~ 年の瀬 『 あかなべ 』 事情 ~

「やはりシオン殿の蕎麦は最高でござるよ。
 今年の締めくくりとして、いいものを馳走になったでござる」

「そうですね。
 本当に、ご馳走様でした。シオンさん」

「いやいや・・お褒めに預かり光栄ですね(^^)」

両手を合わせてシオンさんを見上げたカザミネさんとカイナが笑顔で言うのを。
私の横でシオンさんが満足そうに見つめている。



本当に・・・シオンさんってお蕎麦が好きなんだなぁ・・・・。
・・・・とても隠れ蓑のためだけにこのお店を出しているなんて思えないわ・・・・
←何気に違う



「そういえば、他のみんなはもう来たのでござるか?」

カザミネさんが気付いたように私に聞いてくるから。
私は苦笑しながら首を振った。

「まだ、トリス達が来てないんだ。
 なんでも、ネスティの補習授業(笑)が大変らしくって・・・・」

「・・・・・・大変でござるなぁ・・・・学生というものは・・・(遠い目)」

「そうですねぇ・・・」

思わず相槌をうったけど。
学生・・・なの・・・か?(笑)

「ケイナ姉さまたちは、お昼に食べに行ったと言っていました」

「うん、来たよ(^^)
 フォルテが3人分食べていったし・・・」

「あれは見事な食べっぷりで、私も気持ちがよかったですね(^^)」




でも多分。
今ごろ食べすぎで大変なことになっていると思います・・・・





「アメルは、トリス達と一緒に来るっていってたから、それだけかなぁ・・・・・」

ロッカとリューグはアグラバインさん・・・そして、イオス、ルヴァィドと一緒に稽古(むしろ訓練?)帰りに寄ってくれたし。
(・・・てゆーか、なんだかすごい組み合わせよね、これって)
ミニスとユエルとルゥとモーリン、それにパッフェルさんは5人連れだって食べにきてくれて。
その後パッフェルさんのバイト先のケーキ屋さんに行くって言ってたし(別腹ってすばらしい・・・)
レナードさんは、フォルテとケイナとシャムロックと4人で来たもんね。

さすがに全員がこの屋台を占領するわけにも行かなかったし。
年の瀬という事もあって、それぞれすることもあったから、今日は少人数に別れちゃったんだけど。

「ちゃんと、今日中にきてくれるかなぁ・・・・」




ネスティの補習授業・・・・
何気に時間の配分がなさそうで心配だわ・・・・(遠い目)





「そうですね。
 年越し蕎麦は、今年の内に食べていただかなければ意味がないですからねぇ・・・」

ちなみに今の時刻は午後10時半を廻った所。
いつもは8時で上がる私なんだけど。
さすがに今日は最後までお店に残るつもりなのよね。
それに。
私も年越し蕎麦、食べたいもの♪

「それでは、拙者たちはこれで失礼するでござるよ」

さんもシオンさんも、また後で・・・」

笑顔で屋台を出て行く二人を見送ると、やっとひと段落ついた~という感じで。
思わず伸びをした私に、シオンさんがクスクスと笑う。

さん、今日は疲れたでしょう?
 今はお客さんもいませんから、少し休憩しましょうか?」

「はい、大将♪」

実際今日は大忙しだったのよね~。
シオンさんのお蕎麦、ゼラムでは有名になっちゃってるし。
リィンパウムの風習ではないはずなのに、なぜかみんな年越し蕎麦知ってるし。
立ちっぱなしできつかったんだよね。

2人分のお茶を注いで。
私とシオンさんはカウンター席に並んで座った。


ふ~・・・お茶が美味しいなぁ・・・vv


「そういえば・・・・年越し蕎麦って、どうして食べるようになったんでしたっけ?」

「シルターンでは、細く長く達者に暮らせることを願うという考えが一般的ですねぇ・・・」

「細く長く・・・ですか?」

「後は、一年間の苦労を切り捨て翌年に持ち越さないようにとの願いもあるらしいですが・・・」

う~ん・・・なるほど・・・・
でも・・・




「私なら『細く長く』よりは『太く長く』がいいですけどねぇ」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうですねぇ」

「・・・・大将・・・」

「なんですか、さん?」

「長い間(ま)の上に、笑いを堪えるのはやめて下さい(涙)///////」




てゆーか、肩がふるえてますっ、肩がっ!!/////




思わず真っ赤になって、ぷく~と頬をふくらませたんだけど。
その私の姿がさらに面白かったのか、シオンさんは口元を抑えてクスクスと笑い出した。

「た、たいしょ~~/////」

「いやいや・・・貴女らしいというか、なんというか・・・
 かわいらしいことを言ってくれますねぇ(^^)」

「そう思うなら笑わないでくださいッ////」

「笑ってなんかいませんよ?」

「そんな見え透いた嘘をついてどーするんですかッ(涙)///」

思わずポカポカとシオンさんをたたいた私に。
シオンさんは目尻にたまった涙をぬぐいながら視線を向けてくる。
てゆーか。

「そ、そこまで笑うことないじゃないですかぁ・・・」

「貴女があまりにも可愛い事をいうからいけないんですよ(^^)
 ああ、それと・・・」




どうして急に真顔になるんですか・・・・・(汗)




「何度言えばいいんですかねぇ・・・?
 今は、2人きり、ですよ?」

「・・・・・・・・・・シオンさんは・・・・意地悪です(涙)」

真顔のシオンさんに反論できるはずも無く(だって好みなんだもーーーーーーーん///)
呆れてしまって視線を彷徨わせて、私は大きく溜息をついた。
シオンさん、また笑ってるし(涙)

「何気に子ども扱いです・・・・」

「そんなつもりはこれっぽっちもありませんがねぇ?
 それとも・・・」

シオンさんの細い手が、私の顎に当てられて。
そのままクイッと軽く持ち上げられて・・・・・・。
って・・・・はい????

「やっぱり態度で示した方がいいですか?」




・・・・・・・・・・・・・・・・態度って・・・・・・//////




固まってしまった私の目には、真顔のシオンさんしか映らなくて。
というか・・・・

「し、ししししししシオンさんっ
 顔・・・顔がっっっ!!////」




なんで近づいてくるんですかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ////////




「・・・・・・・示しすぎだろう、それは(怒)」

「あっ!
 ネスったらどうしてここで声をだすかなぁ?!(ぷく~)」

「そうですよッ
 せっかくいい所だったのにッ(ぷく~)」

「いらっしゃい、みなさん(^^)」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?




真っ白になった頭の中を整理して。
私はゆっくりと振り向いた。
そ・こ・に・は・・・・・

こめかみを抑えて不機嫌な顔をしているネスティと(怖いです、ネスティ・・・)
その横でお互いの手を取り合って瞳をキラキラさせているトリスとアメル(だから、何故いつも・・・)
そして真っ赤になって固まっているマグナと(しかも涙目)
眉間に皺をよせたまま呆れ顔で私たちを見ているバルレル(呆れないでよーーー(涙))
目をパチパチさせながら、不思議そうに私をみているハサハ(か、かわいすぎるvvv)

てゆーか。
てゆーかぁぁぁぁ!!!

「シオンさんっ!
 みんなが見ているの知ってて、またからかいましたねーーーーーーーーーーーーーーーーっ(滝涙)/////」

「ははは。さあ、どうでしょう?(^^)」

「『どうでしょう』じゃないですよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」




本気かと思ったんだからーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(涙)///////




「別に、本気にとって頂いても差し支えはないんですけどねぇ・・・(溜息)」

「ふえ?」

「いやいや、こちらの話です。
 みなさん、何を召し上がりますか?」

大きな溜息をついたシオンさんが何気に気になるんですけど・・・・・。
てゆーか、皆も溜息をついているのは何故ですか?
すごく不思議なんだけど・・・・。
でも。
ゆっくりとカウンターの中へ入っていくシオンさんに従って、私も慌てて席を立った。

「みんなカウンターでいいよね?
 えっと・・・ハサハ、おあげの入ったお蕎麦、あるよ?(^^)」

「うん・・・ハサハ、それがいい(^^)」

こくん・・・と満面の笑みで頷いたハサハを抱きしめたい衝動に駆られつつ(笑)
私は人数分のお茶を淹れた。

「あたしたちも同じのでいいよね、アメル♪」

「はい♪ トリスさん」

「では、僕らも・・・」

「んじゃ、全員同じでいいのね?
 大将、キツネ6枚です(^^)」

「はい、判りました。
 ああ・・・さんも皆さんと一緒にお食べなさい?
 一緒に作りますから(^^)」

蕎麦を切る手を止めて、シオンさんが私ににっこりと笑う。
その顔を見上げて、思わず緩む頬をおさえつて(笑)
私は大きく頷いた。

「はい。
 ありがとうございます、大将」

さんもまだ食べてなかったんですか?」

「うん。
 だってね、今日・・・本当に大変だったんだよ~」

「俺たちも大変だったよな・・・トリス(疲)」

「そうだね、お兄ちゃん・・・(遠い目)」

「何か言ったか? 2人とも」

「「 いいえ、何も言っていません(汗) 」」




ネスティ・・・。
涼しい顔をしてお茶をすすっている割には・・・なんだか・・・黒いオーラが・・(汗)





「ケッ・・・テメェ等に付き合わされるこっちも身にもなれよな。ったくよォ」




バルレル・・・・トリスとマグナに追い討ちをかけてどうするんですか(涙)




苦笑しながらネスティの隣に座って。
私はシオンさんの手つきをじっと見詰めた。
う~ん・・・相変わらず手際がいいなぁ・・・////
と。
シオンさんは私の視線に気付いて。
右手を口元にあてて、クスクスと笑い出す。

さん。
 そんなに真顔でこちらを見つめないでくださいね(^^)」

「う////
 ご、ごめんなさい////」

「いやいや・・・そんなに熱い視線で見つめられると、さすがの私も照れてしまいますからねぇ」




・・・・・・・・・・・熱い視線って//////




「・・・・・・・・・・・何を赤くなっているんだ、君は・・・(汗)」

「う・・・だ、だって、ネスティ・・・・(涙)」

呆れた顔をしたネスティを、なぜか恨めし気な目でみて。
私はまた頬を抑えた。
てゆーか、シオンさん。
今日は・・・なんというか・・・・いつも以上に・・・・・(汗)

言葉を詰まらせた私に。
ネスティは大きな溜息をついて。
そして視線を反対側に座っているトリスとアメルに向けた。

「・・・・・君達は・・・何故そんなに嬉しそうなんだ(滝汗)」

「え?
 だって・・・ねぇ、アメル♪」

「そうですよねぇ、トリスさん♪」




今年の最後にいいものを見させてもらっているなぁって♪(きらきら)




「いやいや。喜んでいただけて幸いですねぇ(^^)」←某蕎麦屋の主

「・・・・・・・・え?(汗)」←某天然少女

「全く・・・馬鹿馬鹿しい・・・」←某兄弟子

「ううう・・・・~・・・・(涙)」←某弟弟子

「ケッ・・・やっぱりいけすかねぇ・・・・」←某悪魔

「ふみ?」←某狐




・・・・・・・・いや、なんなんですかいったい(汗)




「判らないならそれでいい。
 というか、判らないでくれ(切実)

「は? ネスティ???」

「今回はメガネに賛成してやらァ(溜息)」

「は? バルレル????」

「ところで、君は今日は何時までになるんだ?」

頭の上に「?」マークがたくさん浮かんでいる私のことは無視ですか、ネスティ・・・・。
微妙に腹が立つんだけど・・・・。
でも・・・えーと。

「今日は終わりまでいるつもりだよ?
 いいですよね、シオンさん」

「いや・・・・今日は皆さんで最後になるでしょうから。
 それまででいいですよ、さん」

にっこりと笑ってシオンさんが言ってくれたけど。
でも、ここまで残ったんだし・・・

「後片付け、手伝ってから帰ります」

「・・・いえ・・・それでは遅くなってしまいますからねぇ。
 まあ・・・帰りは私が送ればいいのですが・・・」

「冗談じゃない。
 その時間まで僕も残らせてもらう」

「え? ネスティ??」




というか、何故にシオンさんを睨みつけてるんですか、あなた(汗)




「おやおや、ずいぶんと警戒されたものですねぇ・・・」

「当たり前だと思うのは僕だけではあるまい?」

「さあ? どうでしょう?(^^)」




・・・・・・・・・・・・・・・なんか・・・・・・・空気がピリピリするような・・・・・・




「愛ですねぇ・・・(うっとり)」

「愛だよねぇ・・・(うっとり)」




・・・・アメル・・・・トリス・・・・?????(滝汗)




「さて。お蕎麦が出来ましたよ?」

まるで何事も無かったかのように、シオンさんは笑顔でみんなを見回す。
その言葉に、みんなも神妙になって。
シオンさんから手渡される丼を、おとなしく受け取った。

「うわあ・・・相変わらず美味しそうだな」

「そうだね、お兄ちゃん。
 大将、いただきま~す」

「はい。どうぞ(^^)
 今年が終わるまであと10分足らずですから。
 急いで残さず食べてくださいね」




10分で、ですか?(滝汗)←シオンを除く全員の心の声




「判っているとは思いますが。
 残した場合は・・・・

「「「「「「「 い、いただきますっ! 」」」」」」」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?




皆と同じようにお箸を手にとって。
片手を丼に添えたんだけど・・・・・・・・・あれれ?

「大将・・・・」

「今はお客さんですから、名前でいいですよ、さん(^^)」

「んじゃ、シオンさん。
 ・・・・・・・・心なしか・・・私のお蕎麦、すごく太いんですけど・・・(汗)」

どうみても・・・。
隣のネスティのお蕎麦の太さの4倍くらいは・・・・・・・(汗)

「いやいや・・・。
 さんは『細く長く』よりも『太く長く』の方がいいとの事でしたので(^^)」

「っ!?//////」

絶句した私に。
シオンさんは口元を抑えて。
クスクスと笑い出した。

「なんなんだ、それは?」

、『太く長く』って?」

訝し気に聞いてくるネスティと。
興味深気に聞いてくるマグナ。
っていうかっ!!!




「シオンさんのいじわるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ(滝涙)」




今年が終わろうとしている静かなゼラムの夜に。
私の声が木霊したのは、言うまでもない。









そんなこんなで暮れた年。
今年は、どんな年になるんだろう?

さん・・・いいかげん、機嫌を直してくださいね(汗)」

「もう、シオンさんなんて、知りません(ぷい)」



な~んて。

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いしますね。











END

シ・オ・ン・さ――ん!!
にゃ――――!! 林檎さんの書かれるシオンさんが大好きですぅ!!
VS! VSですよ!! 火花バチバチです!

こちらこそ、今年もよろしくお願いいたしますね。
新年早々の萌夢小説、ありがとうございました!!

紫蘭