息子はエンプティワード(empty words)、父親はワンフレーズ(one phrase


「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だ」

これは進次郎の父親純一郎が首相だったときの言葉である。イラク自衛隊派遣の際の国会答弁である。


この言葉を正しいと評価する日本語使用者は一人もいないと、私は信じたい。正しいとするならば、自衛隊が戦闘地域に行けば、そこがどんなに激戦地域であっても、即、非戦闘地域になる。しかし、そんなことは100%ありえない。


日本社会は、特に権力者の発語にかぎってだが、こんな非論理的な言葉に大手を振らせ、発語者の馬鹿さ加減は大目に見る。世界の七不思議の一つである。


最近、セクシーという言葉で明らかになったのが、息子・進次郎の発語のエンプティさである。血は争えないもので、父親の発語と同じで発する言葉に意味がなく、非常に軽い。ただの3世(?)政治家だったときは、口から音さえ出せば、なにしろエンプティだから、響きだけはいい。意味がなく響きさえよければ、自民党広告塔の役目は果たせた。



では、環境相になってからはどうか? 日本社会では虚構的ルックスだけでちやほやされても世界では通用しない。頭に何もなくても、世界の舞台では何かしゃべらなければならないから、発語はますます的をはずれてエンプティになる。


たしかに、「セクシー」という言葉は「いけてる」とか「いまふう」という意味で用いられなくもない。言葉というものは人に使われていろいろの意味をもってくるから、温暖化や気候変動と戦うことは楽しく、かっこよく、そしてセクシーでなければならないというのも、百歩譲って良しとしても、「セクシーとはどういう意味か」と記者質問を受けたときの返事「説明すること自体がセクシーじゃない」がセクシーでなかった。


このインタビューを、Miss トウンベリーの言葉「How dare you ?」を借りて再現してみた。


記者:What does “sexy” mean?

進次郎:Explaining “sexy” itself isn’t sexy.

audience: How dare you say such empty words?   You have nothing in your empty brain.


言葉の本質は意味を持たないトーイ(toy/おもちゃ)ではなく、意味を持つ道具(tool/instrument/device)である。ときにトーイである必要はあるが、常にトーイであるときは、発語者の知が疑われる。