歩幅






 ―――なぜあなたはそんなにも私とちがうのだろう。

 河村隆の同級生で幼なじみのは、ふと思うのだった。

 学校の帰り道。
 家がとなりなので、一緒に帰ることになった河村とは、
 他愛もない話をしながら間をもたせていた。

 ―――私よりもずいぶん大きなその背丈。大きな歩幅。

 ―――それでも私にあわせてくれる。こんなにも私たちはちがう。















「ねえ、テニスって楽しいの?」

「うん、楽しいよ。も一度やってみたら」

 河村はにっこり笑った。


 ―――私は知っている。あなたが今年で、テニスをやめてしまうということを。


















「河村って強いね」

「へ、どうしたの急に?」

「ううん、すごいなあと思って」

「そう? オレは、まだまだだと思うけどなあ」

 河村はテニスの腕のことを言われたのだと思って、少し誇らしげに笑った。





「河村、手を貸して」

 に突然言われて、河村はとまどいながら手を差し出した。


 ―――ほら、私よりも大きい手のひら。


 それをはぎゅっとにぎって、そのまま歩きはじめた。
 河村は最初なんなのかよくわからず、うでを引っ張られるかたちになったが、
 少しして、顔を赤くして、またおなじ歩幅で歩いた。











「また今度、お寿司を食べにいくね」





 がそう言うと、

 河村は、うん、待ってるから、と言った。































 ―――いつかあなたと同じ歩幅で歩けるようになるから。















*あとがき*

ドリームらしいドリームを……!!
がんばりました! がんばりました石蕗柚子!
ホント修行します。

2004.2.23
2004.3.26改訂 石蕗柚子






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