに九州から寅次郎の電話が入り、螢子は泣いて喜ぶ。小銭が切れた寅次郎は、商売に勤しんだ。
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管理人の批評

1982年、日本松竹の作品です。
共演:田中裕子 沢田研二 朝岡雪路 内田朝雄 馬渕晴子 アパッチけん(中本賢)
沢田研二さんはGS(グループサウンズ)全盛時代のスターで、サリーこと岸辺一徳さんらも所属するバンド「ザ・タイガース」のボーカルとして、ジュリーの愛称で人気を博しました。それは熱狂的人気であり、どれくらいすごいかというと、ドラマ「寺内貫太郎一家」の中で、樹木希林さんがテレビを見て「ジュリー」と叫ぶシーンがあり、それが話題になるくらいの凄さです。
この作品での共演で、田中裕子さんとの仲が深まり、結婚され、現在も続いています。当時、沢田研二さんは他の女性と結婚されていたのですが、そういったものを押し切り、現在の幸せを掴みました。
かつて島田紳助さんが司会をする番組にゲストで沢田さんが出演された時、事前にスタッフから田中さんとの関係についての質問はタブーとして禁止されたそうです。大概スターは守られ、庶民的な感覚の芸人は後々愚痴をこぼすものですが、この収録の時、沢田さんはかっこいいスターであるにもかかわらず、自身の失敗談や恥ずかしい話をたくさん喋り、紳助さんはその男気に感動されたそうです。
一方の田中裕子さんも女優としての活躍すさまじく、特に映画界においては、「夜叉」「ホタル」「あなたへ」など、高倉健さんとの数多い共演は、信頼と実績の高さを窺えさせます。
朝岡雪路さんは俳優・津川雅彦さんの奥様です。ですが結婚される以前から女優として芸能活動をされており、バラエティー「11PM」ではアシスタントとして出演し人気を博しました。世間知らずのお嬢様キャラや、服の上からでもわかる巨乳としても有名です。
アパッチけんこと、中本賢さんは「釣りバカ日誌」に出てくる釣り船「太田丸」の船長役で有名な俳優さんですが、なぜ当時この芸名かというと、清水アキラさん、桜金造さん、あご勇さんらとお笑いユニット「ハンダース」を組んでいたからです。その時の代表作がワイルドワンズの「想い出の渚」をものまねネタでカバーした「想い出の渚」です。
スケコマシとは、女の人を次々と自分の手にかける男性、今でいう「ナンパ師」でしょうか?ちなみに「スケ(女)をいてコマす」というわかりやすい言葉です。
工事におけるボーリングとは、工事に入る前に、事前に広さや高さを計測する事です。主に2人一組で行われ、一人が三脚付きカメラから覗いて計測し、もう一人が目安となる棒を持って対象の地点で準備しますので、なにより、意外と時間や手間が掛かるので、サボってる暇はありません。
今回寅さんは2人の恋をあれこれとお膳立てしますが、寅さんはやはり、どちらの事も好きになってしまったのでしょう。様々な感情が入り混じるという難しい演技をやってのけた渥美清の挑戦が、また一つ勝利に終わった事に感動です。