裁  判  日  誌  3  



2005年9月21日 
第 3 回 口 頭 弁 論
 

午前10時から横浜地方裁判所101号法廷で、第3回口頭弁論が開かれました。

【裁判傍聴記】

 地裁前には9時過ぎから傍聴者が集まり始め、30分から原告団を励ます集会が開かれました。 「たばこ病」をなくそう!たばこが原因の死亡者数(年間)114,200人(厚生労働省発表)、と書かれた横断幕が道ゆく方々の目をとめます。

応援の渡辺文学さん(禁煙ジャーナル編集長)
中央でマイクの人

 原告団代表の水野雅信さんも酸素吸入しながら車椅子での参加。8月中旬頃から腰まわりが帯状疱疹に見舞われ激痛がはしるなか、麻酔医薬を点滴投与しながら、「第一次訴訟七人の原告団のうちすでに四人が亡くなられた。国は、国民の健康を害するものを売ってよいのか。この深刻な事態をふまえ、一言でも発言し、一刻も早く判決が出されるよう頑張る」と決意を表明しました。

 副代表の森下さんは腰痛がひどく、代わってご夫人が参加し、高橋事務局長から、ご支援のお願いと闘う決意が述べられました。

 傍聴に駆けつけた大森猛さん(日本共産党元衆議員)は、「行政の姿勢はアスベスト問題と共通している。税収を確保するため、自業自得ということでたばこ病を放置してきた責任は免れない」ときびしく批判し、最後まで応援すると激励しました。

 27年前に断煙し以降「たばこ病」をなくす運動に取り組んでいる渡辺文学さんは、「JTは公害企業であり犯罪企業であり死の商人である。第一次訴訟ではすでに四人の仲間が死亡した。裁判所が「たばこ規制枠組み条約」をふまえ、しっかりした判断を下すよう働きかけてゆこうと、訴えました。

 また、弁護団の三枝弁護士は「傍聴者がこれだけ多いのは東京の裁判との大きな違いだ。法廷を埋めることが裁判官にも大きな影響をあたえる。今後も枠組み条約の釈明を要求してゆく」と参加者を激励しました。

片山弁護士が口頭陳述

 裁判は10時きっかりに第一法廷で開廷しました。100席の傍聴席は満席となり、法廷に何人か入れない人もあり、この裁判の関心の高さを物語っています。原告弁護団の片山弁護士は、6月29日の「たばこ規制枠組み条約」に関わる準備書面の補充ということで、約15分間の口頭陳述を行いました。

@条約では、たばこ需要を減少させること、未成年者への販売禁止、広告規制、等々の個別条項の履行を締約国に求めているが、国はどう対処しようとしているのか。
A発生した原因について、刑事・民事の両面から責任を求めているが、国はこれを検討しているのか。
 ・健康被害者の補償を考えているか
 ・たばこ規制の重要な手段としてJTの責任を検討しているか
 ・立法措置等具体策を明らかにしてほしい 等々。

 *国は、請求原因と「枠組み条約」に関わる求釈明とは関係ないという立場です。

 また、この日、原告3人の事実関係を明らかにした陳述書を、写真や診断書を添えて裁判所に提出しました。

 さらに、今後計画的に審理をすすめるため10月19日、原告、被告、裁判所の三者で進行協議を行うこと、および第4回口頭弁論は、11月30日(水)13時10分から第五号法廷で開くことになりました。

講 演 たばこと「生活習慣病」

 裁判終了後、開港記念会館で行われた講演会に参加しました。

講演の窪倉院長

窪倉医師(汐田総合病院院長)

 「日本人の死因は、癌が30.2%、心臓病が15.3%、脳卒中が15.2%で6割以上を占めるが、本当の死因は、たばこが20%、過食・運動不足が15%、アルコールが5%・・・現在の死亡の40%は人間の生活習慣に起因しており、なかでもタバコの有害性に注目しなければならない」として、プロジェクターを使って各症例の説明をすすめました。

 たばこが危険因子として作用している病気として、心筋梗塞、脳梗塞、脳内出血、動脈硬化症などの事例を写真や図表を駆使してわかりやすく解説してくれました。「タバコのニコチンは血管の老化、脆弱化、動脈硬化を促進し、その結果血管が詰まったり破れたりして人間の生命は重大な事態に至る」と、従来の「死の4重奏である高血圧、肥満、高血糖、高脂血症にタバコを加え「死の5重奏」としてたばこの弊害を指摘しました。

 しかし、日本の医学教育では「たばこの弊害」についてはほとんど教育せれずにきているのが現実であり、生活習慣病についての労災保険給付についても、たばこの弊害については入っていません。

 窪倉医師は、21世紀の医療は、合併症になる前、すなわち生活習慣対策として病気を予防することにあると強調しました。そして、「健康日本21」のなかにもたばこに関して@健康影響についての知識の普及、A未成年者の喫煙をなくす、B分煙の徹底、C禁煙支援プログラムの普及が盛り込まれ、2010年を達成目標としていること、また、「健康増進法」では「受動喫煙の防止」を掲げていること、「たばこ枠組み条約」における自動販売機への未成年者の制限などを紹介し、国の責任、「国権による不制止」の問題を鋭く告発しました。

 最後に応援団事務局の本多さんから、未成年者の健康を守るため神奈川県に向けての陳情書を作成中であること、今後陳情署名運動を推進してゆくことなどの報告を受け散会しました。

     922日 杉浦悦司記