開催都市契約を再度読んでみた(2)
27日、IOCは世界各国の五輪選手等を対象に「国際アスリート・フォーラム」をオンラインで行ったらしい。そこにおいて、五輪選手に対して、「ウイルス感染しても主催者側の責任を問わない」とする誓約書に署名を求めたという。これに対する質問に答えて、IOCは「安全を保証できる政府や保健当局はない」と答えたという。
上記の言葉「安全を…当局はない」には、ほとんどの日本人は耳を疑うだろう。なぜなら、菅を筆頭にオリンピック組織委員が五輪を語る言葉の枕詞となっているのが「安心・安全の五輪」だからである。どちらが彼らの本音か、誰でも分かる。
では主催者側は、五輪選手がコロナに感染したとき、治療等何もしなくていいのか?
そうはいかない。賠償責任は問われないとしても、医療・保健サービスは無料で提供しなければならないと、開催都市契約24の(a)に明記されているからである。
(a) 保健サービス
開催都市、NOC,(国立オリンピック委員会)、およびOCOG(オリンピック組織委員会)は、開催都市および開催国の関係当局を通じて、本大会に関連する医療/保健サービスのあらゆる事項について責任を負うものとする。開催都市、NOC,、およびOCOGは、IOCから受けたすべての指示に従い、本国への送還を含む必要かつ適切な医療/保健サービスのすべての施策の確実な実施について責任を負う。医療サービスは、本大会のために開催国に滞在中発生したあらゆる症状について、IOCが指定する一部カテゴリーの資格認定を受けた人々(選手、チーム役員、その他のチームスタッフ、技術委員、メディア、放映権を持つ放送機関、オリンピックのスポンサー/サプライヤー/ライセンシーのほか、IOC、IF、各国の国内オリンピック委員会の代表および職員が含まれるが、これらには限定されない)に対し、無料で提供するものとする。以下省略。
赤文字が意味する対象は関係者の友人知人ファミリーであろう。それはそれとして、開催都市契約に則って、彼らがコロナに感染したとき、開催都市の東京都を筆頭に日本は無料で医療サービスを提供しなければならない。そこで疑問である。彼らに対する医療機関と医療スタッフの用意は万全なのか。そして、ボランティア等日本人スタッフへの医療サービスの提供は万全なのかということである。
万全であるわけがない。今でさえ、医療サービスを受けられず自宅療養で命を失っている日本人が多々いる
あのとき、こうすればよかった。
あのとき、こうしなければよかった。
そう気づいても、気づいたときは、もう遅い。
歴史的には、戦争、二つの原爆投下、原発事故、等々
身近なところでは、地震、津波、大雨浸水、がけ崩れ、そしてコロナウイルス
自分だけは大丈夫だと思っていた
自分には弾は当たらないと思っていた
自分だけは流されないと思っていた
あのとき、東京オリパラを中止しとけばよかった
と思うか。
それとも…、
あのとき、東京オリパラを中止しなくてよかった
と思うか。
もちろん、どちらもいる。後者は自分の命は重いが人の命は軽いと考える金の亡者。
金の亡者が命の重さに気づくのは自分や家族に弾があたったときだけだが、そのときはもう遅い。