「なんとか持ちこたえている状況」って、何を持ちこたえているの?



小中高学校の全国一斉休校開始一週間後、その経過状況を国民に示さなければならないと考えたのか、「なんとか持ちこたえている状況」だという言葉が某政治家によって宣われた。



「パンデミックになる寸前でくいとめている」という意味であろうが、実際にはこの言葉は正しくない。この言葉が正しいかどうかは、公に示されている感染者の数値が正当な時期のPCR検査に基づいているかどうかにかかっているからである。正当な時期とは重症化して死ぬ間際あるいは死亡後ではない。


日本におけるPCR検査陽性の表出時は、重症化し、死ぬかどうか、あるいは死亡してからという傾向にある。したがって症状が出てから新型コロナ罹患者として数値にあがるまで10日近くかかっていることもある。重症化して動けなくなるまでの感染者は普通の暮らしをする。普通に働き、普通に遊び、普通に人と会い、普通に人と会話する。まさに、ウイルスにとっては増殖できる好機となる。たとえば、一人が数人に、数人が数十人に、こうやって、新型ウイルス属はネズミ算式に増えていく。しかもウイルス属は変異しながら無敵になっていく。



このやっかいなウイルス新属を撲滅できないまでも、大人しくさせるための手段は全国一斉休校なんかではない。まして、国民を縛る緊急事態法なんかではない。まず初期かつ広範のPCR検査の実施である。体内に入ったウイルスを、増殖させずに、殺さなければならないからだ。それなのに、今の日本のやりかたは、ウイルスに優しく人間には冷たい。まるで、日本人の身体をウイルスの餌食にしているようにしか見えない。



さて、

「なんとか持ちこたえている」と言うが、この言葉には主語も目的語もない。

誰が誰のために持ちこたえているのだろうか? 

そして、何を持ちこたえているのだろうか?

深読みしたら、怖いはなしである。

たとえば、政局は持ちこたえている、陽性判定の数値大量隠蔽はもちこたえている、利権保持はもちこたえている、等々かな。


なにはともあれ、パンクしたときはこう宣わればいいだけだ。

「あのときは、なんとか持ちこたえましたが、今はもう持ちこたえられない状況です」と、密かな笑みを隠しながら。