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【おうちにおともだちがきた】


「おじゃまします。
 ははっ、不二の家なんて久しぶりだな」

 日曜日。お昼がすぎてちょっとまどろんでいたころ。
 そう言って家の中に入ってきたのは
 体が大きくてやさしそうな男の人だった。

「あっ、ちゃん。オレ河村隆だけど、おぼえてる?」

 そう名乗った彼と私はあったことがあるらしい。
 どうしても思い出すことができなくて
 もうしわけないけど 「ううん」 と私は首をふった。

「そうか。そうだよな。もうずいぶん昔のことだもんな。
 あれはちゃんが何歳のころだったっけ」

が幼稚園のころだよ」

「それじゃあ覚えてなくてもしょうがないな」

 そう言ってたかしお兄ちゃんは笑った。






 いいなあ。やさしそうなお兄ちゃん。
 私、こんなお兄ちゃんがほしかったなあ。

 そんなことを思っていると
 周助兄ちゃんはなにを思ったのかテニスラケットを持ってもどってきた。

「ね、タカさん。アレやってみてくれない」

「え、あ、アレ? やだな、よその家でそんなことできないよ」

「いいよいいよ気にしないで。うちのにも、アレ、みせてあげて」

「うーん………」

 なんだろう?
 たかしお兄ちゃんは、なやんでいる。
 テニスラケットをつかって、なにをするんだろう?

「でも、もし妹さんにケガでもさせたら……」

 たかしお兄ちゃんがそう言い終わるまえに
 周助兄ちゃんはたかしお兄ちゃんの手にラケットを持たせてしまった。

 一瞬でたかしお兄ちゃんの形相がかわる。














「バ……………」






 ………………バ?













 たかしお兄ちゃんは、なにかものすごくガマンしている。
 ラケットを持ったまま固まっているのだけど
 それはなにかをこらえているからみたい。顔がまっかでくるしそうだ。
 周助兄ちゃんが心配して声をかける。

「タカさん無理しないで」

「そ、そうはいっても………不二のシスターにケガなんかさせたらショッキーング………」

 なぜ、カタコトの英語交じりなの。

 魚へんにブルーと言った野球監督をおもいだしながら
 私はなんだかたかしお兄ちゃんがかわいそうと思い、言った。

「いいよ。大丈夫だよ。私なら、ちょっとくらいケガしてもすぐになおるから。
 ガマンしないで、たかしお兄ちゃん」

「!!」

 そのとき、衝撃がはしった。











「うおおぉぉぉおっ! 不二はこんな妹を持ってスペシャルハッピー!
 オレもこんな妹がほしいぞバーニーング!!」


「うきゃああああああ!!」


 私は、たかしお兄ちゃんに軽々ともちあげられてしまって
 リフト状態で宙をさまよう。

「こっ、これ、たのしいねえ!」

「だろ? 。昔もこれをタカさんにやってもらってたんだよ」

「そうなんだぁ!」


 私は天然遊園地を楽しみながら

 (そういえばむかし妙に何度も遊園地に行っていたような気がしてたなあ)

 と思い出していたのだった。



*あとがき*

タカさん不二家訪問編。

バーニング状態をガマンするタカさんが書きたかったのです。
バ………とか、ショッ………とか、たのしそうじゃないですか。
(タカさんをなんだと思ってますか)


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