
鳴滝の宝蔵寺は、江戸中期の陶工であり、絵師であった尾形乾山の邸宅跡で、門前に乾山の窯跡の石碑がある。
宝蔵寺に春日潜庵の墓がある。春日潜庵は公卿久我建通の諸太夫として、孝明天皇、三条実万らの信頼を得た。西郷隆盛、梁川星巌、横井小楠らと親交があり、安政の大獄では捕らえられて投獄された。後に許され維新後は奈良県知事に就いたこともあった。
「翔ぶが如く」には、西郷の思想を知るよすがとして、春日潜庵のことを詳しく紹介している。司馬先生は、潜庵というのは単に儒者というより徹頭徹尾思想家と結論付けている。以下、安政の大獄の黒幕、長野主膳の言葉
「(堂上方は百姓一揆のような人物ばかりと断じたあと)ただ春日讃岐守(潜庵)は、王陽明風の学者のよしにて、格別強情の趣きある者」
親交のあった梁川星巌によると
「春日は京師第一等の人物」
と、潜庵のことを高く評価している。