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【おうちにおともだちがきた・番外編2】




「ただいま!」

 ばんごはんももうすぐのころ。
 そう言って家に入ってきたのは、だれでもない裕太兄ちゃんだった。

「あれっ?! 裕太兄ちゃん、どうしたの?」

「スマン。うちの先輩たちが、どうしてもオレの家を見たいって………
 それで色々ものを取りに来るついでってことで今、先輩たちが」

「おうおうここが裕太のウチだーね?! わーお!
 あれあれ! 淳あれシャンデリア、シャンデリア!」

「はいはい。よその家で、はしゃがないでよ柳沢」

「でもアレすっげーぞ木更津! オレあんなの初めて見た!
 うおー持って帰りてー!」

「あ、赤澤部長! そ、それはムリじゃないかと……」

「うん。金田の言うとおり。さすがに持って帰るのはムリだと思う」

「わ、わかってら! 野村、金田、そんなにオレをバカにすんのか!」







 わあわあ、ぎゃあぎゃあ。

 家の中が急にお祭りみたいになる。
 私は頭の中がくわんくわんした。

「ホントにスマン。すぐに退散するから」

「おっ、カレー! カレーつくってんのか?!」

 後ろの方で浅黒い肌をしたお兄ちゃんが叫ぶ。
 さ、サーファー?! それとも丘サーファーなの?!
 だとしたらチーマー?!

「うおー、うまそー! いーな裕太。オマエんちいっつもこんなすごいカレー食ってんのか?」

 カ、カレーに違いなんてあるの?

「赤澤部長、さすがです! このカレーはどんな違いがあるんですか?」

 今度は純朴そうな男の人。
 なんでか眉が微妙なカーブを描いてるけど、あれはわざとなのかな?
 ………わざとだったら、それはちょっと。





「いや、なんとなく勘で言ったんだけど……裕太んちなら高いルー使ってるぽくね?」

 ショックを受ける純朴そうなお兄ちゃん。

「よしよし金田は素直だーね……カレーなんて見た目でわかるわけないから…」

 えーっと、このお兄ちゃんは。
 なんだか見たことがあるんだ。どっかで。なにか、このお兄ちゃん本人じゃなくて
 すごく似ただれかを………あ。

「………どうしたの?」

 そうきいてきたのは赤いハチマキをしたお兄ちゃん。
 薄く笑っていて、なんとなく得体が知れない。
 顔はキレイなひとなんだけど。

「あ、あの。その、そこのお兄ちゃんが」

「ああ柳沢?」

「うん。柳沢おにいちゃんが……誰かににてるなっておもったの。
 それでわかったのが……あ、やっぱりやめ」

「ド○ルド○ックに似てたとか?」






 ………なんでわかったんだろう。








「ヒドいだーね! 淳、オレのこと今なんていった?!」

「別に? いいじゃない焼き鳥のつくねに似てるっていったわけじゃなし」

「なんかわけわかんないしヒドいだーね!!」

 涙をながすドナ……柳沢お兄ちゃん。ゴメンね。

 そんななか。
 一人ちゃっかりお茶を飲んでいるお兄ちゃんがいた。

「あ、はじめまして。野村拓也といいます」

「は、はじめまして。不二といいます」

 たくやお兄ちゃんか………影がうすいように思えて、
 なかなかちゃっかりものなのかも?














「ふう………ずいぶん長居しちゃったな。そろそろ帰るよ。
 、疲れたろう? 今日はゆっくり休めよ。
 それじゃ」

「あ。裕太兄ちゃん」

 振り返る裕太兄ちゃん。

「なんだ?」

「裕太兄ちゃん、あっちでもたのしそうだね。よかった」

「………そうだな。なんだかんだで結構たのしいよ」

「ねえ。また来てよ、みんなで。あいたいな」

「………ああ。わかった。

 また来るよ」

 裕太兄ちゃんは、そう言ってニッと笑った。




*あとがき*

不二家訪問・番外編2。
石蕗に伊織が
「不二家訪問に、観月がでるのか。どっちかというと赤澤を書きそうだ」
と言ったことから。(石蕗は赤澤スキーです)

赤澤がでるなら金田もでしょってことで
金田もでるなら柳沢や木更津や野村や……ということになり
収拾がつかなくなるのでいっぺんに。

セリフなど、ちゃんとわかっていただけましたでしょうか?
それが不安です。ああ。


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