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【おうちにおともだちがきた】




「おじゃまします。ここが不二周助の家か」

 夕方。
 そう言いながら家に入ってきたのは
 その奥にある目が見えないくらいまで度の入ったメガネをかけた男の人だった。

「ふむ。建坪面積に対する空間利用率が気になるところだな……
 とても贅沢に土地を利用している」

「乾、まあまあ、そこらへんで。うちのが怖がってるよ」

「は、はじめまして。不二といいます」

 なんだかうちの周助兄ちゃんとはちがった感じの
 ふしぎなふんいきをもったひと。
 私はちょっと腰がひけたけど、きちんとおじぎをした。

「いや失礼。オレは乾貞治。不二と一緒にテニス部をやらせてもらっている」

「そ、そうなんですか」

 なんだかとてもそんなふうにはみえなくて私はあいづちを曖昧にうってしまった。

「ん、そうは見えないかい?」

「あ、いえ」







「テニスはデータも勝つためには、重要なファクターだからね。
 けっこうオレに向いてるスポーツなんだよ」

 ふぁ、ふぁくたーってなんだろう?

「は、はい先生」

 つい手をあげてしまう。しまった。先生ってなに。

「はい、不二くん。なんですか」

 あ、結構ノリのいい人なんだ。

「ふぁくたーってなんですか」

「うん、そうだな。英語で要因のことをさすんだが。
 まあ簡単に言ってしまうと原因、理由、そんなところかな」

 うーんなるほど。
 つまりテニスで勝つためにはデータっていうのも大切なんだね。














「じゃあじゃあ先生! もうひとつ、ききたいことがあります!」

 私は調子にのって前からきになっていたことをきいてみることにした。

「はい、なんでしょうか。くん?」

 サダハルおにいちゃんもノリノリでこたえる。
 ちょっとたのしそう。

「えーっと、これはクラスの男子が言ってたんですけど」

「うん」

「むっつりスケベってなんですか」













 サダハルおにいちゃんがかたまる。
 ついでにサダハルおにいちゃんの後ろの周助兄ちゃんもかたまった。

「………それは」

。それ、だれに教わったって?」

「え、えーと。だからクラスの男子の……」

「こんど、その男の子をうちによんできてごらん」

「え、なんで?」

「いいから」

 周助兄ちゃんが微笑む。
 ………なんか私、へんなこと言った?

「………そうだな。たとえば、男性にはある種の………」

「乾も説明しなくていいから」



 周助兄ちゃんがなんだかこわかった。


*あとがき*

乾不二家に訪問編。
乾大好きですよ。変態さんチックなのに、じつは普通の男の子っぽいとこが。
それにしても、ヒロインのクラスの男の子、運命決定。嗚呼。


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