不二家 妹 小学2年生 −きねんび− 「今日はなんの日だったっけ、」 周助兄ちゃんがいつもの微笑みで言ってきた。 私はうん、と生返事でかえした。 「にちようび」 「おにいちゃんは曜日をきいてるんじゃないんだよ」 あ、このおかし、ちょっとあきてきたかも。 日曜日。私はとくにあそびに行く用事もないので、家でごろごろしていた。 周助兄ちゃんは、今日は朝からごきげん。 そして、いつものようにご飯を食べて、いつものようにすごしているのだった。 それがどうもさっきから、ようすがおかしい。 「今年はちょっと特別な年だよね」 「あ、オリンピックがあるよね」 「そうそう、今年は夏の方だからボクも本当たのしみで、ってそうじゃなく」 ノリツッコミできるんだ、周助兄ちゃん。 私はちょっとゆずってみることにした。 「うるうどし?」 「うん、そう。うるうどしっていえばなんだったっけ、」 「えーっとねえ」 「うん」 「ジャンプのお巡りさんが主役のマンガで、超能力をもつお巡りさんがでてくるよ」 私けっこうあのマンガ好きなんだけど、最近ちょっとダレ気味かなあなんて言ってみる。 「………………」 「うん?」 「わかった、じゃあもうちょっと戻ろう。今日はなんの日だっけ」 微笑みは消えない。 私はカレンダーをみる。 「大安」 「そうじゃなくて、日付の所」 「……………京都北野梅花祭」 「それは25日」 、戻ってる戻ってる。と周助兄ちゃん。 「周助兄ちゃん」 「なんだい?」 「あのね」 「うん」 「わざとだよ?」 周助兄ちゃんの後ろで、由美子お姉ちゃんがクラッカーをならした。 振り向く周助兄ちゃん。そこには裕太兄ちゃんもいる。 周助兄ちゃんの微笑みが、やわらかくなる。 「ちょっと必死だったわね、今の。周助」 いじわるっぽく笑って、由美子お姉ちゃん。 「そんなことないと思うんだけど……姉さん」 眉をちょっとさげて、周助兄ちゃん。 「周助兄ちゃんは、へんなところで心配性なんだよ」 してやったりと、私。 「いや、オレもあそこまでされるとさすがにちょっと不安になる」 しみじみと我が身のことのように、裕太兄ちゃん。 ちょっとだけ、とくべつな日。 ちょっとだけ、とくべつな年。 うまれてきてくれたあなたに、これでも最大級のお祝いを。 「ところで」 「うん?」 「四年で一歳としをとるんだから、 実はボクは法律的にも、より年下だってしってた?」 「「それはない」」 私と裕太兄ちゃんとで、ハモった。 *あとがき* とゆーわけで、周助兄おめでとう! お兄ちゃん必死です。がんばれお兄ちゃん。 「わざとだよ」って最初に言い出したのは誰なのかしら。 私のメモリアル(記憶)が定かでないので誰か教えてください。 2004.02.29 石蕗 柚子 戻る |