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エレキの若大将(6)

加山雄三主演 岩内克己監督作品。
大学クラブのアメフトの試合は青大将・石山新次郎が単独プレーに走ったため敗北。
試合終了後、怒られる石山を庇う若大将・田沼雄一。石山は反省し、自費で残念会を主催する事にし、一方、早く帰宅した雄一を祖母の三味線が迎える。
自室でエレキギターを奏で、同じくエレキを愛好する近所のそば屋の出前持ち・たかしとセッション。だがうるさくて父に叱られる。
マネージャーの江口から、石山がアメフト部のキャプテンに立候補し、部員達を買収中だと聞かされる。
だが投票即開票、キャプテンは雄一の圧勝。石山は怒り、裏切り者達とケンカ。止めに入った雄一は自宅で部員コンパを行う事にする。
祖母の協力により、コンパはにぎわい、石山も酒が入り、機嫌を直し、雄一を誘って飲みに行くため車を運転する。
だが飲酒運転で蛇行し、対向車と事故を起こしてしまう。相手は木に衝突し、雄一は違反が多くて、取り消しを逃れるため、石山に身代わりを頼まれ、やむなく一時的に被る。
相手の病室を訪ねた雄一と石山はベッドにいた美人の星山澄子に驚きつつ、全ての責任を取ると約束する。
翌朝、雄一のベッドに父・祖母・妹から治療費、修理代、罰金の請求書が突きつけられ、雄一は受け取って布団に潜る。
だが、石山が父親への金の無心に失敗し、あてが無くなり、そんな中楽器店で、ガールズバンドのアイビーシスターズからエレキ合戦で優勝すれば賞金10万円と知り、雄一は石山達とバンドを組む。メンバーに誘われたそば屋のたかしは喜びのあまり、出前途中の商品をみんなに振る舞う。
大会に出場した雄一たちは好評を得て、アメフトにも励む。
次の勝ち抜きエレキ合戦の収録会場のチケットを、退院してリード楽器店に復職した澄子に渡しに来た石山は、対戦相手である、ビートルズを模したシャークスのリーダー、通称・電気ウナギの赤田に脅される。
本番当日、赤田に念を押された石山はコンセントを外して、事故を装うが、雄一の唄う『夜空の星』は見事優勝。雄一は赤田の知り合いである松原ミチコに誘われ、食事に行く事に。一方、楽屋に来た澄子は、それを目の当たりにし、石山の奮闘虚しく、赤田に捕まってしまう。
食事に来たレストランで、雄一はミチコから交際を迫られ、同じく澄子も赤田に迫られる。雄一は澄子を見つけ、助けに入り、赤田達とケンカに。
大乱闘に発展し、雄一と石山の連続タックルで赤田をレストラン内の池に沈める。
その事は新聞沙汰となり、更に赤田の父は、雄一の父がすき焼き屋『田能久』の融資を頼んでいた銀行の重役で、雄一は1ヶ月の停学、更に家を勘当されてしまうのだった。

結末 ネタバレ注意

たかしは腕前を認められ、バンドメンバーとしてスカウトされ、雄一もその口に乗る事にして、澄子に日光への出張を告げる。
澄子はドライブデートに誘いに来た石山に、「日光なら行ってもいい」と乗り、ホテルに着くや石山そっちのけで、雄一を捜して落ち合う。
雄一は澄子のために創った『君といつまでも』を捧げ、澄子も声を重ねる。
夜、ステージ演奏に聴き入り2人は踊り、石山はホテルのオーナーの娘であるミチコと遭遇し、翌日、ミチコは雄一を誘い、乗馬へ。一方、澄子はやむなく石山とドライブピクニックへ。
一人張り切ってテントやテーブルなどの準備をし、石山はたまらず澄子を押し倒すが、澄子は逃げる。
澄子の悲鳴を聞きつけた雄一は馬を走らせ、駆け付けると、倒れたテントの下で空気枕に一人相撲の石山。格闘して石山を倒し、落ち着いたところで雄一は澄子の軽さを注意し、怒った澄子は石山の車で一人帰る。
ホテルに戻った雄一は、電報で実家『田能久』の破産を知る。
帰宅するが既に屋敷を取られ、家族の住むマンションに。なんとか助けられないかと祖母と話しているところに、中央市場での経理の仕事から帰った父に当てられ、雄一は再び家を出る。
復学が叶った雄一だが、アメフト部を辞めて、石山がキャプテンに。
雄一は澄子に謝り、仲直りしてクラブに誘う。だがクラブに石山と江口が説得に現れ、澄子は雄一の現状を知り、ミチコの父が雄一に、ミチコとの結婚で家計を救済するという申し出を聞き、雄一が断るのを聞かずして、澄子は身を引き、消える。
プロデューサーの石原に『君といつまでも』をレコード化してもらい、大ヒット。雄一はアメフト部に復帰して練習に励むが、ミチコから、澄子が身を引くという手紙を見せられ、消印から、石山の車を借りて日光へと向かう。
行方不明の澄子を捜す中、大学アメフトの対西北戦が始まる。
澄子を見つけた雄一、澄子は喜ぶが、後からミチコが迎えに来て、ためらうのを、雄一は澄子の手を引いて迎えに応じる。
西北大の圧倒的リードの中、雄一がヘリで到着。シャークスやアイビーシスターズの応援の中、京南大学は追い上げ、ラスト8秒、雄一は石山を踏み台に逆転勝利を収めた。
新田能久での祝賀会に、復興の資力となった『君といつまでも』を披露。雄一は入ってきた女性ファン達から逃げる羽目に。
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管理人の批評

1965年、日本東宝の作品です。
共演:星由里子 田中邦衛 ジェリー藤尾 寺内タケシ 黒沢年男 内田裕也 松本あけみ 江原達治 北あけみ 有島一郎 飯田蝶子
若大将シリーズも第6作となり、青大将との共闘、シンガーソングライター加山雄三の匂いが濃く出ています。
おそらく全若大将シリーズの中で、この作品が『ハワイの若大将』と並び、一番有名なのではないかと思われます。名曲、『夜空の星』『君といつまでも』が収録され、エレキギターを存分に弾きまくる作品ですから。
さて、この映画では、不自然な箇所があります。それは雄一が澄子のために創ったという『君といつまでも』の初披露にもかかわらず、途中から澄子が唄い出すというシーンです。これについては加山雄三さん自身も気付き、監督に追及したそうですが、リアルではなく、心象描写を追求するという監督の強い演出論ではねのけられました。確かに作品の性質上、監督の言う事も間違っていません。
私個人としては、やはり澄子の心象描写に注目しながら、映画を観た方が良いと思います。特に、ラストの日光での雄一の気持ちを確かめるやり取りは、全作品中でも一、二を争う出来だと思います。
若かりし頃の内田裕也さんが勝ち抜きエレキ合戦の司会役を行っています。ぜひその雄姿をご確認ください。