裁  判  日  誌  15  



2007年12月5日 
 証 人 尋 問 
 

 13時30分から横浜地方裁判所101号法廷で、証人尋問が開かれました。
  証 人 尋 問 要 旨


【 裁 判 傍 聴 記 】 

津田証人、JT側を圧倒

―喫煙と肺がん・肺気腫などとの因果関係を証明ー

(裁判所前集会)

裁判所前のいちょう並木が黄色く染まり、裁判が始まってもう3年、冬の到来を告げています。好天に恵まれた12月5日、昼過ぎから支援者が続々と集まりました。およそ80人(最終的には100名あまり)を前にして横浜市従の佐久間由美子さん司会で裁判所前集会が始まりました。

高橋是良原告は毎回の支援に感謝するとともに今日は岡山から津田敏秀先生が、タバコ喫煙と肺がんなどとの因果関係を証明すべく来浜されたことを報告し、JTを追い詰めるのが楽しみであると挨拶しました。またタバコ病をなくすために、タバコ対策基本法の制定にむけてご意見を寄せてくださいと呼びかけました。

森下玲子原告は一周忌になる森下賢一原告が皆さんにご支援をいただいたお礼を述べ、彼の遺志を受け継いで引き続きがんばりたいと決意表明しました。

水野雅信原告代表は循環器呼吸器病センターに15回目の入院中のため妻の水野龍江さんから病状報告がありました。「森下さんの形見のセーターを着て参加する、と張り切っていたのですが、本人も残念がっています。ご支援への感謝をこめた皆さんへの挨拶文をお配りしますのでよろしくお願いいたします」と話されました。参加者から心配の声がありましたが今回は比較的に経過が良いとのことでした。(水野さんは12月10日退院しました。この10年間、『倒れては入院し、再起しようとすると、また倒れる』の繰り返しで循環器呼吸器病センターにいつのまにか15回の入退院となり、今は自宅療養に戻っているとのことです。)

渡辺文学さんからは禁煙タクシーの爆発的広がりについて報告があり、来年1月東京が全面実施になれば来年中には全国の過半数が禁煙車になり、勢いは加速中とのことでした。今年タイのバンコクで開かれたFCTC締約国会議で「受動喫煙防止のガイドライン」が満場一致決定されましたが日本政府は内容の骨抜きを画策して孤立しました。いまJTはどんどんおいつめられていると話されました。

始めて参加した片山律弁護団長のお父さんの片山徹さんが渡辺文学さんから紹介されました。「昔公害裁判で渡辺文学さんと知り合い、多くの弁護士とともに不当に苦しめられている住民の方々の人権と生活を守るために闘った経験を踏まえ、法律が国民のために生かされるようにとの思いで「律」と言う名前をつけた。いまその息子が弁護士になって皆さんと共に闘っていることは感慨深いものがある」とご挨拶がありました。

毎回傍聴参加している畑野君枝さんが、今回衆議院南ブロックの比例候補になり紹介されました。

  疫学的証明が因果関係を示す (津田証言)

 13時30分、満席の傍聴者が見守る中で津田敏秀証人(岡山大学大学院教授)は因果関係問題の専門家として疫学による医学的な証明を行いました。これは一般的な経験則で誰もが知っている「あれなければ、これ無し」という関係を喫煙と(タバコ病である)肺がんや肺気腫との関係を医学的に因果関係として証明したことです。

疫学は1964年アメリカ合衆国衛生総監(サージャンジェネラル)がタバコ喫煙と肺がんなどとの因果関係を認めたエビデンス(証拠)として採用した医学的手法であることが説明されました。疫学による因果関係の考え方は原爆症の認定にも採用されている確立した医学的手法であることも報告されました。さらにFCTC(WHOタバコ規制枠組み条約05年2月発効)前文で「たばこ消費とたばこ煙への暴露が死亡、疾病および廃疾を惹き起こすこと・・・は科学的な証拠により疑問の余地無く立証されている」と書かれている、その科学的証拠とは疫学をさすものであるとの解説もありました。

三人の原告の肺がんも肺気腫も疫学的には長年のタバコ喫煙がその原因として80%以上の寄与率があること、言い換えればタバコを吸っていなければ80%以上の確立でそれらの疾病にかからなかったことを証明しました。タバコを吸わなければ、あるいは受動喫煙が無ければ肺がんや肺気腫など、いわゆるタバコ病にはかからないということです。

疫学は個人の疾病の原因を突き止めるために研究されてきたものではありませんが研究の成果が積み重ねられる中で、個人の疾病の因果関係の証明にも有効な医学的証明ができることが説明されました。多くの症例の中から喫煙者がその疾病の原因としてのタバコ喫煙以外の素因がなければタバコ喫煙との因果関係が認められることを解説されました。

水野原告も森下原告もそれぞれの経過や状況から、喫煙が原因で肺気腫になったことは明らかであると証言されました。

高橋原告についてはフィルターつきのタバコが販売されるようになってから、同じ肺癌でも腺癌が増えている時期とも重なり、かつブリンクマン指数(喫煙本数×年数)も高く喫煙と肺腺癌の因果関係は証明されると話されました。

(JT側反対尋問)

JT側弁護士の反対尋問は、大気汚染や遺伝など他に原因を求めるような質問、あるいは疫学は因果関係の証明にならないなど反論もありましたが、逆質問にたじたじとなっていました。攻めているのか逃げているのか分からないようなところもありました。国側(厚生労働省)は本人尋問のときと同じように反対尋問に立ちませんでした。

(編集者注)喫煙と肺がん、肺気腫の因果関係の証明については、原告提出の「準備書面9」で裁判所に提出していますので、参照してください。

その後の裁判所前集会では参加者全員が本日の法廷は確実にJTを追いこんでいることを確認し、次の証人尋問も支援の輪を広げて成功させようとまとめられました。

私はこの裁判は大きな意味を持っていると思い、傍聴を続けています。今回は勝利の方向が見えてくるような、そんな口頭弁論だと感じました。

最上祥子(児童福祉士・元横浜市児童相談所ケースワーカー)

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