東急世田谷線沿線ツアー
2020年8月
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東急世田谷線 |
東急世田谷線はその名前の通り、世田谷区北東部の市街地の中を縫う様に走る鉄道路線で、都電荒川線と共に東京都内に残された、数少ない貴重な路面電車です。 |
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世田谷線散策きっぷ |
路線距離はと言うと、およそ5kmのミニ路線。三軒茶屋駅から下高井戸駅までの10駅を、片道20分足らずで結んでいます。
・・・と言う事で、今日はこの世田谷線に乗り込んで、ぶらり途中下車の旅をしちゃおうというワケ。そこで外せないのがこの世田谷線散策きっぷであります。料金340円也で世田谷線各駅を、当日に限り何度でも乗り降りする事が出来ちゃう切符なんです。 |
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下高井戸駅から出発です |
本日のスタート駅は、京王線も乗り入れるこの下高井戸駅。既述のように路線距離は5kmと短いので、以前は電車に乗車せず歩いて沿線を散歩したこともあったんだけど、今日はご覧の通り真夏の快晴で猛暑。エアコンの利いた電車に揺られながら、ぼちぼち散歩をする事にしよう。 |
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三軒茶屋行きに乗車 |
先ずは世田谷線下高井戸駅で、世田谷線散策きっぷをゲット。三軒茶屋行きの電車に乗り込みます。 |
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車内はクロスシート |
2両編成の車両内には、1列のクロスシートが並びます。車窓も大きめで眺めはバッチリ。
それじゃぁ出発進行ぉー! |
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宮の坂駅 |
世田谷線車窓の旅も束の間。下高井戸駅から三つ目の宮の坂駅で、先ずは下車する事にします。 |
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旧車両がありました |
駅のホーム脇には旧車両が展示されていました。案内板によると、製造はなんと大正14年なのだとか。 |
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車内にも入れます |
車内へは自由に入れて、座席や運転席にも座れるので、大昔の子供の頃に乗った電車を想い出して、郷愁に浸れます。 |
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下高井戸を出て三軒茶屋へ向かう旧車両 |
折角なのでこんな画像を張り付けてみました。これは以前、このサイトでアップしていた記事に掲載した画像で、平成12年4月に撮影の、下高井戸付近を走る現役時代の旧車両の姿。昭和39年に製造され、平成13年2月まで運用されていた、「東急デハ150形」と呼ばれる車両です。 |
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駅出入口を抜けて右方向へ |
ところで世田谷線の駅は、ターミナルの三軒茶屋と下高井戸駅以外は無人駅。だから、この二駅以外で乗車した場合の料金精算は、路線バスなどの様に車内の精算機での支払いとなります。そんな訳で、改札の無い宮の坂駅出入口をそのまま抜けて散歩開始。駅前の通りを右方向へと進みましょう。 |
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城山通り |
先ずは住宅街の中を延びる、この城山通りと呼ばれる静かな通りを歩いて行きます。 |
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最初の信号を左折 |
およそ200mほど進むと、信号のある小さな交差点があるのでこれを左折。目印は交差点左側に設置された、「大谿山豪徳寺参道口」の大きな看板。 |
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豪徳寺 山門 |
間もなく正面に、1480年の創建になる曹洞宗の古刹豪徳寺の山門が見えて来ました。山門を抜けて境内へ。 |
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豪徳寺 仏殿 |
江戸時代の初めには、幕府の直轄領だったこの世田谷の地ですが、1633年に江戸幕府から彦根藩井伊家へ所領地として与えられ、そのタイミングでこの豪徳寺は井伊家の江戸菩提寺となったのでした。 |
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井伊直弼の墓 |
境内の一角には、井伊家歴代の藩主やその家族が眠る墓所があります。画像は井伊家第15代藩主にして幕末期の大老、桜田門外の変で暗殺された井伊直弼(1815-1860)の墓。 |
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招猫殿 |
豪徳寺は、招き猫発祥の寺としても有名なんです。その由来は境内の案内板によると・・・
彦根藩第2代藩主井伊直孝の一行が鷹狩りからの帰り道、この寺の前を通り掛かったその時、住職の飼い猫が一行を寺の中へ招き入れる素振りをしているのを見つけた。そしてそれに釣られて寺の中に入った途端、雷と共に激しい雨が降りだした。 |
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招き猫がたくさん |
雷雨に晒されずに済んだうえ、住職の説法にも預かった彦根藩の一行は甚く喜び、それがきっかけで豪徳寺は井伊家の菩提寺になり、寺では猫を祀る様になったというもの。
因みに、井伊家の地元になる滋賀県彦根市の人気ゆるキャラ「ひこにゃん」は、この話が基になってるんです。 |
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小判を抱かない豪徳寺の招き猫 |
招猫観音を祀るために建立された招猫殿の脇には、沢山の招き猫がひしめいています。これは、願い事が成就したお礼に奉納されたものなんだって。 |
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宮の坂駅に帰って来ました |
来た道を戻り、宮の坂駅まで帰って来ました。ここで再び世田谷線に乗車して、お隣の上町駅へと移動する事にしましょう。 |
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上町駅 |
上町駅に到着です。駅を出たら、駅前を走る城山通りを右方向へ。世田谷線の踏切を渡ります。 |
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都道を越える |
更にその先の大通り、都道3号線の世田谷通りを越えて直進。 |
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突き当りを左折 |
そして駅前から150mほど歩いた先の、突き当りの通りを左折。 |
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大場家の表門 (重文・国) |
ボロ市通りと呼ばれるこの通りを100m余り進んだ先の右手に、寄棟造りで茅葺屋根の長屋門が現れました。ここは大場家住宅。世田谷代官屋敷と呼ばれています。見学自由。 |
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母屋 (重文・国) |
大場家は江戸時代中期の頃より代々、彦根藩世田谷領の代官職を世襲した家柄。 |
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母屋内部 |
1753年建築の表門と、1737年建築でその後昭和に入って解体復元された母屋は、国の重要文化財に指定されています。 |
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世田谷区立郷土資料館 |
同じ敷地内には、世田谷区立郷土資料館が併設されています。画像左側の建物が本館で、右側は増築された新館ですが、昭和39年竣工の本館のデザインは、上野公園内の東京文化会館や東京都美術館などを設計した建築家、前川國男が手掛けたものです。 |
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資料館内 |
開館は昭和39年で、公立の地域博物館としては東京都内で最も古いらしい。だけど館内は整理整頓メンテナンスされていて、とってもキレイであります。 |
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ボロ市通りを進む |
世田谷代官屋敷を後にして、目の前のボロ市通りを更に先へと進んで行きましょう。その名前の通りこの周辺では、毎年12月と1月の15~16日に世田谷ボロ市という歴史の古い骨董市が開かれ、新品の衣類や雑貨なども多数商われて賑わいます。 |
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突き当りの交差点を左折 |
代官屋敷前からおよそ300mほど歩いて来ると、信号のあるT字路の世田谷中央病院交差点に突き当たるので、これを左折して、世田谷駅前商店街に入ります。 |
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世田谷駅まで歩いて来ました |
そのまま商店街を進むと、間もなく世田谷駅に到着。
・・・ってことは、お隣の上町駅からこの世田谷駅までの区間は、電車に乗らずに歩いて来たって訳なんです。 |
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松陰神社前駅 |
世田谷駅でまた世田谷線に乗車して、一駅先の松陰神社前駅で下車。この駅には出入口が二箇所あるので、今日は三軒茶屋に向かう進行方向に設けられた、東側の出入口を抜ける事にします。 |
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駅前商店街を進む |
駅前に出たら左方向へ。目の前の松陰神社通り商店街を進んで行きましょう。 |
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松陰神社 |
駅前商店街沿いに歩いて行くと、程なく正面に松陰神社の大きな鳥居が見えて来ました。この松陰神社の主祭神はその名前からも分かる通り、江戸幕末の教育者にして多くの勤王の志士たちを指導した吉田松陰(1830-1859)。 |
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社殿 |
伊藤博文や高杉晋作などの、松陰が主宰した松下村塾の門下生の手によって、明治15年に創建されました。 |
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境内に設けられた松下村塾のレプリカ |
吉田松陰と言えば安政の大獄によって、なんと満29歳の若さで刑死したのは有名な話なんですが、尊王攘夷派や一橋派を弾圧したこの安政の大獄を推し進めたのが、今日既に寄って来た、すぐ近くの豪徳寺に眠る井伊直弼。しかし、この運命の二人がこんな目と鼻の先に今でも共に眠っているなんて、なんていう皮肉なんだろう。 |
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松下村塾 講義室 |
だけど、松陰神社がこの土地に創建されたのは、松陰の出身である長州藩の藩主、毛利家の屋敷がここにあった事が理由の様で、どうも期待してた様な? 因縁深いものは無いらしい。 |
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石灯籠 |
境内には32基の石灯籠が建立されています。これは松陰の門下生たちによって明治41年に奉納されたもので、因みに画像のものは手前から伊藤博文、山形有朋、井上馨、桂太郎からの奉納で、明治政府で首相や元老などを務めた、錚々たる重臣ばかり。 |
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吉田松陰 墓所 |
木戸孝允からの寄進になるこの鳥居の先には、吉田松陰の墓所があります。 |
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松陰の墓 |
勤王の志士たちと眠る吉田松陰。29歳で刑死の後、千住小塚原の回向院に葬られていた松陰の亡骸を、明治維新直前の文久3年(1863)、この地に改葬したのだとか。 |
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若林踏切 |
松陰神社前駅まで戻って世田谷線に乗車。今日はこのまま二駅スルーして、三軒茶屋駅まで行ってしまおうかと思っていたんだけど、気が変わってお隣の若林駅で急遽下車。若林踏切を眺めて行くことに。駅を出て、三軒茶屋方向へ少し歩いた場所にそれはあります。世田谷線と東京都道の環状7号線が交差するこの場所の風景は割と人気で、信号待ちの車を横目に、遮断機の無い広い通りを世田谷線が悠々と横断して行きます。 |
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三軒茶屋駅に到着 |
本日のゴール、三軒茶屋駅に到着です。だけど、ぶらり途中下車の旅はもう少し続きます。 |
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キャロットタワー |
キャロットタワーは三軒茶屋駅と直結した地上124メートル27階、地下5階のにんじん(キャロット)色の高層ビルです。世田谷線はこのビルに乗り入れていて、駅ビルと言っても良いくらい。平成8年の竣工で、商業施設や企業のオフィスが入居しています。 |
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展望フロア |
高速エレベーターに乗って、利用階としての最上階になる26階へ上がると、そこは眺望バツグンの展望フロア。スカイレストランもあったりします。 |
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眺望バツグン |
眼下には世田谷線が走っているのが見えています。折角なのでレストランでゆっくりと、この素晴らしい眺望を眺めていくことにしようかな。
暑いし、ビールでも飲みながら・・・ |
周辺地図
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