裁 判 日 誌 9
2006年11月15日
第 9 回 口 頭 弁 論
13時10分から横浜地方裁判所101号法廷で、第9回口頭弁論がひらかれました。
【裁判傍聴記】
地裁前集会について(12:20〜)
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| 挨拶する原告の高橋さん |
先週、傍聴記の依頼を受けて引き受けたものの、当日2〜3分遅刻してしまいました。横浜地裁前の集会は、すでに
横浜市 従労組の佐久間執行委員の司会で始まっており、「禁煙タクシー訴訟原告」の代表の方があいさつの中で、「いつもこんなに傍聴者が参加してうらやましい」と言っていました。続いて小池泰道さんから「水野さんの近所づきあいで誘われ、最初はあまり関心はなかったけれど参加する中でこのひどさが解ってきた。感心しているのは、毎回よく皆さんが裁判の場に来てくれることです。これからも参加します。」とのあいさつがありました。
このあと、ルポルタージュ作家の今崎暁巳さんの紹介があり、最後に本多さんから次の報告がありました。
1. 自販機撤去を求める署名は1万3千筆を超えたが、陳情は不採択となった(自民、民主、公明等は不採択。共産、神奈川ネット、市民の党は採択)。署名は本日をもって区切りとしたい。
2. 県が当初言っていた識別装置の一年前倒し設置も結局2年後となった。違反自販機については、国が許可したものだから調査はしないという態度は問題だ。
3. 意見広告の具体化について検討していきたい。との報告があった。
裁判の様子について(12:50〜)
法廷は80名が傍聴できる一番大きな101号法廷に今回はほぼ満席の傍聴者。最初に裁判官から、裁判所の構成が替わったとの報告があり、書面提出の確認後、原告側代理人の片山弁護士が準備書面の陳述を行いました。
【要旨】たばこの健康被害を承知しながら適切な措置を取らなかった国の責任を追及
○ 日本に於けるたばこ販売の歴史は、昭和60年3月まで専売公社であったがその後民営化され現在は日本たばこ産業(株)であるが国の所管は一貫して財務大臣であり、国民の保健・衛生並びに健康を司る厚生労働大臣でないこと、たばこによる税収の確保を最優先されているところに大きな問題がある。
○ 我が国のたばこ消費量は徐々に下がっているとは言え、80年代でも70%を超えている。この要因は諸外国でたばこの有害性が指摘され、1970年にはWHOが喫煙制限対策をとるよう勧告したにもかかわらず、国はこのことを承知しながら何の防止対策も講じてこなかったからである。
○ 言うまでもなく国、行政庁は国民の生命、健康が企業の活動等によって重大な危機に曝されることがあるときは、このような危険の防止と健康の確保の責任を負っていることは当然である。そして、これらにかかわる規制については一定の裁量が許されているが、次の場合には、権限の行使、不行使について裁量の余地がなくなり、規制権限の不行使は違法となる(裁量収縮の理論)。(熊本地裁の水俣病裁判に於ける判決)
@ 国民の生命、健康に対する重大な具体的危険が切迫していること。
A 行政庁が上記危険を知っているか又は容易に知りうる状態にあること。
B 規制権限を行使しなければ結果発生を防止し得ないことが予想されること。
C 国民が規制権限の行使を要請し期待しうる状態にあること。
D 行政庁において、規制権限を行使すれば、容易に結果発生を防止できること。
等の各要件を充足する事態にある場合、行政庁が国民の生命、健康に対する重大な危険を排除するのに効果的な規制権限を行使しなかったときには、行政庁の裁量権の消極的乱用というというべき著しい不合理な状態であるから、規制権限不行使は違法というべきであり、その結果、個別の国民に生じた損害を賠償すべき民事責任が発生するものといわなければならない。
○ 本件の場合も縷々述べたようにこれら5つの要件に照らせば行政庁の怠慢はあきらかである。すなわち,被告国が全くと言っても過言ではない程度の喫煙規制しか行ってこなかったことは周知の事実である。たばこ規制枠組条約の批准、発効を通じて漸くたばこパッケージの新たな警告表示や、禁煙治療の健康保険適用等の措置が取られるようになったが、まだまだ不十分である上、遅きに失し過ぎている。
被告国の上記作為義務違反により、本件各原告を始め、とてつもない数の国民がたばこによって健康被害を被っているのである。WHOの試算によれば、我が国のたばこによる死亡者数は、95年度9万5千人、00年度で11万4千人にも達しているのであって、国民の生命、健康のために、被告国が全く要求された法的義務を果たしてこなかったことが明らかになっている。
約20分にわたる片山弁護士の陳述が終わると傍聴席から拍手が…
○ 陳述後、裁判官から今後の日程について提案がありました。次回07年1月17日は原告側からの因果関係について。3月28日は被告国の反論(この公判後に進行協議を行うのでそれまでに立証計画を提出すること等の提起があった)。5月23日、7月18日、いずれも13:10〜の日程が決まりました。
公判後の報告集会について
2時過ぎから開港記念会館で鈴木清さんの司会で報告集会が行われました。
○ 弁論の要旨について片山弁護士から説明があり、「国の違法行為は事業主とは違って水俣病判決にもあるように権限を行使しなければ違反になること。又、国は、たばこは食品ではないと逃げているが、ガムや化粧品も家庭用品全般として消費者保護基本法が適用されている」。との補足説明もありました。
○ 本日初めて参加、先月弁護士になったばかりという大変若い〇〇弁護士が紹介されました。(事情があり、お名前は今後の楽しみに)
”漫画家”高信太郎さんの講演 「ニコチン切れたら漫画描けるか」
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| 落語で講演の高信太郎さん |
冒頭、今日、はらたいらさんの告別式だったがこちらに来ました(漫画家らしくお葬式は予定できません…)。やはりたばこもお酒も相当好きだったとのこと。以下、高さんの話を断片的にメモしました。(高さんは、原たいらさん、たにおかヤスジさんと並んで漫画の3下手といわれ長いつきあいだったとのことです。)
○ 20才で漫画家になって42年、たばこを吸わない漫画家というのは殆どいない。推理作家も同様で職業柄アイデアが出ない時に一服すると不思議に出てくる(本当はニコチン切れのためにボーっとしていた頭が一瞬正常に戻っただけなのにそれが解らない)。落語が好きで春風亭蛾昇の高座名も持っているが落語家も殆どが喫煙家。
○ 先輩にはたばこを止めろとは言えないが後輩には厳しく言う。今日は吸わない人の前で禁煙の話をしてもしようがないと思うが「ひっそり始める禁煙実践ガイド」と言う本を出したが全く売れない。喫煙者を対象とした講演会は時間が経つとみんなイライラしてくる。お酒は年と共に弱くなるけれどたばこは死ぬ直前まで吸う。
○ その他「手遅れ医者」の話し、古今亭一門に不幸が続いた時、鰻を祀るお寺?に願を掛けて。鰻は断ったけどたばこは止められなかった話、コロンブスとたばこの話、等々約1時間に渡って面白い話を聞かせてくれました。笑いの中にも本当にたばこは良くないんだと思いが伝わってきました。
・ 最後に支援する会」の渡辺文学さんから、自分は20年間喫煙していたが、今69才で草野球チームでは打率3割9分。これも禁煙して元気だからだ。11月14日付朝日の夕刊に「がん死男性4割、たばこ原因」との記事もあるが、一方週刊ポストはJTなどがスポンサーになってたばこの有害性を否定する記事を載せている。たばこの宣伝をしている。これには抗議したい。喫煙人口を減らすには若い人に喫煙のきっかけを作らせないことが大事だ。そのためには自動販売機の撤去を速く実現したい。との閉会あいさつでこの日の行動を終了しました。
・ 私も禁煙して15年位になりますが喫煙者に禁煙の話をするのは本当に難しいと思います。特にお酒を飲んだ時に吸われると受動喫煙もさることながら衣類についた臭いも気になります(喫煙していた時には気にならなかった)。喫煙者も健康に良くないことは承知していますから、「一箱○千円になったら止める」とか「売らなければ吸わない」とか、又、非喫煙者がいる時は酒の席でも我慢するとか、みなそれぞれ何らか意識していることは確かです。ですから裁判も含めてこうした運動を続けることによって確実に成果は勝ち取っていけると思います。
増 田 成 司(横浜地区労特別常任幹事)

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