哲学堂公園

中野で哲学体験ツアー!


2021年10月






 
中野駅北口
 中野駅北口

 東京都の中野駅は、東京都庁のある副都心新宿からJR中央線快速で西へ1駅。繁華街、オフィス街、住宅街が混在する活気ある街で、後述するようにオタク・サブカルの聖地なんて呼ばれる一面もあったりします。そしてその中野からほど近い場所には、哲学をテーマにした珍しい公園があるんですが、今日はその哲学堂公園を目指して、先ずは歩いて行こうと思います。





中野サンモール商店街へ
 中野サンモール商店街へ

 JR中央線・総武線、東京メトロ東西線が乗り入れる中野駅の北口に出たら、雨の日でも濡れない屋根の下を伝って、真正面に控えるアーケード商店街の中野サンモールへと、吸い込まれるように入って来ました。





サンモールを進む
 サンモールを進む

 駅前広場から北へ220m余り延びる、中野サンモール商店街を進んで行きます。現在時刻は午前10時とあって、さすがに道行く人はまだ疎らです。





中野ブローウエイ 南口
 中野ブローウエイ 南口

 100店舗余りが立ち並ぶアーケード商店街を抜けると、その先今度は中野ブロードウエイという名の、大きなビルの中に造られた商店街へと、まるでそのまま接続するように進入。





ブロードウエイ1階 ショッピングエリア
 ブロードウエイ1階 ショッピングエリア

 この建物の正式名称はコープ(CO-OP)ブロードウエイセンターと言って、200店舗を遥かに超えるショッピングセンターと、200戸余りの大きなマンションで構成された複合施設なんです。地下3階・地上10階建ての下層階(地下1階~地上4階)に商業施設が入り、5階以上の上層階が集合住宅となっていて、開業は昭和41年と歴史ある施設なんですが、当時から屋上には庭園やカフェテリア、入居者専用のプールまであったりして、ラグジュアリーなマンションとして話題になっていたんです。





3階 ショッピングエリア
 3階 ショッピングエリア

 商業エリアをちょいと偵察してみようって事で、3階まで上がって来たんだけど、肩透かしを食らったようにがらーんとした状況。実は多くの店舗がお昼前後からの営業らしい。でも、こんな風景を見て廻るのも非日常的で結構ワクワクするんだよね。

 元々開業当時の商業施設エリアは、ファッションビル的、百貨店的なロケーションだったようですが、次第に集客が思う様に図れなくなって撤退する店舗が相継ぐようになります。そんな折、当時は漫画本の古書店で今や超人気のアニメグッズショップになった「まんだらけ」が昭和55年ここに出店し、その後サブカルチャーを担うショップがそれに釣られる様に続々と出店するようになりました。そして現在では、冒頭でもちょっと触れた「サブカルの聖地」と呼ばれる様な人気スポットに変貌し、あの秋葉原と並び称される存在となったのでした。





オタクの聖地
 オタクの聖地

 このブロードウエイは他方で「時計の聖地」とも呼ばれていて、主に並行輸入時計を扱う、時計マニアに高い支持を受けているようなインポートウオッチショップが多数出店しています。時計オタク・マニアとまでは言わないにしても、実は私も時計好きでして、ここブロードウエイのショップで時計を購入したり売却したりして、お世話になった事もあるんです。





北側の出入口へ
 北側の出入口へ

 オタクの聖地の、開店前とは言えディープでカオスな空間をたっぷり偵察した後、全長140m余りの屋内ショッピングストリートを抜けて、ブロードウエイの北側出入り口へ。





中野ブロードウエイ 北口
 中野ブロードウエイ 北口

 こちらがブロードウエイの北側出入り口。画像右端のテンパードアが、出入り自由な商業施設利用客用で、その左隣は、オートロック仕様のマンション居住者用エントランス。





早稲田通りを渡って左へ
 早稲田通りを渡って左へ

 ブロードウエイ北口を抜けると、目の前には都道の早稲田通りが走ります。横断歩道で通りを渡り、左方向へ進みましょう。





新井交差点を右折
 新井交差点を右折

 間もなく早稲田通りと、同じく都道の中野通りとが交差する新井交差点があるので、これを右折。





中野通り
 中野通り

 ここから哲学堂公園までは、暫くこの中野通りを歩いて行く事になります。





通りの左側に大鳥居が
 通りの左側に大鳥居が

 中野ブロードウエイをあとにして、およそ600mほど中野通りを歩いて来ました。すると大きな五差路を過ぎたすぐ先、中野通りの左側に大鳥居が現れました。ここは新井天神北野神社





北野神社
 北野神社

 天神という事からも分かるように、この神社の祭神は学問の神様、菅原道真。ご覧の社殿は去年(令和2年)に建て替えられたばかりの、モダンで明るく綺麗な建物です。





新井薬師公園 ひょうたん池
 新井薬師公園 ひょうたん池

 中野通り沿い、北野神社のすぐ先には通りの両側に新井薬師公園があります。通りの左側、公園北側の部分にあるひょうたん池では、何人かの常連らしき釣り人が、のんびり糸を垂らしてました。自分は魚釣りをやらないので詳しくはないけど、タナゴやフナ、たまに金魚なんかが釣れるらしい。





新井薬師
 新井薬師

 そして中野通りの右側、公園の南側にあたるエリアにあるのは、この公園の名称にもなった真言宗豊山派の寺院、新井山梅照院。新井薬師とも呼ばれるこの寺院は、子育てや眼病に霊験あらたかなんです。





新井薬師前第2号踏切
 踏切を越えて先へと進む

 新井薬師公園を過ぎて中野通りをそのまま進んで行くと、間もなく見えてくるこの踏切は新井薬師前第2号踏切。西武新宿線の踏切です。





哲学堂公園 西側入口
 哲学堂公園 西側入口

 踏切を越えて歩く事、550m余り。右手に本日の目的地、中野区立哲学堂公園が見えて来ました。中野通りを歩いて来ると最初に現れるこの入り口は、公園に六個所ある入り口のうち、最も西側に位置するものです。メインゲートではないけど、今日はここから公園内へ。

 面積およそ52,000平米、東京ドームよりひと回り大きな敷地のこの哲学堂は、東洋大学の創立者として知られる哲学者の井上円了 (1858-1919) によって、哲学がビジュアルに学べる様にと、私費を投じて明治37年に創設されたユニークな「教育公園」なんです。





妙正寺川
 妙正寺川

 木々が茂る小高い丘に造られた哲学堂に沿って流れる川は、妙正寺川。神田川の支流で、やがて隅田川へと注いでいます。ところでこの川の画像左側に写っている、整然と並んだ鉄格子は一体なんだろう?
 実はこの鉄格子の奥には調整池が造られていて、大雨で河川が氾濫しないように、川の水を流入させて溜めておく仕掛けになっているんです。





民族・宗教の違いを超えて祈る哲人たち
 民族・宗教の違いを超えて祈る哲人たち

 西側の公園入口から入ると先ず出迎えてくれるのが、哲学の庭に集う沢山の哲人たち。この池の前で祈っているのは、エクナトン、イエスキリスト、釈迦、老子、アブラハム。民族や宗教の違いを超えて、世界の平和を願う思いが込められています。因みに、この哲学の庭の設置は井上円了の手に依るものではなく、平成21年に設置されたものです。

 さぁー、それじゃぁいよいよ、哲学体験ツアーのスタートであります。ところでこのツアーの中身はというと、先にも少し触れたように、この公園内に造られた様々な建造物や彫像などによって、ビジュアルに哲学を感じ理解し、精神修養を体験することで、散歩しながら人としての正しい筋道を知るといった崇高なツアーなのであります!!  しかしながら知性のかけらもないこのワタクシに、この公園のツアーガイドが務まる筈も無い訳でありまして、そういう訳で以降の解説は全て、公園内の案内板やオフィシャルなパンフレットなどからの受け売りデス・・・





唯心庭の概念橋
 唯心庭の概念橋

 ここは唯心庭。「全ての根源は人の心にある」という唯心論の世界観を表しています。この池に架かる橋は「概念」で、その先にある島は「理性」。理性に達する道のりには、概念が存在するんです。

 ウーン 解った様で分からないようで・・・





鬼灯
 鬼灯

 概念橋は、心を象徴する心字池に架けられています。そして心字池の畔に立つこの鬼は人間の「邪心」を表していて、昔はその肩の上に「良心」を表す燈籠を乗せられて苦しんでいる姿でしたが、現在燈籠はありません。人の心の中には鬼も居れば、光を放つ良心の燈籠もあるんです。





菖蒲池
 菖蒲池

 唯心庭のお隣にあるのは菖蒲池。こちらは特に哲学に因んだものではなく、そのまんま菖蒲がきれいな池という事なんですが、残念ながらシーズンではないのでお花見は出来ず。だけど秋晴れの中、池に浮かぶウッドデッキを歩くだけで、とっても気分が良い。





認識路
 認識路

 この哲学堂は妙正寺川河畔の低地と、それに隣接する台地との起伏を巧みに利用して整備された施設で、園内をひと回り散歩するだけで、結構いい運動にもなるんです。と言う訳で、低地から時空岡(じくうこう)と名付けられた台地へと移動。台地へと上る経路は幾つかあるんですが、今日はこの認識路と呼ばれる石畳の階段を利用しました。物事をよく考え推理しながら(認識)、落ち着いて時空岡へと登って行くために造られた路なんだって。





常識門
 常識門

 時空岡は、この施設の言わばメインエリア。ここには明治時代後期から大正時代初期にかけて造られた数多くの歴史的、哲学的な建造物が建ち並んでいます。そしてここにある常識門は、そんな哲学の世界への通用門です。





髑髏庵
 髑髏庵

 常識門に隣接するこの建物は、俗世界の汚れた精神の死を骸骨として表した髑髏庵(どくろあん)。元々は哲学堂の受付兼休憩所でした。哲学の世界へと入るにあたって、人々はこの休憩所で汚れた心を死滅させるんです。





鬼神窟
 鬼神窟

 髑髏庵と渡り廊下で接続されている鬼神窟へと移った時には、人々の精神は俗世界を離れて霊化しています。この二つの建物に入ったことで、哲学の世界へと入るための心の準備が出来るのだとか。





六賢台
 六賢台

 哲学堂が紹介される時には、殆どと言っていいほど使われるのがこの建物の風景。六賢台は哲学堂のシンボルと言っても良いほど。日本の聖徳太子や菅原道真をはじめとして、インドの龍樹(りゅうじゅ)と迦毘羅仙(かびらせん)、中国の荘子と朱子など、東洋の6人の賢者が祀られているので、六賢台。





四聖堂
 四聖堂

 一方こちらは、ソクラテス、カント、釈迦、孔子など、4人の聖人を祀った四聖堂。明治37年に建立された、哲学堂で一番最初の一番古い建築物です。





釈迦涅槃像
 釈迦涅槃像

 今日はラッキーなことに、一部建物の内部公開日になっていて、図らずも四聖堂内に安置されている釈迦涅槃像を見る事が出来ました。





無尽蔵
 無尽蔵

 哲学堂創設者井上円了が国内外で入手した貴重な収集品を、嘗ては数多く陳列していた博物館とも言えるこの無尽蔵。現在でもそのごく一部が展示されています。





宇宙館
 宇宙館

 この建物は、哲学の講習会や講演を行うために造られた講堂で、宇宙の真理を研究する学問こそが哲学であると井上円了は考えていた事から、宇宙館と名付けられました。





絶対城
 絶対城

 こちらは図書館として使用されていた絶対城。数多くの書物を読みつくすことは「絶対の境地」に到達し、対立するものがない独立の状態になるんです。

 ウーン 解った様で分からないようで・・・
 やっぱりわからない。





絶対城内部
 絶対城内部

 こちらが絶対城の2階建て吹抜けの内部で、1階部分は書庫、2階部分は閲覧室となっていました。嘗てはここに井上円了の数万冊に上る蔵書が収蔵されていたのですが、現在は書庫としての役割を終え、1階部分に並んだ書棚は全て空になってガランとしています。





硯塚
 硯塚

 井上円了はここ哲学堂を拠点として、全国を精力的に講演行脚していたのですが、その際に依頼されてよく書を書いていたようです。そしてその時に使用した硯を供養する為に建立したのがこの硯塚





筆塚
 筆塚

 硯塚があるんだったら筆塚はないの?

 あるんです。時空岡の北側の端に建立された硯塚と対になるかのように、時空岡の南側の端に筆塚が建立されてました。





哲理門
 哲理門

 この哲理門は、哲学の世界へと入って行くに際して最初に通過する正門です。しかしながら、今日は西側の公園入り口から入って園内をあちこち廻って来たので、この哲理門の前までやってくるのが後回しになりました。

 ここまで、園内をほぼ1周歩いて来たのですが、何せ77箇所あると言われる見どころを全ては廻れないにせよ、沢山の展示物を見て廻る事が出来ました。そしてこれでワタクシも、哲学の何たるかを身を以て会得できた気がします。

 ・・・ホントカナ? まぁそういう事にしておきマス・・・





真理界と哲学関
 真理界と哲学関

  たとえそうでなくても、歴史的に重要な沢山の建造物を見て廻りながら、起伏に富んだ川あり池あり崖あり、そして緑ありの静かで美しい風景の中を歩いたことで、心身ともにリフレッシュ出来てとっても良かった!

 という事で、あっという間に時間は過ぎてしまいました。そろそろこの辺で哲学堂を後にする事にしましょう。哲理門のすぐ先にある真理界・哲学関と刻まれた2本の石柱。この場所が哲学堂創設当時の入り口で、井上円了は「この先にある哲学堂は、宇宙の真理を味わい、人生の楽しさを味わう場所である。」と言ったらしい。でも今日は、ここが出口という事になりました。





左はテニスコート 右は野球グラウンド
 左はテニスコート 右は野球グラウンド

 真理界・哲学関の門を抜けたら、左手のテニスコートと、右手の野球グラウンドに挟まれた、目の前の道を進んで行きましょう。





蓮華寺下交差点
 蓮華寺下交差点

 その先、なだらかな下りのスロープを下りて行くと、中野通りが新青梅街道に突き当たる三差路の、蓮華寺下交差点が見えて来ます。





新青梅街道
 新青梅街道を進む

 T字に交わる三差路交差点の突き当りを左折して、新青梅街道に入って来ました。これをそのまま道なりに進みます。





中野区立歴史民俗資料館
 中野区立歴史民俗資料館

 新青梅街道を800m程進んだ右手にあるのは、中野区立歴史民俗資料館。入館無料。





山崎家書院・茶室
 山崎家書院・茶室

 この場所は江戸時代の名主にして、醤油製造業も営んでいた山崎家の屋敷があった土地で、昭和に入って寄贈され、平成元年に中野区の歴史博物館として開設されたものです。そして現在でも資料館の建物の東側に隣接して、山崎家の書院と茶室、それに小さな庭園が残されています。





資料館2階 常設展示室
 資料館2階 常設展示室

 資料館の常設展示室ではジオラマや展示物、多くの資料や様々な仕掛けに依って、中野の歴史を紹介しています。





農家の土間まわり
 農家の土間まわり

 これは地元の古民家の一部を解体して、移築復元したもの。土間や勝手などが再現されています。





沼袋交差点
 沼袋交差点

 中野区立歴史民俗資料館の200mほど先にある交差点は沼袋交差点。ここを左に入って、新青梅街道を外れましょう。





沼袋の駅前商店街
 沼袋の駅前商店街

 沼袋親交会という商店街に入って来ました。ここは沼袋の駅前商店街です。





沼袋駅南口
 沼袋駅南口

 そのまま500mほど商店街を歩いて行くと、西武新宿線の沼袋駅に到着です。









★交通 JR中央・総武線または
東京メトロ東西線線 中野駅下車
★歩行距離 約 5.5 km



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