大山詣り

2018年12月






 
伊勢原駅北口
 伊勢原駅北口

 大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)は神奈川県の丹沢山塊、大山にある神社。古くから広く庶民に信仰され続けて来ました。と言う事で、今日はこの神社をお参りしようと、小田急線の伊勢原駅にやって来ました。





大山ケーブル行きに乗車
 大山ケーブル行きに乗車

 先ずは駅北口に出て、駅前のバスターミナルに発着する、神奈川中央交通バスの大山ケーブル行きに乗り込みます。今日は祝日の振替休日と言う事もあってか、停留所前には長い列が出来ています。





大山ケーブル停留所
 大山ケーブル停留所

 乗車30分足らずで、終点の大山ケーブル停留所に到着。





観光協会のガイドマップ
 停留所前に掲出された観光協会のマップ

 神社にお参りとは言え、標高1,252mの大山登山も今日の大きな目的のひとつ。何年か振りにトレッキングシューズとザックを引っ張り出してやって来ました。停留所近くに設置されている伊勢原市観光協会のガイドマップでも分かる様に、山の中腹とそして山頂にも社があるんです。今日の予定ルートは女坂を登って下社まで行き、そこから西側のルートで富士見台を経由して山頂の本社を目指します。そして下りは東側のルートを利用。見晴台と男坂を経て下山という計画であります。





大山登山スタート
 大山登山スタート

 時刻は朝の8時30分を少し回ったところ。それじゃぁいよいよ、大山山頂に向けて出発しましょう。





こま参道
 こま参道

 大山ケーブル停留所前をスタートして間もなく、大山阿夫利神社の参道に差し掛かりました。地面には大山のみやげ物、大山こまの描かれたタイルが埋め込まれています。





みやげ物屋もたくさん
 みやげ物屋もたくさん

 なのでここは、こま参道と呼ばれているんです。長い上り階段が続くこま参道には階段の切れ目に27箇所の踊り場があって、タイルに描かれたこまの数で今何番目の踊り場に居るのかが分かる様になっています。





ケーブルカーには乗らずに直進
 ケーブルカーには乗らずに直進

 10分程かけて、長いながい上り階段のこま参道を登って来ました。参道が終わるとすぐにケーブルカー駅があるんだけど、今日はこれには乗らずにひたすら山歩き。





いよいよ登山道
 いよいよ登山道

 ケーブルカー駅への道を右に分けて、そのまま直進。登山道へと入って行きましょう。





男坂と女坂の分岐点
 男坂と女坂の分岐点

 登山道に入るとすぐに、男坂と女坂の分岐点になります。既述の様に、今日は上りに女坂を使うので、左方向へ。と言うのも、女坂には七不思議があって、楽しみながら登れるから。





右手の沢に最初の七不思議が
 右手の沢に最初の七不思議が

 女坂を登り始めて間もなく、七不思議の最初の一つ目がありました。それは登山道の右手を流れる沢にあるんです。





七不思議その一 弘法の水
 七不思議その一 弘法の水

 この沢の湧水は、昔むかし弘法大師が岩を杖で突いたら、そこから清水が湧き出したものなんだって。でもこのテの話って、他でも色んな所で聞いたような・・・

 ところで、弘法の水が湧き出ているところを見るには、沢の近くまで下りて行かなければならないんだけど、その為になんとスチール製梯子が用意されてました。





梯子を使って
 スチール梯子が用意されています

 だけどまぁ、見かけは普通の湧水なんだろうし、スタートしたばかりで山頂まではまだまだ先が長いので、今日のところはスルーという事に。





七不思議その二 子育て地蔵
 七不思議その二 子育て地蔵

 七不思議その二はこのお地蔵さま。顔がいつの間にか、お地蔵さまから子供の顔に変わってしまったんだそう。お祈りすると子供が元気に育ちます。





七不思議その三 爪切り地蔵
 七不思議その三 爪切り地蔵

 七不思議の三つめもお地蔵さま。弘法大師が自分の爪だけを使って巨岩を削り、このお地蔵様を彫刻したんです。フリッツ・フォン・エリックの前世は空海だったんだ。





七不思議その四 逆さ菩提樹
 七不思議その四 逆さ菩提樹

 矢継ぎ早に現れる七不思議。その四は逆さ菩提樹。案内板によると幹は細く、上に行くに従って木が太くなっているので、逆さに生えているように見えるのだとか。つっ込むわけじゃないけど、ウーン・・・ どこから見ても何遍見ても、幹の方が太いんだが。

 まあ深くは考えず、七不思議を眺めながらしんどい登りが少しでも楽しめれば良しとしましょ。





前不動
 前不動

 そうこうしている内に大山寺に到着。神仏習合の大山には寺院もあるんです。先ずは前不動がお出迎え。二つ並んだ左側の小さなお堂は龍神堂と言って、江戸時代の初期1641年の建立になる貴重な建物。





本堂への石段
 本堂への石段

 前不動のすぐ裏手に立ちはだかる急な石段を登ると、大山寺の本堂です。七不思議に度々弘法大師が登場する事でも分かる様に、雨降山大山寺は真言宗の寺院。奈良時代、755年の開山と伝えられています。





大山寺本堂
 大山寺本堂

 山号の「あめふりさん」とは大山の別名でもあり、雲や霧が出やすく雨を降らすのでこの名が付いたのでした。阿夫利神社の名前もここから来ていて、雨乞いの神様でもあるんです。





厄除 かわらけ投げ
 厄除 かわらけ投げ

 こちらはかわらけ投げ。境内から谷に向かって土器の皿を投げると、厄除けになります。





更に諸願成就
 更に諸願成就

 更に、崖下に吊るされたこの輪に皿を通すことが出来たら、願い事も叶っちゃうらしい。皿2枚で300円也。





七不思議その五 無明橋
 七不思議その五 無明橋

 大山寺を通過して、本堂裏から続く登山道を再び進んで行くと、間もなく五つ目の七不思議がありました。話をしながらこの無明橋を渡ると悪い事が起こります。沈黙は金、口は災いの元ですよ。





七不思議その六 潮音洞
 七不思議その六 潮音洞

 引き続き、七不思議は立て続けに現れます。この洞穴は潮音洞と呼ばれていて、心を静めて耳を澄ますと波の音が聞こえるって事なんだが、耳を澄ませたけど潮騒は聞こえてきませんでした。邪心で心静かに出来ないからかも。





七不思議その七 眼形石(めかたいし)
 七不思議その七 眼形石

 いよいよ最後の七不思議。人の目の形をしたこの岩に触れて祈ると眼病がことごとく治るという、眼医者さん泣かせの岩であります。





ケーブルカーの軌道が見えました
 ケーブルカーの軌道が見えました

 大山阿夫利神社の下社まであと一息。お蔭さまで、七不思議を眺めながら楽しくここまで登って来られました。傍らにふと目をやると、ケーブルカーの軌道が。ケーブルカーの終点駅も、もうすぐ先の様です。





茶店がありました
 茶店がありました

 女坂と男坂の合流点を過ぎて間もなく、前方の視界が開け、周囲の見晴らしが良くなりました。食事の出来る茶店・売店も並んでいます。そして正面に見える石段を登れば、ひと先ず下社に到着です。





大山阿夫利神社 下社
 大山阿夫利神社 下社

 9時45分下社に到着。大山ケーブルバス停前から登山を開始して70分経過です。観光や神社へのお参りだけが目的なら、ケーブルカーを利用して手軽・気軽にここまでを往復するのもGood。





頂上に向けてスタート
 頂上に向けてスタート

 水分補給をしながら小休止の後、10時ジャストに登山再開。拝殿脇のこの鳥居をくぐると、頂上へ到る登山道が再び始まります。





険しい山道
 険しい山道

 下社を過ぎると、登山道は一段と急峻になります。今日はクリスマスイブ。12月も末と言うのに、エネルギー全開で汗びっしょり。





夫婦杉
 夫婦杉

 この巨木は夫婦杉。左右同じ形をしている杉の大木で、樹齢はおよそ500年から600年だそう。





足元を見てみたら
 足元を見てみたら

 登山道脇に、ぼたん岩と記された案内板を見つけました。岩の一部が球体になっていて、牡丹の花に見えるのだそうです。どこにあるんだろうと色々探していたら、あったあった、足元の岩で見つけました。





ぼたん岩
 ぼたん岩

 確かに球体とそれを取り囲むような渦巻模様が、牡丹の花の様に見えますね。

 ところでこの大山では、山中の場所・地点を表すのに「丁目」が使われていて、下社の1丁目に始まり、28丁目の山頂上社へと至ります。だから山頂まであとどの位登るのかの目安になるのですが、因みにここぼたん岩が見られる場所は14丁目、夫婦杉は8丁目になるんです。





天狗の鼻突き岩
 天狗の鼻突き岩

 これは15丁目にある天狗の鼻突き岩。岩の左端部分に空いた穴は、天狗が鼻を突いて開けたものなんだって。なんだか七不思議の続編みたい。





十六丁目追分の碑
 十六丁目追分の碑

 16丁目にあるこの石碑が最初に建てられたのは、江戸時代中期の1716年。368メートルあるこの石碑を、当時麓から人力でここまで運んだのでした。昔の人のパワーにはびっくり。





富士見台
 富士見台

 ここ富士見台は20丁目。名前の通りこの方角に富士山が見える筈なんだが、今日は天気は悪くないんだけれど、残念ながら雲に隠れて見えません。





急登を登る
 急登を登る

 最後の急登を登って、さぁ頂上まであと少し。





山頂到着
 山頂到着

 8時30分過ぎに大山ケーブルバス停前をスタートしてちょうど3時間。大山山頂に到着です。正面に見えるのは大山阿夫利神社の本社。飾り気がなくて、割りと質素です。





奥の院
 奥の院

 本社の裏手に廻り込むと、奥の院がありました。今日は休日なので、山頂はハイカーで賑わっています。そしてちょうど昼時とあって、絶景を楽しみながら皆ランチの真っ最中。





山頂には沢山のハイカーが
 山頂には沢山のハイカーが

 でも今日自分には、下山した後にちょっとしたランチのお楽しみプランがあるので、ちょっと我慢。栄養補給に持ってきたチョコレートで空腹を凌ぐことにしよう。





山頂からの眺め
 山頂からの眺め

 阿夫利神社は山や海の守り神として古くから庶民の信仰を集め、また江戸から近いため江戸っ子に人気の観光地でした。落語好きの自分としては、大好きな三代目志ん朝の名演、「大山詣り」を想い出します。





江の島が見えてます
 江の島が見えてます

 今日は天気も良く、山頂からの眺めも良好。画像中央に写るのは相模湾とそこに浮かぶ江の島。その先に三浦半島、そして更にその向こう、空との境界には房総半島が見えています。





下山開始
 下山開始

 山頂で30分くらいの休憩後、ちょうど正午に下山を開始。指導標に従って、先ずは見晴台を目指して、山頂東側から下りて行きましょう。





景色を堪能しながら下山
 景色を堪能しながら下山

 見晴台経由の東側ルートを下山に選んだ理由は、この素晴らしい景色を正面に眺めながら、下山が出来るからなんです。

 ところでこの辺りは野生の鹿が多いらしい。





グレーチング階段
 グレーチング階段

 なので、山頂に鹿が進入して登山者を脅かす事がないように、山頂付近の一部にこのグレーチング階段が設置されています。これはヒヅメを持つ動物が、格子状の物の上を歩くのを嫌う習性を利用したもの。





眺めは良好
 眺めは良好

 左右が切り立った、狭い尾根の道を歩いて行きます。冬場で樹木が落葉しているので、眺めは良好。





見晴台より大山を望む
 見晴台より大山を望む

 下山開始からおよそ1時間で見晴台に到着。ベンチやテーブルの設置されたこの場所からは、美しい稜線を持つ大山の姿をじっくりと観賞する事が出来ます。しばし休憩タイム。





下社方面へ
 下社方面へ

 見晴台から登山道は二手に分かれます。一つは石雲寺方面、もう一方は下社方面。指導標に従って、ここは下社方面へ下りて行きましょう。





二重社
 二重社

 途中、登山道脇に小さな社がありました。掲げられた扁額には二重社と記されています。これは阿夫利神社本社に付属する社(摂社)です。





二重の瀧
 二重の瀧

 二重社の傍らには二重の瀧があります。しかしながら、瀧にしては今日は水量が少なめ。チョロチョロと流れ落ちています。ちょっと迫力に欠けるかなぁ、って感じ。





左側の男坂へ
 左側の男坂へ

 男坂と女坂の分岐点まで下りて来ました。もう立ち寄ることはしませんが、下社がすぐ近くにあります。下山時には男坂を利用する計画なので、左方向へと進みましょう。





八大坊上屋敷跡
 八大坊上屋敷跡

 東屋やベンチのある広場がありました。昔この場所には、大山を治めていた長官(かみ)の住居があったんだそうです。ここでは休憩せずに、このまま先へ。





男坂は急傾斜
 男坂は急傾斜

 しかし、さすがに男坂は傾斜が急です。登りも大変だろうけど、下るのも慎重にしないと危険だゾ。





男坂と女坂の合流点
 男坂と女坂の合流点

 長いながい急傾斜の山道を下り続けて、疲労で膝が笑い始めた頃、やっと男坂と女坂の合流点が見えて来ました。





こま参道
 こま参道

 そして山頂から下山を始めておよそ2時間30分、こま参道に戻って来ました。大山詣りの山歩きもゴール間近。さーて、この辺りで楽しみにしていた遅いランチとまいりましょう。今日入ったのはこま参道にある塚本みやげ店さん。





大山豆腐
 大山豆腐

 お目当てはこれ、地産の大山豆腐。詳しくないので薀蓄は語れませんが、その人気は江戸時代かららしい。身が締まっているので、ご覧の様な竹串で刺して食べても、絹ごしなのに崩れない。力強い食感と深みのある味わいです。





ビールも美味い!
 ビールも美味い!

 大山豆腐を肴に、ビールもぐんぐん進みます。このお店では、この大山豆腐の冷奴が、何と300円で頂けちゃいます。締めに、地産のしめじを使用したつけ蕎麦の大盛りも食べて、大満足。





大山ケーブル停留所
 大山ケーブル停留所

 時間を掛けて遅いランチをゆっくり堪能した後、ゴール目指して再出発。今朝の8時半過ぎに大山山頂へ向けてスタートした場所、大山ケーブル停留所に戻って来ました。時刻は午後3時20分。









★交通 小田急線 伊勢原駅下車
★歩行距離 6時間45分(各所での休憩時間、食事時間を含む)



周辺地図
Google マップ







 インデックス
インデックス
 ホーム
ホーム