嶋津晴美「そこにひろがる情景」

人も植物も、それ以外の様々な事物も、普段より少し違った見方をしたり、ぐっと近づき歩み寄ることで、新たな発見をもたらす。身近な対象物を微細に観察することで、新しい世界を呼び込み、より広い世界へとつなげてゆきたい。私が見ている光景、描くうちに見えてくる光景が、他の人達にとっての自由な光景になりえたらいいと思う。

私はモノやヒトを見るとき、それらとのキョリをぐっと引き寄せて見ている。カメラのズームレンズを引き寄せるようにごく自然にそれをやる。その視覚的感覚は、以前写真に携わっていた事がひとつの要因かもしれない、なにかのきっかけで、私とモチーフとの距離が縮まった時、描きたいもののイメージがわいてくる。

（嶋津晴美）