「いっ」
割と離れた位置から声を掛け。
「ちっ」
猛ダッシュ。
背後から行ければベスト。振り向き様の相手の首を目標に。
「ゴ――――ッ!!」
「ぐはぁっ!!?」
ラリアット。
そのまま首をロックして連れ去るべし。
「『連れ去るべし』じゃねえよ!!」
「ヒトの心の声にツッコミ入れるなんて非常識な技持ってるね、一護」
「非常識のカタマリみてえなヤツに言われたくねえ!! ってか、いきなり何しやがる!?」
「拉致アット。ラリアットかましたまま拉致ると言うことで♪」
「笑顔でさわやかに言ってんじゃねえよ! つーか何のために!?」
「うるさい黙って拉致られてなさい」
人目がなくなったのを合図にして、瞬歩で移動。
一瞬で目的地が見えて――
――ドゴゴンッ。
「うきゅっ!!」
「ぎゃあ!?」
知った霊圧が近づいてきたと思ったら、大きな音と悲鳴が聞こえて。数秒後、ガラリと勢いよく入り口の戸が開け放たれ、オレンジ色の頭をロックした黒髪の少女がにこやかな笑顔で入ってきた。
「やっほー♪ 姐さん、ルキア、いる~?」
「呼んでおいて『いる』はないのではないか」
ルキアが少女、の言葉に呆れた様子で返す。
は大きく溜息をつくと椅子から立ち上がった。
「また目測を誤ったのか?」
「はい! まだまだ動体視力に難アリのようです!!」
ビシッと敬礼。
その反動でロックが解除されて、オレンジ色の頭の少年、一護が床に転がった。
「それに巻き込まれた俺は何なんだ……」
「生きていたか、黒崎」
「この程度で死なれても困る」
「ちゃんと息はできるようにして連れて来たもん、死ぬわけないじゃん」
大して心配もしていないような物言いに、一護の額に青筋が浮かぶ。
「テメーら……」
「そういえば、私たちをここへ集めた理由は何なのだ?」
一護を綺麗に無視してのルキアの問いに、はにんまりと笑って内ポケットから取り出した何かを高く掲げた。
それは一枚の紙。
「じゃーん♪ 某甘味処のペア二組ご招待な無料(タダ)券~♪ 今日が期限なんだけど、行くよね行くよね行くっしょ!?」
「行く」
「おお! でかしたぞ、!!」
喜んでいるのは女三人のみ。
一護は眉間の皺を深くして、あからさまに溜息をつく。
「そんなことのために連れてこられたのかよ、俺は……」
「そんなこととは何だ。女子にとって甘味は必要不可欠な摂取項目だぞ」
「そうよ。それに両手に花どころか、プチハーレム状態じゃない。むしろ喜べ」
「誰が喜ぶか!! つーか、扱き使われるの間違いだろ!!」
「男が細かいことを気にするな」
「細かくねえ!!」
「さあ、時間がもったいないわ。さっさと行っちゃいましょう♪」
完全無視、再び。一護の青筋が増える。
「待ってろー! あたしの桜餅ぃー♪」
「白玉餡蜜!」
だが一護が激怒するより先に、とルキアは保健室を後にしていって。
残されたは、宥めるように一護の肩に手を置く。
「諦めろ、黒崎」
甘味処への道に、上機嫌でスキップする女子高生が二人と、その後ろを歩く白衣の女性に引きずられたオレンジ頭の男子高生を目撃したものが多数いたとか。
END