*常夏*「オレは南国の王様になる!」 赤澤吉朗がそう吼えたのではかえした。 「うん、なれば」 「じゃあおまえはお后様な」 は適当にかわそうと思ったのだがそうこられてさすがに面食らった。 「多人数参加型なの?」 「おう! もうテニス部のやつらも一緒にやる! 楽しいことはみんなでやったほうが面白いだろ?」 赤澤がさらりととんでもないことを口にするのでは二の句を継げなかった。 呆然とするを置いて赤澤は次々と語っていった。 ―― 王様ってからにはペットが欲しい。それならなるべく堂々としたヤツがいい。 数秒考える。ライオンだ。オレは部室でライオンを飼う。 瞳をキラキラさせながら赤澤は部室に向かった。 ぱこり。 丸めた雑誌が赤澤の頭を直撃する。 「まわりの迷惑を考えなさい」 「迷惑ってなんだよ」 そのまぶたの裏に夢を描いた赤澤にはすでに忠告の言葉が届かない。 は実感した。 「常夏なのはあなたがいちばん身近に感じられるとこだけにしておきなさいってこと」 小突いた頭を指しながら。 赤澤は少し思案してから言った。 「じゃ、とりあえずおまえはお后様でいいんだな」 「なんでそうなるのよ」 はうなだれた。 *あとがき* なにげにお題で一つ目だった赤澤部長。 劇場版ではサービスありがとう! 2005.04.08 石蕗 柚子 <<戻る |