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POETRY
book.1

長文詩 #1

【 俺 】

本当は・・・

俺はクールなんかじゃない
俺は冷静なんかじゃない
そう見えるのは俺がきっと格好つけてるだけなんだ

おまえに
弱いところは見せたくない・・・・・一緒にいたいんだ
おまえに
わがままな面は見せたくない・・・・・一緒にいたいんだ

おまえの
重荷になりたくない・・・・・ここにいてくれよ
おまえを
束縛したくない・・・・・ここにいてくれよ

素直に言えたらどんなに良いだろう
でも怖いんだ
そんな俺を見せてしまったらおまえが
離れていってしまいそうで

俺はクールなんかじゃない
俺は冷静なんかじゃない
ただ
格好つけてるだけなんだ

本当のことを言うと
大人を
気取ってるだけなんだ
したくない無理をしてるだけなんだ

−TITLE LIST−

夜に舞う

She was born

いつかのある日

happy birthday my dear one

流れの中に於ける思考現象

時間

時計

この手の中に

死というもの

新たな扉

安息と不安

love letter

偽り

I was born NEW

HELP NEW

DREAM NEW

at this time NEW

恐怖 NEW

【 夜に舞う 】

一点の陰りもない闇夜に 月が君臨している
強く輝くその月に呼ばれ 星々が舞いはじめる
月の輝きは安らぎを与え 強さを与え 世界を包み込む

目を閉じる

月の輝きは消えることなく 星々の舞いは終ることなく
吸い込まれていく

いつのまにか星々にまじって舞いはじめる

優雅に 軽やかに 静かに けれど力強く 舞う
月の吐息は世界をかけめぐる 風となり
星々とともにその風にのり 飛翔する
ただひたすらに飛翔しつづけ 一心不乱に舞いつづける

心のなかには何も無い

俗世界の苦しみも 悲しみも 欲望も 喜びも 無い
体内に“無”を纏い 体外に“安”を纏っているだけ

神の世界にいる
神の世界を旅する
神の世界にいる

星々は舞い 月は風を生み出し 神にかこまれて 舞い踊る
月に抱かれ 星々に祝福され 一体となる
月の輝きのなかで 舞いつづける
月が見守るなかで 飛翔しつづける
疲れることを 俗世界を すべてを忘れたとき
星になる

夜が明け 日が暮れ
また 舞いはじめる

【 She was born 】

6月の末
まだ梅雨も明け切らぬ
蒸し暑い時期に彼女は生まれた

初めて彼女に出会ったとき
彼女は静かに眠ってはいたが
何となく幸せそうに見えた

4,000グラムにも満たない彼女は
とても壊れやすいガラス細工のように
とても弱く見えたけれども
それでもちゃんと人としての命を持っていた

彼女にしてみれば
決して希望の場所に生まれたわけではないけれど
それでも望まれて生まれてきたのだから
やはり幸せなんだろう

きっとこれから長い年月生きていく彼女に
どんな幸せ不幸せが待っているのかわからないけど
それでも幸せが多ければいいなと願っている

6月の末
梅雨も明け切らぬ
蒸し暑い時期に姪は生まれた

初めてであった姪は
とても小さく今にも壊れそうだったけど
とても幸せそうだったし
何となく輝いて見えた

【 いつかのある日 】

木枯らしの吹く街角で
久しぶりに君に出会った

君は明るく微笑んで
話してくれた

俺はとても嬉しくて
つい話し込んでしまった

久しぶりに君に出会ったのは
木枯らしの吹く
ちょっと曇った秋の出来事

花びらの舞う街角で
久しぶりに君を見かけた

君はとても幸せそうに
見知らぬ奴と話してた

俺はちょっと悲しくて
目をそらして通り過ぎた

久しぶりに君に出会ったのは
花びらの舞う
とても暖かな春の出来事

いつまでだって君のことを
本当に君のことを
考えながら生きてきた

久しぶりに君に出会ったのは
季節が変わる
そんなある日の
ほんの出来事

【 happy birthday my dear one 】

新しい日々の始まりとともに、
誕生日を迎えた親愛なる人に、
何か贈り物をしようと思ったのは、
昨日の夜。

何を贈ろうか迷った末に、
夢の一つを贈ろうと思う。

こんな僕でも、
夢の一つぐらいは持っているってことを、
覚えていてほしいから。

親愛なる人へ。
誕生日おめでとう。

【 流れの中に於ける思考現象 】

暗い海の中を漂っていた。
躯にはもうほんの僅かの力も無かった。

だんだん躯が小さくなる。
少しづつ躯さえもが失われていく。
状況をどうにかする力も無いので海流の赴くままに流れている。
行く先は知らない。

暗い海の中を漂っている。
周囲に実に様々な見掛けをした有機体が近寄ってきた。

有機体は平行して流れている。
とても耳障りな音を発している。
無力であるが故に逃げ出すことすら許されない。
行く先は解らない。

暗い海の中を漂っていた。
躯には失われていく力と反比例して苦しみが山積みされた。

いつのまにか苦しみは躯から溶けだしていた。
必死でそれを止めようと試みた。
手遅れだった。
行く先は知らない。

暗い海の中を漂っている。
山積みにされた苦しみを撒き散らしながら。

平行していた有機体。
流れ出た苦しみがまとわりつく。
有機体はそれを振り払うように立ち去っていく。
行き先は解らない。

果てしなく続く暗闇の中で・・・。

暗い海の中を漂っている。
とてもありふれた病原体を抱えながら。

有機体が立ち去った後に残されたもの。
ほんの一欠片の夢。
打ち寄せ蝕む孤独の波。
行く先は知らない。

暗い海の中を漂っていた。
蝕まれた躯を癒しながら。

もう少しで躯が失われる。
そんな時決まってあの有機体が近寄ってくる。
何もかも受けとめるとでも言いたげ。
行く先は解らない。

暗い海の中を漂っていた。
ただ繰り返すだけの流れの中で。

認めてくれる存在は何一つない。
受けとめてくれる存在は何一つない。
素直になればなるほど孤独という病原体に蝕まれる。
そこに有るのは裏切りと孤独と劣等感。

何処へ辿り着くのかわからないままに。
暗い海の底を漂い続けている。

果てしなく続く暗闇の中。
たった一つの光にしがみついている。

俺。

【 時間 】

人間の関係なんておかしなもので、
もう何年も関係がなかった奴と久しぶりに話しても、
ちゃんと共通の話題があるから不思議だ。

確かに何十年という月日が経ったところで、
そいつと過ごした記憶は残り続けていくのだから、
思い出話に花が咲くこと自体は何の不思議もない。

けれど共通の話題が、
以前は全く話したことのないような分野のことだったりすると、
それはもう不思議としか言えなくて、
思わず笑い出してしまったりする。

そんなことがあると時間という概念的なものが、
何だかとても無意味なもので、
なんとなく虚しくなってきたりする。

どんなに突っ張ってみたところで、
人間は誰もが皆時間に追われ、
存在理由のはっきりしない概念に縛られている。

一体誰が考え出したのか知らないが、
こうして生活の中に身をおいていると、
時として非常に便利な考えでもあり、
逆にはなはだ迷惑な考えでもある。

朝日が昇り人々は動き出す。
何時の列車に乗って何時に仕事について何時に仕事を終えて、
何時に家に戻り何時に食事をし何時に床につく。

恋人と二人公園で夜空を見上げている。
不意に男が言う。
『今何時だからあと何分で終電の時間だよ。』
ムードも何もあったものではない。

太陽が昇る。
今日という日が始まる。

太陽が沈む。
今日という日が終わる。

必要なのかどうかすら解らない概念に縛られているくらいなら、
いっそのこと偉大な自然に抱かれながら、
自然の摂理に従って生きてみたい。

昼行性なのか夜行性なのか、
それすら解らなくなってしまった人間にとって、
時間という概念が未だ必要なのだろうか。

地球を覆う自然界の中の最も弱い存在である人間という生物にとって、
時間などという自己を縛り付けているような概念が、
はたして本当に必要なのだろうか。

もしかすると人間は、
全く必要性のない概念にすがることで、
自然界の中で生きていけるのかも知れない。

何れにせよ久しぶりに話した奴との間に、
思い出以外の全く新しい話題が存在しているという事は、
とても幸せなことだろうし、
そういった類の幸せを感じさせているのが、
他でもない人間の作りだした時間という概念であるという事は、
確かなことなのだろう。

【 時計 】

何も見えない。
耳の奥で時計のネジを巻く音だけが響いている。

暗い世界の中で一人でいると、
何となく強気になってきて、
まるでこの世界を掌握しているかのような錯覚に陥る。

自分に都合の好いことばかり考えて、
自分を主人公にした世界を考えて、
けれどそれは単なる空想の世界でしかないことも解っている。

空想の世界の自分は、
現実の自分の持っている欠点なんて克服してしまっていて、
誰から見ても格好良く好まれる奴。

現実の世界の自分は、
何一つとして満足に出来るわけでもなく、
好まれたい対象からも疎まれる奴。

一日の締めくくりとして、
空想と現実を行ったり来たりしていると、
その内どちらの自分が本当の自分かすら解らなくなってしまう。

そんな時間を過ごしていると、
毎日がとても無意味なものに感じられて、
いつの間にか『何処にでもいる交換可能な奴』になってしまう。

そんな時間を過ごしていると、
自分が脇役専門の人間に思えて、
俗に言う自己嫌悪の状態になってしまう。

自己嫌悪が自己嫌悪を呼び、
さらに大きな自己嫌悪の感情が最後に見せるものは、
自己破壊の感情でしかない。

自分を殺してしまいたいと思い、
カッターの刃を交換し、
自分の細い手首に押しつける。

けれどそこから先へと踏み込むことが出来なくて、
また同じ事を繰り返しながら、
暗い世界の中を落ちていく。

暗い世界の中に自分の躯をおくと、
その躯は重い気体に押しつぶされ、
自分の意志で身動きすることが許されなくなってしまう。

自分で望んでいるわけではなくとも、
暗い世界と現実の世界とはつながっていて、
時の流れは同じ速さで進んでいってしまう。

気づいたときには既に手遅れで、
何もかもが自分の周りから離れていってしまい、
暗い世界の中に取り残されている。

何も見えない。
耳の奥で時計のネジを巻く音だけが響いている。

また時計が動き始める。
その動きは残酷なほど冷静かつ正確に、
自分自身を切り刻んでいく。

【 この手の中に 】

今まさに
この手の中に
何かを掴もうとする

この手をつなぎ止める
幾本かの鎖を断ち切り

その五本の指に
確固たる力を込め

今まさに
手が届き
掴もうとした

その刹那

この手は空を掴み
抵抗のない感触と共に
鎖が増えた
重さを感じている

【 死というもの 】

死を畏れてはいけない

生きているのだから
当たり前のように
訪れた死を受け入れるべきだ

生まれ
立ち上がり
歩き出し
悩み
怒り
悲しみ
苦しみ
喜ぶ

その全てと同じように
生の中にこそ存在する
存在する


死を望んではいけない

生まれてきたのだから
生きるために
歩き続けるべきだ

人を愛し
人に愛され
人を助け
人に助けられ
夢を持ち
夢を語り
生きた証を残す

その全てのために
生きなくてはならない
歩き続けなくてはならない

この蒼い星には
無数の命が宿り
生と死を繰り返している

自然に訪れる死を
いつの日か訪れる死を
畏れることなく待ち続け
訪れたその時には
当たり前のように
毎日を迎えるように
その扉を開き迎え入れる

死は
畏れるものでも
望むものでも
拒むものでも

そして

与えるものでも

ない

【 新たな扉 】

あれからどれ程の刻を経たのだろう

今となっては

此処まで歩いてきた道程さえも

朧気なものとなってしまっている

それでも

何とか此処まで歩いてきたのだから

この辺りで休もうか

しゃがみ込む場所を探して

目に入ってきたモノは

扉がひとつ

誰も触れたことのない

扉が

行方に立ちはだかり

これから先に続く

長い時間を覆い隠している

【 安息と不安 】

独りで居るとき

何とも言えない安息が

周囲を取り囲むことがある

安息に囲まれながら

独りで居るということに

至高の贅沢のような

そんな心地よさが生まれる

独りで居るとき

何とも言えない不安が

周囲を取り囲むことがある

不安に囲まれながら

独りで居るということに

何もかも失ってしまったかのような

そんな寂しさが生まれる

人はその両端を求める

その両端に立ったとき

人は自らが感じていることについて満足する

そして周囲が手を差し伸べることを要求する

たとえ孤独を愛し続け

孤独と共に死するとも

孤独を愛するが故に

誰かのぬくもりを求める

人は何と身勝手な存在なのかと思い

そう思うことで自分の足場を固めていることに気付き

我もまた人なりと苦笑し

そのことに満足する

そしてまた苦笑

【 love letter 】

暗闇の中で

君から送られた蛍が

静かに光る

『午後六時三十八分です。』

「・・・・・・・・・・」

『午後七時八分です。』

「・・・・・・・・・・」

『午後七時五十二分です。』

「・・・・・・・・・・」

『午後八時五十六分です。』

「・・・・・・・・・・」

『午後九時三分です。』

「逢いたいよ。」

【 偽り 】

あの気持ちに偽りはなかった

あの言葉に偽りはなかった

あの時間に偽りはなかった

あの口づけに偽りはなかった

ただ



伝えられなかっただけ

【 I was born 】

誰によってかわからないけど

あの日この世界で

産声を上げた

いつだって

わかっていたはず

この世界に存在する場なんて

在るはずもない

あの日の現象を

例えば生をうけたと言うなら

いったい何のために

いつだって

気づいていたはず

この世界に存在する理由なんて

在るはずもない

あの日の現象を

例えば生まれたと言うなら

いったい誰のために

いつだって

知っていたはず

この世界で必要としてくれる人なんて

居るはずもない

神の仕業か

人の仕業か

誰によってかわからないけど

あの日この世界で

産声を上げさせられた

【 HELP 】

私が生まれた頃

私のまわりには沢山の人が

まるで私を守るかのように

立っていました

私が育つにつれ

私の周りにいた人は

少しづつ痩せ衰えて

倒れていきました

そんな時きまって

その人のまわりには

小さな生き物がいました

私がだいぶ大きくなった頃

私の周りにいた人は

みんな倒れてしまって

誰も居なくなりました

私もやっと立派になった頃

私のまわりに小さな生き物が

何やら恐ろしげな形のものを持って

毎日集まってきました

そんな時きまって

私は具合が悪くなり

そこから逃げ出したくなるのです

どこかで今日も私の噂をしています

「そろそろあの木も使えそうだな。」

「ええ。明日あたり切ってしまいましょうか。」

「ああ。人を集めておいてくれ。」

「そうですね。大きな獲物ですから。」

私は彼らに「木」と呼ばれています

【 DREAM 】

いつまでも夢見てちゃいけない

夢は所詮夢

夢と現実は違う

夢がある

叶うかどうかなんてわからない

とりあえず夢がある

夢を持つのはかまわない

けれど夢だけじゃ生きていけないんだ

夢だけじゃどおしようもない

現実って何なのさ

夢だってかまわない

いつか夢が現実になるかもしれない

夢ばかり見ていてもしょうがない

先のことを考えてみればわかる

夢を見ていても得にはならない

損得なんて関係ない

ただ闇雲に生きていくくらいなら

夢を見ながら死んでいきたい

夢なんか見ていても金になるわけじゃない

夢はいつか必ず捨てなければいけないんだ

目を覚ませ

金のために夢を見ているわけじゃない

まして金のために生きているわけでもない

夢がある以上後悔したくない

今夢を捨ててしまったら

死ぬべき時になって

必ず悔いが残ってしまうんだ

【 at this time 】

この時期になると

毎年のように同じ悩みに苦しめられる


時間はあるのに

やりたいことも山ほど有るのに

本気になれない


自分を励ましたところで

後に残るのは

虚しさと自己嫌悪


自己破壊の念に駆られる


自分がこの世界にいることが

とても無意味に感じ

自分がいなくなった世界のことを夢見る


この時期になると

毎年のように

同じ悩みに苦しめられる

【 恐怖 】

今一番恐ろしいことは

自分が自分でなくなること

自分で自分を殺してしまうこと


意識しているわけではないけれど

その中にはいると

無意識のうちに

自分を消し去ろうとする

それを見たとき

疲れと虚しさだけが残る


人間を苦しめながら殺すなら

集団の中に投げ捨てればいい

全く同一の人格がひしめく

そんな集団の中にだ

投げ込まれた奴は

まず人格から朽ち果てていくだろう

実に簡単なことだ

この世界においては


俺は死のうとしている


Copyright 2003 Takashi 'kan_chan' Kanamori All rights reserved