王子から東十条へ

2020年6月






 
 王子駅ホームより飛鳥山を望む
 王子駅ホームより飛鳥山を望む

 JR京浜東北線を王子駅で下車。ホームに降り立つと、隣駅の東十条駅に向かって左手、西側の方向にこんもりした緑あふれる台地が見えています。今日は先ず、飛鳥山と呼ばれるこの丘を目指して散歩をスタート。





 JR王子駅中央口
 JR王子駅中央口

 王子駅の中央口を出たら左方向へ。そして目指す飛鳥山は、すぐもう目の前にあります。





モノレールに乗車 
 モノレールに乗車

 飛鳥山へ入るルートは幾つかあるのですが、駅前にあっていちばん手軽で近いのがこの自走式の無人モノレール、あすかパークレール





 いざ山頂へ
 いざ山頂へ

 麓の公園入口駅から、待ち時間もほとんど無く乗車。いざ山頂へ向かいましょう。運行する車両はまるで飛鳥山に登るカタツムリの様なので、名前がアスカルゴ。運賃無料ってところがとっても嬉しい。





 急斜面を登る
 急斜面を登る

 標高差17.4mで傾斜角度24度。そして48mの距離を、アスカルゴはおよそ2分ほど掛けてゆっくり登って行きます。





 見晴らしは良好
 見晴らしは良好です

 椅子席6人、立ち席10人の計16人乗り。360度ビューの車内から、下界の見晴らしはベリーグッド。取材時は時節柄、「密」を避けるために乗車制限6人までだったけど、平日の午前中ということもあり、乗車は自分一人だけの貸し切り状態でありました。





 山頂駅に到着
 山頂駅に到着

 空中散歩を独り占めして、終点の山頂駅に到着。山頂とは言っても、飛鳥山の標高は僅か25m余り。「山」とは名ばかりでありまして、実態は広大な武蔵野台地北東端の崖線に沿った場所を、飛鳥山公園として整備したものなんです。





飛鳥山は花見の名所 
 飛鳥山は花見の名所

 東京都北区の資料によると、明治6年に政府から日本初の公園の一つとして指定されたこの飛鳥山公園。行楽地としての歴史は更に古く、18世紀前半の江戸幕府八代将軍徳川吉宗の頃に遡ります。将軍吉宗は庶民の娯楽場所を拡充する目的で、桜を中心とした多くの花木の植樹を行ってこの地を整備し、以降飛鳥山は現在まで花見の名所として親しまれ続けているんです。





 2003年4月撮影
 2003年4月撮影

 しかしながら、この取材時は6月の初旬。季節は初夏でありまして、サクラの花なんて何処にも見当たりません。なので以前このサイトのために撮影した、満開の桜が咲き乱れる飛鳥山の画像を参考までに貼り付けてみました。これは上の画像とまったく同じ場所で撮影したものなんですが、いやぁ、やっぱりサクラの時期の飛鳥山はスバラシイ。





 飛鳥山碑
 飛鳥山碑

 徳川吉宗がこの地を整備した経緯は、1734年に建立されたこの飛鳥山碑に刻まれています。因みに使用されている石材は、吉宗の生地である紀州から献上されたもの。





 児童エリア
 児童公園エリア

 現在の飛鳥山公園は、概ね四つのエリアに分かれています。自然公園のエリア、児童公園のエリア、博物館のエリア、そして多目的広場の四つです。





 都電6080車両
 都電6080車両

 児童公園エリアに展示されているこの懐かしい車両は、昭和53年4月までこの近くを行き来していた都電の旧車両。現在都電は、現存する唯一の路線荒川線が飛鳥山公園の脇を新車両で走っていて、地域住民の重要な足として活躍しています。





 デゴイチも居ました
 デゴイチも居ました

 児童公園エリアにはもう一つ、懐かしい蒸気機関車の車両が展示されています。それが、昭和18年生まれで昭和47年に現役引退した、このデゴイチ(D51853)。都電と機関車、どちらも車両に乗ることが出来るので、子供たちは大喜び。





 北区飛鳥山博物館
 北区飛鳥山博物館

 こちらは博物館のエリア。ここでは三つの施設が公開されています。その中の一つ、こちらの北区飛鳥山博物館では多くの資料や展示物で、この飛鳥山がある東京都北区の歴史や風土、文化などを深く知る事が出来ます。





 平和の女神像
 平和の女神像

 北区飛鳥山博物館の建物脇に建っているこの女神像。作者は日本屈指の彫刻家北村西望(1884-1987)で、この飛鳥山にほど近い北区西ヶ原(旧東京市滝野川区)に、長い間居宅とアトリエを構えていました。だから、この地元の芸術家だったんですね。昭和56年にその功績を称え、東京都北区の名誉区民に選定されています。





 紙の博物館
 紙の博物館

 二つ目の博物館は紙の博物館。実はここ王子の地は日本製紙業のパイオニア、旧王子製紙の創業の地なんです。博物館の前身は昭和25年、旧王子製紙の工場跡地に設立された製紙記念館。その後、この飛鳥山公園内に移設されて現在に至ります。





 渋沢栄一像
 渋沢栄一像

 公園内に建っているこの銅像の人物が、旧王子製紙の創業者渋沢栄一(1840-1931)。因みにこの度政府・日銀は、令和6年度に日本の紙幣を一新させる予定ですが、その1万円札の肖像に決定した事でも知られる実業家です。そして飛鳥山公園内三つ目の博物館が、この渋沢栄一の生涯や彼の活動を広く紹介する渋沢資料館なんです。

 以上、博物館エリアにある三つの博物館はそれぞれ有料施設ではありますが、お得な3館共通券(一般800円)もあったりします。





 青淵文庫(国指定重文)
 青淵文庫(国指定重文)

 博物館エリアに隣接する旧渋沢庭園は必見です。渋沢栄一の邸宅跡で、なんと入園は無料。敷地内には大正期に建てられた二つの建物が残されていて、渋沢資料館の入館券があれば建物内の見学も可能ですが、もちろん外観だけでも一見の価値あり。これはその一つ、青淵文庫(せいえんぶんこ)





 青淵文庫のステンドグラス
 青淵文庫のステンドグラス

 大正14年竣工の鉄筋コンクリート造りで、書庫として使用されていました。画像のステンドグラスは、渋沢家の家紋である柏の葉をあしらったものなのだとか。





 晩香廬(国指定重文)
 晩香廬(国指定重文)

 こちらは晩香廬(ばんこうろ)。元は洋風の茶室として大正6年に建てられたものですが、主に賓客を持て成す場として利用されていました。





 晩香廬の内部
 晩香廬の内部

 実はこの取材時、渋沢資料館が長期休館中だったため、それに伴いこれ等ふたつの建物も、残念ながら中に入る事が出来ませんでした。仕方なく晩香廬の窓に顔とカメラを押し付けながら、涙ぐましい努力で内部を撮影したのがこの画像。





 噴水はお休み中
 噴水はお休み中

 公園のちょうど中央部、多目的広場へ移動してきました。このエリアにある噴水では、真夏になると子供たちが中に入ってジャブジャブと水浴びをする事も出来るんだけど、今は噴水の水は出ていない様であります。





 歩道橋で国道を渡る
 歩道橋で国道を渡る

 ちょっとだけ飛鳥山に長居をしちゃいましたが、今日の散歩のスケジュールは盛り沢山。そろそろこの辺で飛鳥山をあとにする事にしましょう。多目的広場に接続する公園出入口を抜けると、目の前を走る通りは国道122号線明治通り。出入口へ繋がる様に設置されている歩道橋で、先ずはこの国道を横断しましょう。





 飛鳥山に沿って走る都電
 飛鳥山に沿って走る都電

 歩道橋から下を見下ろすと、国道上の軌道敷を東京都経営の路面電車、都電が走って行くのが見えます。既述のように、これは都電荒川線。東京に唯一残された都電路線なんです。





 国道を直進して横断歩道を渡る
 国道を直進して横断歩道を渡る

 歩道橋を越えたら、飛鳥山を右手に置いて明治通りを直進。150mほど進んだ先に音無橋交差点があるので、目の前の横断歩道でこれを渡ります。





 音無橋
 音無橋

 交差点を越えた先に、とても古めかしいコンクリート橋が現れました。これは音無橋。橋の橋名板には、昭和5年11月に造られた事が記されています。





 音無橋の下へ
 音無橋の下へ

 橋の袂には、橋梁下へと下りて行ける石段がありました。と言う訳で、ちょっと橋の下を覗いてみることに。





 音無川
 音無橋と音無川

 コンクリート製のクラシックなアーチ橋の下を流れる川は石神井川。この石神井川は、東京都下小平市内の湧水を水源にして、東京都北区で墨田川に合流する迄のおよそ25kmを流れる川で、特にこの王子周辺では古くから音無川と言う名前で親しまれていたんです。





 音無親水公園
 音無親水公園

 音無橋の橋梁下周辺は川岸が整備されていて、親水公園になっています。そしてこの音無親水公園あたりのいにしえの風景は、江戸時代末に活躍した画家、歌川広重の江戸名所百景の中でも描かれています。





 通りの向こう側に大きな鳥居が
 通りの向こう側に大きな鳥居が

 橋の上に戻り、音無橋をそのまま渡って100mほど進むと、車道を挟んだ右手に大きな石の鳥居が見えて来ます。ここは王子神社。通りを渡って神社境内へ。





 王子神社
 王子神社

 王子神社の歴史は古く、旧称を王子権現と言い、創建は鎌倉時代末期の1322年に遡ります。神社境内の由緒書きによると、王子と言うこの土地の名前はこの神社から付けられたのだそう。





 東京都指定天然記念物のイチョウ
 東京都指定天然記念物のイチョウ

 社殿向かって右側に延びる狭い通路を進んで行くと、やがて下りの石段になり神社裏門へと至ります。その下り石段の手前にそびえるイチョウの大木。幹の周囲は5.2m、高さは24.2mにもなり、なんと鎌倉時代の神社創建の頃に植えられたものらしい。





 正面の遊歩道を左へ進む
 正面の遊歩道を左へ進む

 大イチョウが立ちはだかる石段を下り、裏門を通り抜けて神社から出て来ると、音無川左岸の崖線上に整備された遊歩道に突き当たります。これを左方向へ。





右手崖下は音無川 
 右手崖下は音無川

 遊歩道右手の崖下を覗くと、音無親水公園を見渡す事が出来ます。このまま音無川を右手に置いて遊歩道を直進。





突き当りを左折 
 突き当りを左折

 100mほど歩いて行くとJR線の高架に突き当たるので、これを左折。

 因みに、後述の古典落語「王子の狐」に出て来る料理屋の扇屋は、この場所の少し手前にあったと言われ、現在では同じ店名で玉子焼きを販売する店舗を営んでいます。





 森下通り商店街
 森下通り商店街

 ここからは森下通り商店街。途中に交差点などもありますが、商店街沿いにそのまま真っすぐ進みましょう。





 王子稲荷神社
 王子稲荷神社

 そして、400mほど進んだ先の左手にあるのが今日二つ目の神社、王子稲荷神社。落語好きの自分としては、古典落語「王子の狐」の舞台としてとても親しみがあるんです。

  ここで落語に興味がない方へ、王子の狐のあらすじを少し。





 ある男が王子稲荷に詣でた帰り道で、キツネが若い女に化けるのを目撃。キツネに騙されたフリをして、反対にキツネを騙してやろうと女に声を掛ける。見事にナンパは成功し、騙されたキツネは男と一緒に近所の料理屋の扇屋へ入ってたらふく飲み食いし、酔いつぶれて寝てしまった。男は土産に玉子焼きまで注文した挙句、勘定はすべて女が払うと言い残し、代金を踏み倒して出て行く。女に勘定を催促しようと女中が部屋に行くと、そこに居たのはなんと1匹のキツネ。店の者に退治されキツネはほうほうの体で逃げ出す。その後諭されて後悔し心を入れ替えた男は、菓子折りを持ってキツネの所へ謝罪に行く。件のキツネには直接会えなかったものの、子ギツネを巣穴の前で見つけ言付けをして菓子折りを渡した。子ギツネは母ギツネに人間が謝罪に来た事を話し、菓子折りを開けて中にあったぼた餅を食べようとして母ギツネに止められる。男(人間)を信用できない母ギツネ。「食べるんじゃないよ。馬の糞かもしれない。」 





 お石様
 お石様

 これはお石様。願い事を心の中で唱えながらこの大きな石を持ち上げて、思ったよりも軽かったら願い事は叶い、重かったら努力しないと叶わないんだって。





 住宅街を進む
 商店街は住宅街に

 来た道を更に進みましょう。森下通り商店街は、既に王子稲荷神社の少し手前で住宅街に変わっていました。





 名主の滝公園
 名主の滝公園 出入口の門

 王子稲荷神社から100mほど進むと、左手に大きな門が見えて来ました。掲げられた扁額には、名主の滝公園と記されています。入園無料。





 回遊式庭園
 回遊式庭園

 北区のパンフレットによると、ここは江戸時代末の19世紀中ごろ、王子村の名主の屋敷だった場所。主が自邸に滝を開き、その後時代は明治に移り所有者が変わって、現在の様な庭園として整備されたんです。





 川上へ
 川上へ

 池にそそぐ川の流れを遡って、川上へと歩いて行ってみましょう。コンクリートに囲まれた都会の真っ只中にありながら、この一角だけは異空間、別世界の様であります。





 男滝
 男滝

 川の水源は落差8mの、この男滝。武蔵野台地の起伏を上手く利用して、名前の通りに滝は力強く流れ落ちているけど、現在はポンプで地下から水を汲み上げて流しているらしい。





 北側の門を抜けて
 北側の門を抜けて

 公園の出入口は2箇所。南側の池近くにある、入園時に通った門と、北側の男滝近くにあるこの門。





Y字路を右へ 
 Y字路を右へ

 北側の門を抜け、名主の滝公園を左手に置いて公園沿いに100mほど先へと進むと、行く手は二手に分かれます。公園沿いに左方向へと上って行く三平坂と言う名の坂道を見送って、今日は右方向へ進みましょう。





上方に都道の高架が 
 上方に都道の高架が

 住宅地の中の狭い通りを歩いて行くと間もなく、立体交差する都道の高架が頭上に現れました。





 ちんちん山児童公園
 ちんちん山児童公園

 高架下にある小さな小さな公園は、ちんちん山児童公園。ここ北区やお隣の板橋区には戦時中、旧陸軍の軍需工場が点在していたために、この近辺には軍用鉄道が敷かれていました。そしてその軍用列車がチンチンと音を出して走っていた事が、公園名の由来です。





 太平洋戦争当時の石のアーチ
 戦時中の石のアーチ

 軍用列車の専用軌道が敷かれた土手の下には通路用のトンネルが掘られ、その出入口は石のアーチで補強されていました。そして当時の石のアーチは、モニュメントとして今でも公園内に残されているんです。





 JR線と合流
 JR線と合流

 ちんちん山公園を後にして、およそ300mほど歩いて来ました。右手から合流して来たのはJRの線路。そして高架には東北、山形、秋田、北陸の各新幹線が走ります。





 東十条駅に到着
 東十条駅に到着

  更に500m余りJRの線路脇を進んで行くと、今日のゴールJR京浜東北線東十条駅のプラットホームが右手に、跨線橋が前方に見えて来ました。





 駅前はこの上です
 駅前はこの上です

 駅前まで行くには、この跨線橋下に設置されたエレベーターか階段を使って上層へ上がります。





東十条駅北口西側出口 
 東十条駅北口 西側出口

 東十条駅北口の西側出口前に到着です。実はこの北口は線路を挟んで西側と東側に出口が分かれているんです。だから、折角なので向こう側の出口も見てみようって事で、跨線橋を渡って東側へ。





 東十条商店街
 東十条商店街

 駅北口の東側には、昔ながらの東十条商店街があります。と言う訳で、このまま帰るのももったいないから、今日のところはもう少し、商店街ウォッチングでもして帰る事にしよう。

 それじゃぁ。









★交通 JR京浜東北線 王子駅下車
★歩行距離 約 3.5 km



周辺地図
Google マップ







 インデックス
インデックス
 ホーム
ホーム