言の葉を刻むもの
01

温かい日差しが差し込む座敷に、二人の女死神がいる。

静まり返っているその場所は特番隊隊舎の一角で。
障子を取り払ったこの部屋に、向かい合うように二人が正座をして茶に手をつけている。
正確には茶に手をつけているのは青黒い長い髪をした女性のほうだけだが。
もう一人の死神、明るい橙色をした髪をした小さな死神はどこか神妙な表情で目の前の死神を見ていた。
どこか真剣に、姿勢を正しく。
そして彼女の言葉を待つかのようにただひたすらに彼女を見ていた。



それを察してか、茶を手にしていた女性は少しだけ眉根を寄せて、大袈裟に溜息をついた。






「…………で?私に……どうしろと?」

「ですから!どうしても姐さんの意見を聞きたいんです!」






問えばすぐに返ってくる言葉。
その言葉に更に眉根を吊り上げて、と呼ばれた死神は再び溜息をついた。



「…私には……判断しかねる……」

「そんなことないです!姐さんの意見なら絶対に参考になります!」

「無理だ」

「無理じゃないです!!」

「…………」



が目の前の小さな死神、と呼んだ死神を見据えれば、彼女は相変わらず意思強い瞳を込めてだけを見ていた。
それを受け止めて、はまた溜息をつく。



「……私には無理だ……諦めろ……」

「そんな!ただ、あたしはただ、姐さんの言葉が聞きたいだけで…」


「…そのようなこと……言える訳がない……」


「そんなことありません!」


「無理だ。諦めろ」




















「ただどちらかを選ぶだけじゃないですか!!『新・ミラクルグレートファイバーX』と『神技!死屍滅用青龍刀α』のどっちかを選ぶだけですよ!?」





「だからな、そんなどちらも恥ずかしい名前など選びたくはないと言っているだろう!!大体なんだ!その支離滅裂な二種類の名前は!!」

















一晩寝ずに考えたあたしの愛刀の名前です!!個性が出てていいじゃないですか!」


「個性が出まくりだ。それは」


「一角先輩にも言われました」


「……そうか。斑目にも聞いたのか……それ…」

「どっちがいいですか?って聞いたら問答無用で怒鳴られました」

「………………」

「だからこうして姐さんのところまで来ました」

「いや、その経路がわからないから。なぜ…私…?」

姐さんが選んでくれれば、一角先輩も絶対反論できないと思ったからです!」

「…なんの対抗だ……それは……だいたいね、

「はい?」

「………斬魄刀は名前が存在する。そのようにわざわざ自分で名前を考える必要なんてないよ……」

「わかってます!でも、でも……あたしはまだ始解にすら至ってません」

「………………」



「だから名前も知りたくても、知らないんです。だからせめて始解に至るまで愛着が湧くように仮の名前を考えてあげようと思ったんです!




「そんな名前じゃ愛着なぞわかん!」




「なんでですかー!いい名前じゃないですか!」

「……毎回毎回、あんな長い名前を復唱したいのか?」

「はい!!」



「…………………………………」



ものすごい嫌そうな顔ですね。姐さん。あたしだって本当の名前で呼びたいです。でも何度呼びかけてもあたしの斬魄刀は応えてはくれませんでした」

「………しかし、だからといってそれは斬魄刀が可哀想だ…」


「なんでですか!?格好いい名前じゃないですか!



どこがだ!!……いや、名前云々は100歩…いや千歩譲って置いておくとして……本来の名前が存在する以上、仮とはいえ名前を別につけることは、その斬魄刀の名前を否定することになる…」



「……でも……」


「共に今後もいたいと思うならば……その名前は諦めろ

「結局名前云々の話に戻るんですね」


深く突っ込むな。大体、そんな恥ずかしい名前を付けられてみろ。お前の斬魄刀、泣くぞ」


「そんなことないです!むしろ大喜びですよ!」


そうか。そんなにも号泣されたいか。斬魄刀の声が聞こえないというのは本当に不便だな」


「何げに馬鹿にしてますね。姐さん」

「馬鹿にしているとわかるように言っているんだ。いい加減、気づけ。自分の過ちに……

「うーん………よくわかりません!」

「…………もう……いい。………とにかく、名前を付けることはあまり良いことではない…」

「そうですか……でも…」

「……なら、聞いてみようか…」

「え?」

「私は私の斬魄刀のことしかわからない。の斬魄刀云々というのは専門外だ。……なら、その専門の者に聞くのがいいだろう」

「専門…?」

「死神が存在する…そして斬魄刀がある……死神の数だけそれを作るものがいる……」






「鍛冶師さんですか?……てっきり斬魄刀ってどっからか掘ってくるのかと思ってました



なんで!?………お前の発想は……本当に個性豊かだな…」







「あはは、照れますよー」

「(褒めてない…)……斬魄刀には鍛冶師がいる。斬魄刀のことについてはその者に聞くのがいいだろうね」

「でも、そんな人知りません」

「私が知っている」

「さすが姐さん!顔が狭いようで広いんですね!!

「………言葉……ちゃんと理解して言ってる?」


「多分」


「……………とにかく、どうして名が聞けないのか…その者に聞いてみるといい。私が案内するから……、お前は檜佐木と阿散井を連れて来い」

「へ?どうして修兵と恋次を?」









「ストッパーがいないと私の身がもたん。私は元々ツッコミ体質ではないんだよ」









姐さんってボケ体質だったんですか?…まぁ、よくわかりませんけど修兵と恋次を連れてくればいいんですね!わかりました!!」

「…二人を捕らえたらまたここに戻ってくるように。鍛冶師の方には私から連絡を入れておく」

「連れてくるんじゃなくて捕らえてくるんですね。はい!わかりました!」

「…………あまり…揉め事は起こさないようにね……

「極力頑張ります!!では、いってきます!」

「いってらっしゃい……」

















「…………さて、への連絡か……」






騒がしい場所から一気に静かになったその場所では地獄蝶をとりに、動き出す。
しかし、それも数歩だけ歩いて終わった。








「………こんなメンバー揃えて向かうぞなんて連絡したら、確実に逃げられるな。………仕方ない、連絡なしの強行突破でいくか








何げに物騒なことをは呟いて、そして再び歩き出した。
その選択が、一騒動起こすことに今はまだ彼女も気づいてはいない。


死神と鍛冶師との物語が、波乱万丈で動き出す。

頂いちゃいました――!! 死神コラボ夢!!
にゃあ――!! このノリが大好きです――!!
が出てくるのを楽しみにしてます!!

紫蘭