金安正臣「春纏展 vol.11」

5/4(火) - 5/9(日) 12:00 - 19:00(最終日17:00まで)
展示風景
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早春の冷たい雨の降る午後、千駄木の裏路地を入ると、大きなガラス張りのギャラリ−があり、中を覗くと女性が「どうぞ」と優しく声をかけてくれました。
そんな日から6年、今回で10回目となる

春纏展

個展のタイトルを考えて漢和辞典から「纏」と言う漢字を見付け、春から夏へと向かう新緑の空気の美味しい季節に開く個展にぴったりだと思い春纏展と付けました。

作った服を着て下さる人、毎年楽しみにいらして下さる人との時間はとても大切な時間であり、勉強になる場です。
毎年新しい布との出会いがあり、その布をどんな形の服に仕上げられるかと、楽しい時間を過ごす日々です。
何度も同じ形の服を作っていると、その形に合った布が見えてきます。そして、形に適している布を捜したり、布から服の形を教えられたりもします。

布に合った形に仕上げられた時は、とても嬉しいものです。
服は、ハンガーにつるされ飾ってある時よりも、人が身に纏った時が服のいちばん美しく見える時であると思います。又その服を着た人全体が、バランス良く見えるのが、その人に合った服であり、服だけが目立つのでは良くないと思います。

着るほどに肌に馴染み表情を変える天然素材、何度も着ることにより自分の体に馴染んでいき風合いが出る麻布。いままでの展示会の中で、発表してきた服は、ほとんどが麻布中心で、麻布に合った形をデザインしてきました。
最初はゴワゴワから、テロテロになるまで長い間身に纏っていただきたいと思い、飽きのこない形、流行に左右されない形を求め、思案しながら作っています。

同じ形の白いブラウスでも、綿布、麻布では見た目にも、着ごこちも、まったく違うものになります。麻布に、綿が半分入ることで、とてもやわらかい肌触りが生まれます。ひとつの形を、いろいろな布で楽しむ事も、面白いのではないでしょうか。

服を通して、日々の生活の中で、心地良さを身に纏い感じていただきたく、個展を開いています。

(金安正臣)