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【おうちにおともだちがきた】




「おじゃましまっす」

 午後三時くらい。
 そう言って家に入ってきたのは
 ちょっとなまいきそうな顔つきをした男の子だった。
 私の学校でも六年生くらいにはこれくらいの背丈の人がいる。

 周助兄ちゃんと同じ制服を着てるけど
 どっちかというとクラスでも身長が低い方なんじゃないかな?

「なに。オレの顔、なんかついてる」

 ぶんぶん、くびをふる。
 ああしまった。じーっと見ちゃってたみたい。

「不二先輩の家って………広いっすね」

「そう?」

 そう? じゃないよ、この兄は。

「うん。広いっていうか、だだっ広い」

 あー、このお兄ちゃんも言うなあ。

「すげっ。シャンデリアまである」

 上を見上げてつぶやく。

「ムダにすげー」

 ムダ。まあ、たしかにシャンデリアはほとんどかざりなわけで
 そうそう大した意味はありませんけど。なんだかなあ。









「えっと、それでこのコは」

「ああ、妹の。なかよくしてやってね」

「ども。越前リョーマです」

「はじめまして、不二といいます」

 リョーマお兄ちゃんか。
 なんだかひょうひょうとしてて、つかみどころのないお兄ちゃんだなあ。
 でも、どんなこと考えてるのか知りたいから、ちょっと話しかけてみることにした。










「あの、リョーマお兄ちゃんはどんな」

「なに」

「え?」

「その呼び方」

「リョーマお兄ちゃん?」

「それ。やめて。名前の後に妙なのつけるの、やめてくれない」

「えぇ?」

「むずがゆくなる」











「じゃあリョーマ」

「呼び捨てかよ」

「じゃーリョーマぴょん」

「なんでそうなるのさ……」

「リョーマッチ、リョマルン、リョマリーナ、リョーマゴン、リョマップ」

「………………わかった。最初のでいい」

「わかった。リョーマお兄ちゃん」



 後ろで周助兄ちゃんが笑っていた。








*あとがき*

妹粘り勝ち。

リョーマ不二家訪問の巻。
やりすぎると嫌われるような気がしますが。
小学生だからなせるワザか。
逆に一緒のレベルになってケンカしそうな気配もします。


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