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釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!(16)

西田敏行主演 朝原雄三監督作品。
朝、みち子が電話を八に掛けている。八は仕方なく、遅刻の浜崎を船で送る。
営業三課課長だった佐々木が営業部次長に昇進。三課には新課長として海外帰りの岩田千吉が就任。挨拶ついでに引き継ぎを社長室で行い、岩田は余裕を見せるが、佐々木も人事部長も浜崎の事を気にしていた。
営業三課の朝礼中、重役出勤で現れた浜崎の便意の言い訳に、岩田は厳しく接し、うんこするなと言い放ち、浜崎は愕然。岩田は浜崎を夜、呑みの約束をつけると、去っていった。
夜、バーで2人呑みをしていると趣味の話になり、岩田は合図をして、ステージで得意のギターテクを見せ、唄う。
すると浜崎が乱入し、マイクを奪って、みち子との馴れ初めを唄い始めると、岩田は急に元気をなくす。かつて鈴木建設総務課のマドンナだったみち子さんに、岩田もまた恋をしていたのだった。
すると浜崎は電話をかけ、みち子と岩田を話させる。浜崎は唄って元気付けると、岩田もまた唄い出した。
そして夜遅く、帰宅した浜崎はみち子さんに介抱され、一方岩田は1人の部屋で魚の餌をこぼしたり、パソコンをつけたり、冷蔵庫の缶ビールを開けたりして、寝落ちした。
疲れが溜まっており、ストレスで荒れてしまった鈴木は、役員達の薦めで人間ドックと休暇を貰い、その休暇を利用して四国へお遍路に行こうと決める。
浜崎家を訪れた鈴木は、お遍路を断る浜崎を釣りで誘うが、浜崎には平日を休むための有給休暇が無く、呆れて鈴木は帰宅。浜崎は絶対休んでみせると意気込み、みち子は自分を殺して、忌引き休暇にしても構わないと、合体。
翌日、岩田はみち子が死んだ事に驚くが、休暇届に書かれた日付は明日。岩田はあまりに呆れて、許可を出した。
四国、よさこい祭りを眺めていた鈴木の携帯電話にみち子から連絡が入り、浜崎が来ると知る。すると浜崎が祭りの山車に乗って登場し、鈴木は呆れた。

結末 ネタバレ注意

お遍路を回り、歩き疲れた浜崎は先の遠さにタクシーをおねだり。許可をもらい、タクシーに駆け寄るが、運転手は不在で、捜していると、魚に逃げられる釣り人と言い合いになり、自ら腕前を披露。その釣り人が運転手で、浜崎は釣り場に連れてくようこっそり頼み、寝落ちしかけていた鈴木も許可した。
一方、岩田は浜崎の休暇で理由が「魚釣り」という事に怒った人事部長に営業三課で大目玉を食らう。
浜崎は運転手と海へ出て、見事イシダイを釣り上げる。そしてタクシーで宿へと向かう途中、早く休みたい浜崎は前を走るトラックを追い抜くよう指示し、追い抜くが、工事用の赤信号で止まると、追いついたトラックの運転手が降り、なんと女性で、すごい剣幕で3人を叱り、反省させた。運転手は久しぶりの「はちきん」と唖然とした。
その女性ドライバーはトラックを市場の漁協へ預け、バイクで帰宅。だが息子のリョウスケはゲームに夢中で素っ気ない。
そして浜崎達は宿に到着。部屋へと招き上げられると、女性ドライバー・ミサキと再会。その宿は彼女の実家だった。
夜、宴会での浜崎の歌に誘われ、珍しくリョウスケが顔を出し、ミサキが紹介すると、海が近いにもかかわらず、父親がいないせいか釣りをした事が無いと聞き、浜崎は釣りに誘い、翌日、ミサキと3人で釣りへ。釣り上げたリョウスケが笑顔を見せ、ミサキは泣いた。
一方、一人でお遍路を続ける鈴木は、とある寺で会社を倒産させた知り合いの元社長と再会。散っていった社員達の再就職を願っていたが、銀座のホステスと寺を回っていた。
夜、みち子と電話した後、浜崎はミサキと晩酌。つい手が触れ、良い雰囲気になり誘われそうになった浜崎を、寝ていた鈴木が目を覚まして必死に止め、暴れる浜崎を落とした。
翌朝、浜崎はタクシーに乗り、ミサキとリョウスケと別れの挨拶をして出立するが、宿から鈴木が出てきて、タクシーを訊ねる。浜崎は乗せ忘れに気付き、引き返した。
東京に戻り、蝶ネクタイで出社した鈴木は草森を道連れに階段を駆け上がり、水を一杯。
一方、ミサキが仲間のトラックで鈴木建設に来社。営業三課を訪ねるが浜崎は不在で、一人さびしくコンビニのざるそばを食べようとしていた岩田はミサキに一目惚れ。ざるそばをデスクにしまい、福島出張中の浜崎に替わり、早退してミサキをエスコートする事にする。
寄席に連れて、バーで呑んでいると、互いにバツイチという話になり、酔った岩田は自分の家にミサキを連れ、もてなそうとするが岩田は例によって潰れてしまう。
翌日、出社した岩田はぼーっとしながらも浜崎に、ミサキに男の影が無い事を確認すると、会社を飛び出してしまう。
突然の岩田の出奔に三課は浜崎によるストレスだと憐れみ、佐々木が血相を変えて駆け付け、浜崎をハコフグ呼ばわりし、ケンカから三課全員での大乱闘。
社長室で人事部長に叱られ、この件の処分については岩田が戻るまで社長の預かる所になる。
そして高知では、ミサキが仕事帰りにバイクで橋を渡っていると岩田が立ち、驚くミサキにプロポーズをする。あまりの事に断るミサキ。宣言通り岩田は海へと飛び込み、ミサキは子供もよく遊ぶところだと呆れるが、岩田はカナヅチで溺れ、ミサキは飛び込む。
ミサキや地元の漁協男性に助けられ、ミサキの人工呼吸を受け、男の人工呼吸で生還。
そして鈴木建設本社に、ファックスで岩田から退職願が届き、岩田は寿退社した。
釣りに出る浜崎に、みち子が岩田から手紙と魚が届いたと叫ぶ。
岩田はミサキと二人乗りで漁港に通い、働き、その暮らしを楽しんでいた。
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管理人の批評

2003年、日本松竹の作品です。
共演:三國連太郎 高島礼子 三宅裕司 間寛平 笑福亭仁鶴 松村邦洋 國村隼 斉藤洋介 西田尚美 よゐこ 東京ボーイズ
挿入歌:世界に一つだけの花
協力:黄桜「呑」
朝原監督に替わった事で、スタイルチェンジが図られた事はわかりますが、それまでのしっとりとした笑いから、ド派手な笑いに変わったのは、時代の流れか監督の趣味か…。ですが私はこの作品が大好きです。ですからあえてこの作品を先に紹介します。
キャストを見てわかる通り、布陣が笑いを中心に形成されています。スーパーエキセントリックシアターの主催でコメディーの求道者、現在は東京軽演劇の後継者として活躍中の三宅裕司。関西の笑いの殿堂吉本興業から笑福亭仁鶴と新喜劇元座長間寛平。松竹の現グループ会社松竹芸能からよゐこのお2人。そしてものまね名人松村邦洋。さらには秘書草森役にスマスマでコント力を見せた斉藤洋介。そして現在はNHKのコント番組「LIFE〜人生に捧げるコント〜」で飄々とした演技を見せる西田尚美というフォーメーションで送る今作の力の入れっぷり。
また、劇中三宅に頼るシーンの多さも見どころ。披露するエレキギターも、三宅が大学時代、加山雄三に憧れていた事から持っている趣味の一つで、小倉久博と舞台上で披露する事もある腕前です。
また設定も変えてしまうという暴挙(笑)。映画ではみち子は浜崎が最初の所属先の地域で、偶然食堂で相席になって会話が始まり、仲良くなっていったという設定でしたが、今作では鈴木建設の本社の社員だったという事になっています。(ちなみにテレビ東京「新入社員浜崎伝助」では、みち子は秋田から彼氏を追って上京したものの振られ、そこを浜崎に見られ、更に転がり込んだ親戚の食堂が浜崎の行きつけだったという設定です。)
後半での岩田のざるそばのシーンは面白くもあり、衝撃的です。つゆを先にそばにかけ、更にそばをハサミで切っています。当時のコンビニのざるそばは、もちろん今と比べ物にならないほどの安っぽさですが、ほぐし液すらなかったでしょうか?とにかくそばがくっついていました。東京の一流企業の課長が昼に安いざるそばを食べなくてはいけない。中間管理職の大変さを描いています。更に、書類なども机にあるでしょうからつゆをこぼさないようにしなければなりません。本当に御苦労さまです。
作中で使用される「世界に一つだけの花」は槇原敬之さん作詞曲で、SMAPさんが唄い、ミリオンヒットとなりました。紅白でも大トリで唄われ、ほとんどの人が知る曲でもあります。
そして今作のヒロイン高島礼子さんですが、まさか現在このような事になるとは思いもよりませんでした。一番の得意どころともいえる芯の強い女性であり、その実子育てに悩む弱さを見せるという振り幅のある役を見事に演じ、我々を満足させてくれました。協力の黄桜「呑」は当時高島さんとCM契約をされていました。
そしてなんといっても、今作の見どころは営業三課の大乱闘です。これを見た瞬間、釣りバカが変わったと思いました。
この作品は私が自信を持ってお薦めする喜劇です。ぜひ一度確認して、大いに笑い、元気になってください。