時 効 の 諸 問 題
時効の意義
時効には、消滅時効と取得時効とがあります。
また、時効に類似したものとして除斥期間(じょせききかん)があります。
消滅時効は、その字のとおり権利者がもっていた権利が一定期間権利を行使しないことによって消滅するものです。
権利者が権利があるのに権利を主張しないのは、 その権利の放棄と認めるのと考えうると理解されるところに根拠をみることが出来ます。
取得時効は、真実の権利者でない人が、ある物を一定期間自分の所有物として占有していることにより、そのもの所有権・その他の権利を時効で取得することができることです。
一定の期間継続した事実状態(占有)をそのまま権利としてみとめ、社会の法律関係を安定させようとするところに根拠をみることが出来ます。
消滅時効と取得時効はべつものであり、関連はないということを知っておいて下さい。つまり一つの物を時効で失った方が消滅時効で、その結果取得した方が取得時効であると考えるとすれば、それはまったくの間違いということになります。
時効期間が満了し、時効の援用が認められることを時効の完成といいます。
・消滅時効が完成すると、債権や財産権(所有権は除外)が消滅します。
・取得時効が完成すると、所有権等の財産権の取得が認められます
除斥期間とは、ある一定の期間が徒過すると、中断もなく絶対的に権利等が消滅するものです。ここの条文の中に個別的に定めている場合が多いです。
時効の規定
| 1. | 時効は、時効の完成でもって消滅や取得の効力をもっが、その効果は、その起算日にさかのぼる。 |
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| 2. | 裁判所では、ある請求事件で、その請求権が時効の掛かっているからと云って当事者の時効の援用がない限り、時効を裁判の判断には使わない。 |
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| 3. | 時効よる利益は、時効完成前に放棄することは許されない。 |
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| 4. | 時効は中断することにより、時効完成を妨げることができる。 時効の中断は法定されており、下記の事項がある。 ・裁判上の請求 ・差押え、仮差押えまたは仮処分 ・相手方の債務の承認 |
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| 5. | 訴え提起前の和解手続きで、相手方が呼び出しに応じなかった場合や和解が成立しなかった場合には、1か月以内に訴えを起こさないかぎり時効は中断はしないことになる。調停事件の場合もまた同じ。 |
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| 6. | 裁判外の権利の主張(請求書出す、内容証明書出すなど)は、6ケ月以内に訴えを起こす等の裁判上の請求がないと時効は中断しない。 単に請求書の発行することで、時効は中断していると考えの向きがありますが、そんなことはありません。 |
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| 7. | 夫婦の一方が、他方に対して権利をもっている場合は、結婚が解消してから6カ月が過ぎるまで時効の完成は猶予されます。 |
取得時効
| 1. | 取得時効でよく知られて有名なものに、民法162条の「所有権の取得時効」があります。 |
第1項の要旨
自分が所有者だと思いながら20年の間、平穏かつ公然に物を占有してきた場合には、占有者がその物の所有権を取得する。
第2項の要旨
不動産を占有するにあたり、自分が所有者だと思い、またそう思うのが無理もない事情にあり(善意無過失の状態といいます。)。しかも10年間所有者だと思いながら、平穏かつ公然に物を占有してきた場合には、占有者がその物の所有権を取得する。
| 2. | 取得時効の中断となるのは、占有者が任意に占有をやめたり、行使をやめたり、または占有を他人に奪われ、その行使を妨げられた場合です。 |
消滅時効の中断とは、かなり異なります。事実上の非占有となったときには中断するということで、裁判上の請求等うんぬんは関係がないことですのでご留意下さい。
| 3. | 取得時効と登記の関しての重要判例 |
取得時効によって不動産の所有権を取得したとしても、その時効完成後に当該不動産 を旧所有者から所有権を取得して所有権移転登記手続きを完了した第3者が出現した ときは、その人が善意であると否とを問わず、時効による所有権の取得を第3者に対抗できない。(2重売買の事例と同様に理解される。)
消滅時効
| 1. | 消滅時効は権利を行使しないでいるとその権利が消滅してしまうことであるが、それは権利を行使できるときから進行する。 債権は、10年間行使しないと消滅する。 債権または所有権以外の財産権(地上権・永小作権・地役権)は、20年間行使しないと消滅する。 世間では、消滅時効は10年とよく言っていますが、これは債権の消滅の基本原則であって、そのほかに多くの短期消滅時効がありますから、充分に留意する必要性があります。 |
| 2. | 商事債権の消滅時効は5年とされています。 「商行為より生じた債権は、本法に別段の定めがある場合を除くほか5年間、放置していれば時効により消滅します。 ただし、他の法令により短い時効期間の定めがあるときは、その規定による。」と定めてありますが、商行為によって生じたる債権とはとなると難しくなります。 また商行為には絶対的商行為と営業的商行為と付属的商行為と3つあります。 |
| 3. | 所有権に基づく物権的請求権とは、所有権から派生するものです。 例えば土地を買った人が売主に対してもっている土地引渡請求権や土地所有権移転登記請求権などこれらの物権的請求権は消滅時効にかかりません。 不動産の所有権移転登記請求権は所有権移転の事実がある限り登記請求権だけが独立して消滅時効にかかるものではない。 |
| 4. | 農地の買主が農地所有権移転登記をするときは、売主といっしょに農地所有権移転についての知事の許可を受ける必要があるが、この知事への許可申請に協力するよう求める請求権は民法167条1項の債権にあたり10年の消滅時効にかかる。 よって農地については売買契約したとしても10年徒過すると所有権移転登記ができなくなります。 |
時効の援用
時効は、時効によって利益を受ける者が、時効が成立したと主張しないと効果が生じません。黙っていたのでは時効の利益を受けられません。
消滅時効の完成によって、直接的に義務を免れる人(直接的に利益を得る人)は、当然に時効の援用権者です。
| 1. | 連帯債務者、保証人、連帯保証人は消滅時効の援用権をもつ。 |
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| 2. | 物上保証人や抵当不動産の第3取得者にも主債務の消滅時効の援用権がある。 |
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| 3. | 売買予約に基づく所有権移転請求権保全仮登記に後れる抵当権者は、売買予約完結権の消滅時効を援用することができる。 |