関直美「開放へ」

11/9(火) - 11/21(日) 11/15(月)休廊 12:00 - 19:00(最終日17:00まで)
展示風景
  • 写真1
  • 写真2
  • 写真3
  • 写真4
  • 写真5
  • 写真6
  • 写真7
  • 写真8
ハンノキ

この春、久しぶりに木を使った作品をつくってみたくなり、早速友人に電話をした。
彼は林業を営んでいる。 *荒山林業
5月初旬、森の中を彼の案内で歩き、木を選定した。ハンノキ。
チェーンソーも彼に選んでもらい、新品を手に入れた。オイルもガソリンもついでに頼む、という彼任せの準備。
川崎市のアトリエから長野県大町市海の口まで片道300キロ弱の距離、5回往復した。
しばらく誰も使っていない山小屋を借り、これまた久しぶりにシュラフにくるまった。
何台目のチェーンソーになるだろうか、アイルランドに置いてきたもの、友達にあげたもの、壊したもの。再びチェーンソーが手元にきた。すっかり忘れていたがエンジンソーの、あのガソリンの匂いがいいのである。バイクのようなエンジン音がいいのである。電動のチェーソーとは、一味もふた味も深みが違ってくる。
適当にカットした木材は今、アトリエにある。雑用に追われその木をいじれない、じれったい日が過ぎている。(注;今は6月のこと、2010/11/4 加筆。)
倉庫

‘海の口通い’と時を同じくして、1990年から何人かでシェアしている作品保管倉庫の整理に通う。山梨県小菅村。こちらはアトリエから片道約100キロ、こちらの‘森通い’は往復3回。だんだん一杯になってきた時、好意でお借りしているのでこれはまずいな、と2000年以降の作品は他の場所に持って行くことにして、その倉庫を私だけは遠慮してきた。
一度だけ、2005年に作品を取りに行ったことはあった。それ以来である。
まあ、重たい作品を作っていたものだ、作業をしながらあきれかえる。あの当時、恩師に捨てるなと言われて残してきたが、もはや時代は変容した。
整理していると、ひとつひとつどうしてこのような作品を作ったのか、ふつふつと蘇ってくる。評価されたものもある。評価されなかったものも。でも評価って、何だ?
再び木

4年前、木を材料とした屋外作品の見積もりが合わなくて‘張りぼて’の作品を作った。表現の多様化に伴い、いくらつくりかたとしての‘張りぼて’が市民権を得てきたといっても、私にとっては違和感を免れなかった。これがきっかけで、ここ何年かむきになって異素材に関わった。敢えてやってみた。
再び木。チェーンソー。リセットか、新しいスタート、か。
森に入り高い木立の下、ヒトは、私の場合は、たった1.6メートルの背丈である。
謙虚でありたい。
関直美

1994 第4回現代日本木彫フェスティバル大賞受賞
1998 文化庁海外派遣員としてアイルランド、リィトリムスカルプチャーセンターに滞在
2007 アイルランド現代美術館・アーチストレジデンスプログラムで同館に滞在
■主な展示

2009
「A Ckid 2009」深谷正子とコラボレーション、キッドアイラックホール、東京
「Chain2」シアターX(かい)、東京 他個展多数

2008
「A Ckid 2008」紙田昇とコラボレーション、キッドアイラックホール、東京
「Art Kawasaki 2008」アウマンの家、川崎

2007
「旅展」新国立美術館、東京

2006
「越後妻有トリ工ンナーレ、越後・妻有」新潟
「あしがら里山アートフェスティバル」足柄、神奈川

2005
「出雲玉造アートフェスティバル」玉造、島根

2004
「四空間」千空間、東京

2003
「おんなのけしき世界のとどろき」東京日仏学院、東京
「国際木彫キャンプ」、砺波、富山

2002
「ロッフブーラパークランド国際彫刻シンポジウム」オファリー、アイルランド
公開制作「In 森の校舎かたくり」三島、福島

2001
「現代美術国際交流展」アートガーデン川崎、神奈川
「宮城芸術祭」仙台メディアテーク、宮城

2000
「ぶなの森」古川市民ギャラリー、宮城(以後毎年)

1999
「工グシャー Arts Festival」 カーロー、アイルランド
「エクスプローリング」国際彫刻シンポジウム、キルケニー、アイルランド

1997
「アートフラッシュ動き出す断層」千葉市民ギャラリー、千葉

1996
「神奈川アニュアル」神奈川県民ホール、横浜
「ウッドランド国際彫刻シンポジウム」ウィックロウ、アイルランド1997

1995
「Fine Art Consultancy」クロープギャラリー、ロンドン、イギリス
「第三回国際木彫シンポジウム」ホイヤー、デンマーク
「フォレスト」ギャラリーオカベ、東京

1994
「マルフェルモ」ギャラリー睦、千葉

1993
「Minimal CompliCity」BACギャラリー、ボストン、アメリカ
「CAC津久井」津久井町、神奈川
関連リンク
関直美/ArtWorks website