武器辞典Weapon dictionary

◇アネラス-Anelace
イタリア製のブロードソード。この刀剣は同じくイタリアの刀剣であるチンクエディアを祖形にしており、貴族たちの装飾品の趣が強かったチンクエディアに比べると作りも粗雑で実践的に改良された刀剣である。実際の戦いにおいて効力を発揮した記録は無いが、その身幅の広さによる重さによって、威力は絶大だったと思われる。
長さ:70〜95cm 重さ:1.8〜2.0kg 時代:15〜16世紀

◇エストック-Estoc
刺突専用の剣。剣身は細長く両刃を備えており、断面形状は菱形状にないっている。当初は騎乗した騎士同士が攻撃し合う際に用いられており、メイル・タイプの鎧程度であれば片手でそれを突き通すことも可能だった。16世紀以降、歩兵の武器としても用いられていた。
長さ:80〜130cm 重さ:0.7〜1.1kg 時代:13〜17世紀

◇カットラス-Cutlass
船乗りたちが主に18〜19世紀に用いた刀剣。その語源はラテン語のナイフにあたるクルテル(Culter)から変化したフランス語のクテラス(Cutelas)に由来する。断ち切ることを目的とした刀剣ではあるが、船上の混戦が多いため、刀身は短くなり、さらに刺突も出来るよう疑似刃を有したものが多く存在した。また、身幅は広く作られ、激しい打ち合いにも十分耐えうるものだった。
長さ:50〜60cm 重さ:1.2〜1.4kg 時代:17〜19世紀

◇グラディウス-Gladius
ラテン語で「剣」を意味する両刃剣。西ヨーロッパでBC7〜AC4世紀まで比較的長く使用されてきた。主に歩兵たちが扱い、身幅は広く、切っ先が尖り、ヒルト(柄)はガード(護拳)、グリップ(握り)、ポメル(柄頭)の三つから成る。グリップには握りの形状があしらってあるため、非常に持ちやすく使い易さを考えて作られている。グリップは木、象牙、骨などで作られていた。
長さ:50〜70cm 重さ:0.9〜1.1kg 時代:BC7〜AC4世紀

◇シンクレアー-Sinclair
スキアヴォーナの始祖ともいえるほど大型の籠状ヒルト(柄)が付けられた剣。剣身は長く、僅かに湾曲しており、さらに、当時のものとしては身幅が広いことから、剣自体の重量で断ち切ることが多かったといわれる。
長さ:70〜90cm 重さ:1.5〜1.8kg 時代:17〜18世紀

◇スキアヴォーナ-Schiavone
ブロードソードに独特の籠状ヒルト(柄)がついたもの。この籠状ヒルトは相手の斬撃から手を守るために作られた。語源は英語の「Slavonic(スラヴの)」から由来される。
長さ:70〜85cm 重さ:1.5〜1.7kg 時代:16〜18世紀

◇バスタード・ソード-Bastard sword
斬ることにも突くことにも適した刀剣。斬り合いは片手で、刺突は両手で行えるようになっている。15世紀頃スイスで生まれ、記録によれば1422年のベリーンツゥーナ(Bellinzona)の戦いにおいて初めて戦火を交えたとされる。
長さ:115〜140cm 重さ:2.5〜3.0kg 時代:15〜16世紀

◇パラッシュ-Pallasch
騎兵用の広刃の直刀。語源はトルコ語の「Pala(真っ直ぐな)」に由来される。地域によって呼び名が異なり、パラッシュはドイツ語、ポーランドではパラーズ(Palasz)、ハンガリーではパロッス(Pallos)と呼ばれていた。実戦では 騎兵はパラッシュの他にサーベルを帯刀し、用途別に使い分けていたとも言われている。
長さ:100〜110cm 重さ:0.9〜1.0kg 時代:17〜20世紀

◇ファルシオン-Falchion
ファルシオンはフランス語で、英語だとフォールションと呼ばれる。片刃で身幅の広い曲刀で、短く重く作られた断切り用の剣。刃は緩やかに弧を描いているのに対し、棟は真っ直ぐなのが特徴。
長さ:70〜80cm 重さ:1.5〜1.7kg 時代:10〜17世紀

◇レイピア-Rapier
細身の長い刀身が特徴の剣。刀身の形状から斬る事はできず、刺突専用となっている。語源はフランス語のEpee Rapiere。Epeeとはフランス語で「剣」を、Rapiereは「刺突」を意味し、宮廷の儀礼用刀剣の事でもあった。
長さ:70〜80cm 重さ:1.5〜1.7kg 時代:10〜17世紀

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