「ハツヒノデ?」
微妙に発音の違うその言い方に苦笑して。
私はネスティを見上げて、小さく頷いた。
「そう、『初日の出』。
一年の始まりの日の出を拝んで、一年の息災や、願い事をしたりするの。
初詣や除夜の鐘も大好きだったけど、日の出を拝むのって、一番簡単で純粋な行為でしょ?
私、すごく好きだったんだよね~」
「ほう・・・」
「トウヤやハヤトはどうやってすごすのかなぁ・・・こっちではそんな風習ないんだよね?」
「そうだな・・・」
「そっかぁ・・・ちょっと残念かな。
あーでも、シルターンならありそうだよね~」
そういいながら両手に抱えていた荷物を抱えなおすと。
ネスティは一瞬困ったように眉を寄せて。
でも、思い直したかのように小さく溜息をつくと、私の抱えていた荷物の一つに手を伸ばす。
「ほら。その荷物をかしてくれ」
「いっ、いいよネスティ////
ネスティだってたくさん荷物もってるんだしっ」
「・・・・・落とされて、もう一回買い出しに行く僕の手間を考えてくれ。
それよりはずっといいと思うんだが?」
何気に落とすこと断定?!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・今、私に喧嘩売らなかった?」
「気のせいだろう」
憮然とした私に、ネスティは意地悪く笑って。
でも。
ポン・・・と私の頭に優しく手を載せた後、その手で荷物を一つ手に取った。
・・・・判ってる。
判ってるんだけど、ね。
「・・・ネスティ、ずっと前から言いたかったんだけど、さ」
「なんだ?」
「ネスティの優しさって・・・・判りにくいよ(涙)」
「・・・別に、優しくしている訳では・・・」
「んじゃ、親切が判りにくい」
ぷく~っと頬を膨らませた私に、ネスティは一瞬ポカンとして。
私の顔をまじまじと見つめた後、困ったように微笑んだ。
「君が怒ってどうするんだ?」
言われてみればそうなんだけど、さ。
何か言ってやろう、と思うんだけど、それが言葉に出来なくて。
私はそんなネスティの顔をねめつける様に見つめたまま、大きく溜息をついた。
「なんだか悔しかっただけ。
ネスティってさ、絶対損してるんだもん」
「何が?」
「色々」
ネスティの優しさを知っているから。
他の人たちにも、ネスティを理解してほしいんだけどなぁ・・・。
「確かにネスティっていつも怖い顔してるし厳しいし捻くれてるしたまに鬼って思うこともあるけどさ。
優しいときにはちゃんと優しいんだもん。
ただ、それが表情に表れていないって言うのが問題なのよね」
「・・・今、僕に喧嘩を売ったか?」
「いえいえ、めっそうもございません」
おもむろに眉を寄せたネスティの鋭い視線をさらりとかわして。
私はそのまま空を見上げた。
今日は快晴で。
蒼くて広い空が、このゼラムの地を覆っている。
時折吹く冷たい風さえも、なんだか心地良くって。
私は大きく息を吸い込んだ。
「とにかく、今日は大晦日だね~。
この仕事が終わったら、シオンさんのとこに行かなきゃ」
手に持った荷物をもう一度抱えなおす。
今日は私とネスティが買い出し当番だったんだよね~
本当は、マグナとトリスもなんだけど・・・
「確か、『トシコシソバ』だったな。
大将も大変だな。
こんな日まで屋台を出して、情報収集などしなくても大丈夫だと思うんだが・・・」
確かに、シオンさんが始めにこのゼラムに屋台を出したのは。
こっちの情勢をサイジェントに知らせるため、だもんね~
でも。
「こんな日にマグナとトリスに課題出して勉強させてるネスティに言われたくないと思うな(遠い目)」
「何か言ったか?」
「何も言ってません(汗)」
笑っているんだけど笑っていないその瞳から(ひーっ)思わず視線を逸らすと。
ネスティは可笑しそうにクスリと笑って。(てゆーか、絶対いま鼻で笑ったーーーっ(悔し涙))
少しだけ考えるように視線を彷徨わせて、小さく呟いた。
「でもまぁ確かに・・・この買い出しが終わってから勉強させてもよかったかもな」
「今日は買う物が多かったからねぇ。
確かに買い物に出たらマグナ達にもいい気分転換になったと思うんだけど・・・でも。
どうせ課題の量は減らさないんでしょ?」
「当然だ」
・・・・やっぱり鬼だ。
「また何か言ったか?」
「何も言ってません(汗)」
なんでこんな時にはするどいんだろう・・・・(滝汗)
「ということで、今年もマグナ達はお勉強で今年を締めくくるんですよ」
「なるほど。ネスティさんらしいというか、マグナさん達らしいというか」
私の言葉に、シオンさんはいつものようにクスクスと笑って。
私が淹れたお茶に手を伸ばして、ゆっくりとした仕草で喉を潤す。
・・・・・・優雅だなぁ・・・/////
シオンさんって。
お蕎麦を作るときも、戦闘の時も、こうやって何気ない会話をするときも。
一つ一つの仕草が、本当に綺麗なんだよね~
「さん?
私の顔に何かついてますか?(^^)」
「な、なんでもないですっ//////」
きょとんとしたシオンさんになぜか後ろめたくなって。
私は取り繕うみたいに、自分の湯飲みに手を伸ばしてお茶を飲む。
「ふぅ。落ち着きますね~」
「今日も忙しかったですからね。
もう少しだけ、お付き合いくださいね、さん」
申し訳なさそうにシオンさんが言うから。
私は思わず苦笑してしまった。
今、丁度客足が途絶えたからこうやって二人でのんびりお茶を飲んでいるけれど。
さっきまですごかったんだよね~(遠い目)
「でも、お客様の笑顔を見ていると幸せな気分になるんですよ。
シオンさんも、ですよね」
シオンさん。
お客さんが美味しそうにお蕎麦を食べるのを、本当に嬉しそうにみてるもんね~
「そうですね。
私の道楽が・・・っと、道楽というとまた年寄り扱いされますね(^^)」←(長編76話・参照)
「・・・・・・根に持ってます?(汗)」
「まさか(^^)」
でもシオンさん。
少しだけその笑顔が怖いです(どきどき)
「それにしても嬉しいですねぇ。
こうやって、新しい年をさんと一緒に迎えられるというのは(^^)」
「え?」
「やはり、一年の始まりの日・・・というのは、折り目正しい厳粛な気分になりますし。
そんな始まりの時間を貴女と共にすごせる私は、幸せ者なのでしょうねぇ」
うにゃっ///////
「し、しししシオンさんっ。
何気に人をからかわないでくださいっ////」
「相変わらずですが、心外ですね。
からかってなんていませんよ?(^^)」
「顔が笑ってます・・・////」
「本当に嬉しいからですよ。
それとも・・・・」
シオンさんはコトリ・・という音と共に湯飲みを台所において。
困ったように私を見つめた後、そっとその右手を私の頬に伸ばしてくる。
壊れ物にでも触れるかのように遠慮がちに伸ばされたその手は、すごくあたたかくて。
その心地よさに、恥ずかしいのを忘れて。
私はシオンさんの瞳を見上げて首を傾げてしまった。
「笑わずに、真剣な顔で言えば、貴女は信じてくれますか?」
「え/////」
不意に真顔に戻って。
その深い瞳で、じっと私を見つめてくる。
「さん?」
「はっはいっ/////」
「貴女とこうやって去っていく今年を振り返りながら、新しい年を迎える瞬間を共にすごせることを。
私は何よりも嬉しく思っています。
出来る事なら、朝まで貴女と共に過ごしたいと思っているんですよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、朝までってっ///////」
「ええ、朝まで(^^)」
うにゃ~~~~っ/////////
かぁ~っという音が自分の中から聞こえてくるくらい、自分の全身が真っ赤になったのが判って。
私は慌ててシオンさんから離れようとしたんだけど・・・
「私の事がお嫌いですか?」
ふっ・・・と寂しそうに微笑んだシオンさんの瞳に。
私は思わずはっとして。
そのままシオンさんの目を、じっと見つめてしまった。
「き、キライとかそんなのじゃ、なくてっ。
というか、シオンさんを嫌うはずがないじゃないですかっ!!!」
「・・・・・・・・」
「だっ、だからっ。
そんな哀しそうな瞳、しないでくださいっ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・では・・・・」
シオンさんはしばらくの沈黙の後に小さく微笑んで。
私の瞳を覗き込むように、私の目線までかがみこんでくる。
「私と、朝まで過ごしていただけますか?」
・・・・・・・・・・・・・・そ、それはっ//////
「それ以上のセクハラ発言は謹んで貰おうか(怒)」
「つーかオマエ、絶対俺たちに気付いてるだろーが(半眼)」
「大将、だめだよ~(涙)」
「何が駄目なもんですかっ
どうぞどうぞ、続けちゃってください♪
ね、トリスさん(キラキラ)」
「もちろんだよ、アメル(キラキラ)
なんだったら、私たち今すぐここから出て行くよ?」
「・・・おねえちゃん・・・かお、まっかだよ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?///
シオンさんの瞳を見つめたまま固まった私に。
シオンさんは笑って、頬に添えていた手を放してそのまま私の頭を二回ポンポンと撫でるように叩いた。
「いらっしゃい、皆さん。
今年は早かったですねぇ(^^)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
シオンさんはかがめていた腰を伸ばして。
入り口の方へと向きかえると、いつものように穏やかに微笑んで。
・・・・て。
あれ?
「シオンさん?」
「どうしました? さん」
やっと金縛り(笑)から解放された私に。
シオンさんはいつもの穏やかな笑みを向けてくる。
・・・・いや。
いつもと同じに見えるけど・・・・
みえるけどっっっっ
「シオンさんっ!!
肩、ふるえてます!!!!!!」
「気のせいですよ、さん(^^)」
「ちっとも気のせいじゃないじゃないですかーーーーーーーーっ」
てゆーか、すでに口元押さえて笑ってるしーーーーーーーーーーーーーー(血涙)
「ひどいですよーーっ
いつもと様子が違うからっ
本気の本気の本気にしちゃったんですよーーーっ」
「ははは。では、続きはまた今度にでも(^^)」
「え?/////」
「おいこら、キツネ」
「ふえ?」
「・・・・・・・・オマエじゃねェ(汗)」
思いっきり首をかしげてバルレルを見上げたハサハに、バルレルは頭を抱えた後。
思い直したように、シオンさんに不機嫌な視線を向ける。
「いい加減にしやがれ(呆)
が本気にするじゃねーか」
「本気にしていただかないと困るんですがねぇ・・・・」
というか、キツネとは誰のことですかねぇ(^^)
「・・・・・シオンさん、何気に黒いです(涙)」
「気のせいですよ、さん(^^)」
「でも、今年の終わりもいいものを見せてもらいました。
ね~、トリスさん♪」
「そうだよね、アメル♪
来年もまたお願いしたいよね」
「当然です♪」
このまま突っ走ってください♪(きらきらきら)
「・・・君たちは・・・・馬鹿だな・・・・(遠い目)」
「たまにオマエの護衛獣だってことが虚しくなってくるぜ・・・」
「トリスもアメルもだめだよ~(涙)」
「ほえ?」
「それはさておき。
朝まで一緒に・・・というのは、本気ですよ? さん」
「え?////」
クスクスと笑って。
シオンさんはみんなを見回した。
なぜかマグナもトリスもアメルも。
それにネスティまでもが可笑しそうに私をみているから。
私は思わず首を傾げる。
「大将、もう言っても大丈夫だよ~」
「早めにここを閉めちゃうので、ばれちゃうし」
「そうですね。
さん? 今日はこの後、屋敷で新年会ですから。
『みんな』で『朝まで』一緒ですよ。
もっとも、朝が来る前にお開きにはなるでしょうが・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・みんなで・・・・?
「え・・あれ・・・?
私、聞いて無かったですよ?」
「当然だよ、。
みんなで内緒で事を進めてたんだから♪」
「うふふ。こんなにうまくいくとは思ってませんでした~」
「みんなでって・・・?」
思わずシオンさんを見上げると、シオンさんはクスクス笑って。
また、私の頭をポン・・・と撫でてくれた。
「さんを驚かせるから黙っていて・・・といわれましてね。
マグナさん達が迎えにきたら、今日は店じまいと決まっていたんですよ(^^)
さ、では、みなさんには年越し蕎麦を召し上がっていただきましょうか。
量は少なめにしますので(^^)」
「「 は~い 」」
元気に椅子に座ったトリスとアメルを見て。
マグナやネスティは苦笑しながら席に着く。
バルレルは呆れながらもハサハを座らせて自分も席に着いた。
「・・・・・・・・・・・・・・ああ、さんも一緒に座ってくださいね」
「はーい。あ・・・そうだ、シオンさん」
「どうしました? さん」
「太く長くは、今年は却下ですからね!!!」(短編・年の瀬『あかなべ』事情・参照(笑))
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シオンさん」
・・・・・・・・企んでましたね?
「それにしてもびっくりしたなぁ。
なんでみんな、私には黙ってたの?」
ソファでミニスとユエル・・・そしてハサハが仲良く眠っている。
そんな二人を、リューグとロッカとマグナが抱きかかえて部屋に連れて行くのをみながら。
窓辺で一人静かにコーヒーを飲んでいたネスティに話しかけた。
ネスティは隣に立った私に少し苦笑して。
テーブルの上においてあったポットをとって、新しいカップにコーヒーを満たして。
それを私に手渡した。
「いつも君には驚かされているからな。
たまには驚かせたいというみんなの気持ちが一致しただけだ」
「・・・・・・・私、何か驚かしたっけ?」
「もう先週のことを忘れたのか?」
「先週って・・・・ああ、クリスマス?」
「まさか睡眠薬を飲まされるとは思いもしなかったからな」(注・クリスマス夢『Happy Christmas』・参照(笑))
しかも全員。
寝ている姿を君に見られるなんてな(遠い目)
「・・・・・・・ネスティ、寝相良かったよ」
「そんな問題じゃないだろう」
「怒ってるの?(汗)」
「怒ってなんかないさ」
もう一週間も前だからな・・・・・・(さらに遠い目)
ネスティはまた苦笑して。
カップを持っていない手を、ポン・・・と私の頭に置いた。
その仕草がすごく優しかったから。
私はネスティを見上げて、ヘラッと笑ってしまった。
「でも、今日のは本当に驚いた。
それに、うれしかったよ(^^)」
「そうか・・・・・・・」
「~~っ
そろそろ日付がかわるよ~~vv」
「だめですよ、さん。
なんでネスティさんなんかと二人っきりで話ししてるんですか」
ネスティさん、抜け駆けはだめですよ(にっこり)
「というか、ネスティさん『なんか』というのはどういう意味―――」
「うるさいです、ネスティさん(^^)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(滝汗)←ネスティ+
ネスティは大きな溜息をついて、呆れたようにアメルを見つめて口を開いたんだけど。
何かを言おうとしたその瞬間・・・
この居間の大きな壁掛け時計が夜中の十二時をつげる鐘を鳴らし始める。
歓談していたみんなが、一瞬で静かになってその時計を見つめると。
すぐ傍の窓の外に、たくさんの光の帯が舞い上がった。
「花火だっ////」
「新年だぁ//////」
「はっは~。今年もよろしく、だな」
「ええ。新年、明けましておめでとう」
「今年は良い年になるといいでござるな」
「なりますよ。私たちがこんなに頑張っているんですから(^^)」
みんなの明るい声と。
花火の美しい光。そして音。
思わず花火に見とれたけれど。
私の隣で同じように花火を見つめているネスティを。
私はそっと、見つめてしまった。
そんな私に気付いて。
ネスティは問いかけるように首を傾ける。
「ネスティ、今年もよろしくね」
「ああ。よろしく」
ネスティは軽く笑って。
また、花火に視線を移す。
「・・・・・こういう年越しもいいと思わないか?」
「ネスティ?」
「君が買出しの時に語ってくれたように、静かな年末年始・・・という風習もいいとは思うけれど。
リィンバウムの・・・この年越しも好きになってほしい」
「あ・・・・」
『一年の始まりの日の出を拝んで、その一年が無事に過ごせますようにって祈ったりするの。
初詣や除夜の鐘も大好きだったけど、日の出を拝むのって、一番簡単で純粋な行為でしょ?
私、すごく好きだったんだよね~』
『こっちではそんな風習ないみたいだね~』
「・・・ひょっとして、私が朝言ったこと・・・気にしてたの?」
「別に・・・いや・・・少し、気になってたな」
いったん否定して。
でも、ネスティは苦笑してさらに否定して私に視線を戻してくる。
「僕の知らない世界の話をする時の君は、どこか遠い所を見ているからな」
「そう・・・?」
「ああ」
「ごめんね。気付かなかった・・・・」
思わず瞳を伏せて。
私は小さく吐息した。
そっか。
私、そんなにネスティに心配かけてたんだ。
ううん。
ひょっとしたら、みんな気付いてたのかな・・・?
「謝ることじゃないだろう?」
ネスティはまた苦笑して。
コツン・・と私の頭を小突く。
「それに、元々イベント嫌いだった僕がいう言葉じゃないのかもしれないしな」
「・・・でも、今のネスティは、リィンバウムのこの年越しが好きなんでしょ?」
「・・・・・・・・・・・そうだな。
トリスやマグナがいてくれたおかげで。
君と出会ったおかげで・・・仲間たちと出会ったおかげで・・・
この世界に対して『好き』という気持ちが増えたことは確かだな」
「そっか・・・・」
「もっとも・・・・世界に対してだけではないが・・・・・」
ボソリと呟いたネスティをきょとんとして見上げると。
ネスティは困ったように笑って。
そして、大きく息を一つ吐くと、軽く首を振った。
「なんでもないさ」
「ネスティ?」
「今日はあまり遅くまで残らないようにするんだな。
じゃないと、明日起きれないぞ」
「にゃ?
でも明日はみんなお昼までのんびりしようって話になってなかったっけ?」
今日、夜更かしするから。
明日はゆっくりしようって、フォルテたちが言ってたと思うんだけど・・・?
「・・・・・・・・・・ハツヒノデ」
「えっ」
「拝むんだろう?
ハルシェ湖畔からなら、綺麗な日の出を見ることが出来るから・・・」
そこまで言って。
ネスティは私の顔をみて、クスリと笑う。
「どうしたんだ? そんなハトが豆鉄砲でもくらったような顔をして」
「え・・・だって・・・・あの・・・・・一緒に行って・・・くれるの?」
「・・・・・・・・・・・君が寝坊しなければの話だがな」
意地悪く笑うネスティ。
でも。
「・・ありがとう・・・ネスティ」
おずおずと呟いた私に。
ネスティは。
とても柔らかく、笑ってくれた。
ネスティっていつも怖い顔してるし。
厳しいし。
捻くれてるし。
たま~に鬼って思うこともあるけれど。
優しいときにはちゃんと優しい。
ううん。
その厳しさも、本当は優しさの現われなんだってちゃんと判ってる。
ただ、それが表情に表れていないって言うのが問題なんだよって・・・・・ずっと思ってた。
ネスティの優しさを。
他の人たちにも、理解してほしいって思ってた。
だけど・・・・
「あうー・・・ごめん、ネスティ」
「なにが?」
「もし、今年も初日の出を拝めたらね。
ネスティがもっと表情豊かになりますようにって願うつもりだったの」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?(汗)」
「だってさ。
ネスティって絶対損してるんだもん。
その表情で」
ぷく~と頬を膨らませた私に。
ネスティは、買い出しの時と同じように困ったように笑う。
「僕は感謝するべきなのか?
その、君の願いに?」
「感謝する必要はないよ。
そのお願い、もうしないから」
「賢明だな。そんな変な願い事されても、太陽も困るだろう」
「そかな」
「そうだろう。それに・・・僕は、今のままでいいと思っている。
損をしていると、思ったことはないからな」
「そうなの?」
「本当に僕をわかってくれている人がいれば。
それでいいと思っているから。
・・・・・・君は、判っていてくれるだろう?
それに、マグナもトリスも・・・・・仲間たちも」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」
ネスティの優しさを。
その笑顔を。
少なくとも、仲間達は理解している。
私も、少しは理解できている・・・・・と思う。
それに・・・・
じつは、ネスティのその優しさを独り占めにしたいなんて・・・・・・
そんなこと、考えちゃった私って・・・・駄目なのかな・・・?
「それで、君は何を願うつもりなんだ?」
見上げれば、興味深そうにじっと私の瞳を覗き込んでいる優しい瞳。
私はその瞳ににっこりと笑って。
人差し指を突きたてた。
「それは、秘密です♪」
明けましておめでとう。
今年もよろしくお願いします。
今年こそは、優しい貴方に。
もっと沢山の優しさが訪れますように――――――
I wish ―――
END
ほぅ……/// 素敵すぎ……(悦)
いつもながら、ほんわかあったかなお話で……大好きです!!
ネスティの不器用な優しさがなんとも……シオンさんもいいトコ取りで!!
素敵な企画夢をありがとうございました!!
紫蘭