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リオの若大将(12)

加山雄三主演 岩内克己監督作品。
教授の付き添いとしてブラジルの造船所を見学した大学生・田沼雄一は、コパカバーナで日本料理をごちそうになっていると、他のテーブルの老人客が胃けいれんを起こし、雄一は祖母お墨付きの薬を処方し、事なきを得る。その老人の付き添いである日系人らしき女性に礼を言われ、挨拶をすると、彼女は観光会社の日本人職員で、押田澄子といい、接待中で助かったと礼した。
雄一が帰国すると、祖母から約束した手紙が無かったと叱られるが、旅先の便りは今日ようやく届いた。更に雄一の留守中はずっと同級生の江口が妹のてる子目当てに出入りしていたという。
大学では、青大将こと石山新次郎がバンドメンバーを強引に集めており、雄一がフェンシングの練習を終えた頃には、雄一のバンド仲間ランチャーズは石山に引き抜かれてしまい、不義理だと江口がランチャーズを追いかけまわす内、石山のギターを傷つけてしまい、雄一はランチャーズに石山をメンバーとして入れる事になった。
清明女子大を訪れた雄一はバンド練習をしているエミ子に声を掛ける。彼女は造船所所長・谷村の娘で、雄一は礼品を渡す。するとエミ子たちもバンド合戦に出場すると知り、勝負に燃える。
雄一は自宅・老舗すき焼き屋田能久に帰ると、店は大盛況。というのも澄子があの老人・宇野を団長とした日系ブラジル人観光団を連れて来店していた。
雄一は澄子を部屋に招き入れ、ブラジルでのフィルムを見せ、店は祖母の三味線で大いに盛り上がった。
バンド練習で、石山の演奏に難があるもののバンド合戦へ。
雄一はキーボードを弾き、石山は秘策としてレコーダーに吹き込んだテープを使うが、トラブルでバレてしまい、減点。勝負に負けた雄一はエミ子たちにごちそうするため、石山に金を借りる。
ドイツ語のテストを控え、ノートを借りて写そうと考えた雄一は石山に誘われ、コピー機のある喫茶店へ。そこで偶然澄子と出逢うが、雄一は勉強を優先する。
夜、雄一が自宅で暗記をしていると、石山が訪ねて来て、江口とカンニングをすると言い、明日のテストの範囲を教わっていく。
翌日、石山は頭に包帯を巻いてイヤホンを隠し、雄一にノートの該当ページを教えてもらい、外の江口と通信するが、江口の元にてる子が現れる。てる子は見合いから逃げて来て、江口はそれに応えるように互いに愛を確かめ合い、石山はその模様を見事に書いて教室を一抜けした。
後日、石山は雄一と担任教授の部屋を訪れ、自分のテストのミスを知るが、そもそも単位が足りてなかった。一方、雄一はもう一度ブラジル行きを勧められた。
雄一はブラジルへ行く事にし、澄子にあいさつ。そして機内でエミ子と遭い、酒をごちそうになり。着くと2人で造船所へ。
雄一からの手紙を受け取った澄子も、課長から前回のブラジル観光団が好評だったので、第2期募集の為にブラジルへ行く事が決まる。
雄一はエミ子の案内でブラジル観光をする。ビーチで遊んでいると、石山に連れられてやってきたランチャーズが、石山がどこかに行ってしまい、空腹で置いてきぼりになっており、ホテルの部屋へと連れていき、ランチャーズに食事の下準備を任せて、買出しに。ランチャーズはサバの開きを見つけ、さっそく焼くが、戻って来た雄一が火事と勘違いし、祖母からの消火器でパーにしてしまう。
雄一は外のボートに美女といる石山を見つけて、ふられた石山に駆け寄ると、無一文だとすがりつかれ、エミ子の紹介で、クラブで演奏する。するとそこに澄子が宇野達と来店。店の人に呼ばれ、雄一は澄子と再会を果たした。
朝方、ビーチでギターを弾いていた雄一は、子供達に誘われ、ギターを打楽器にして盛り上げる。その頃、澄子が雄一の部屋にした電話を石山が取り、戻った雄一はエミ子とランチャーズを連れ、ロベルトのヨットへ行くのを、澄子に見られ、澄子は宇野の孫・一郎と観光へ行く。石山は一郎に追い払われる。そして戻って来た雄一は石山からその事を知る。

結末 ネタバレ注意

澄子の足取りも掴めぬまま帰国した雄一の元に、造船所からの採用通知が届き、雄一は大喜び。だが父親は家業を継いでくれない事に激怒。しかし祖母が鶴の一声で、涙を呑んで雄一を送り出すことにする。
雄一は江口の就職の事を考え、父親が有力者の石山に頼み込むと、茶道の居室に案内され、澄子から手を引くことを条件に出される。
一方、田能久に澄子と宇野が現れ、祖母は宇野の話で、澄子も写真を持ったエミ子と遭い、雄一とエミ子が婚約していると勘違いしてしまう。そして一足違いで帰って来た雄一は、澄子が来て帰ってしまった事を知る。
雄一のフェンシングの腕は鈍り、江口も心配し、石山からその理由を知る。
雄一は山寺にこもり、和尚から澄子を忘れるよう諭され、修行に励み、薪を投げられ、回避する。
わざわざ迎えに来た石山から、澄子の事で念を押された雄一は、澄子に会い、石山を勧めるが、雄一は嫌われてしまう。
雄一が帰宅すると、江口がいて、雄一の為に就職を諦める事にし、祖母が江口を引き受ける事にする。
フェンシング選手権の大将戦、西北大学の近藤の激しい追い込みに、雄一は和尚の教えを思い出して勝利する。その試合を見届けた澄子は石山と羽田へ向かった。雄一はその事を石山の父から教えられ、すぐさま追いかける。
心中覚悟で車をぶっ飛ばす石山は、工事中の道路に迷い込み、急停止。2人は助かった。
謝恩会で大いに唄い、そして雄一と澄子はリオで結ばれた。
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管理人の批評

1968年、日本新東宝の作品です。
共演:星由里子 田中邦衛 中尾ミエ 今東光 内田裕也 ランチャーズ
挿入歌:ある日渚に
シリーズ第12作目の若大将は、とうとう日本の反対側、ブラジルはリオデジャネイロへと到達しました。かつて日本人は大勢ブラジルに移民したという過去に思いを馳せると、感慨深いものがあります。
そして大の加山雄三ファンである小倉智昭氏に言わせるところの「全部同じ」と揶揄される若大将シリーズですが、微妙な違いがあって、この頃は就職を意識した大学生をテーマに置いています。
今東光さんとは、直木賞作家で、本職は僧侶でいらっしゃいまして、人生相談などをやってらっしゃいました。作家がテレビに出てお茶目な部分を見せるのは、今に始まった事ではない訳ですね。
なぜ造船所かというと、ファンにはおなじみですが、実は加山さんは元々船を造りたいという願望があって、設計図を描けるんですね。船の設計図というのは家や建物と違い、曲線を描くのでなかなか難しいのですが、それを十代の頃にはやってのけ、父親に船のパーツ代などをねだっており、それでもサラリーマンをしてパーツ代を稼ぐよりは映画俳優の方が手っ取り早いと勧められ、俳優になられたわけです。
そしてバンド合戦のシーンでは司会者として内田裕也さんが出演されておりますが、加山さんの担当楽器はキーボード。これも近年のテレビ音楽特番をご覧になられた方はおわかりと存じますが、加山さんはピアノも弾けます。元々クラシックでヴェートーベンの第5番に涙が出るほど感動した加山さんは、ピアノでも作曲が出来ますし、現在も@Podに2万曲ほど入っているそうです。
共演の中尾ミエさんは他の2人と三人娘と呼ばれ、「かわいいベイビー」が大ヒット。地方CMへの出演が大胆で騒動になるなど、タレント性には事欠かない方です。
今回、若大将はフェンシングに挑戦していますが、フェンシングというのは観るとやるとは大違いで、実際にやると、正面から細い針先を突き出した相手が素早く迫ってくるわけですから、相当怖いです。防護服も、さすがに着用していても刺さる時は負傷はしませんが、痛みは結構感じます。