世界の命を担保に東京オリパラを強行する為政者の責任



「ベニスの商人(シェイクスピア)」という、喜劇なのか悲劇なのか、戯曲がある。どちらにしても、登場人物が阿保なら悲劇は一変して喜劇になり、かつ喜劇も一変して悲劇になる。



ここで、「ベニスの商人」の登場人物と簡単なあらすじを述べる。

登場人物:バサーニオ・・・ポーニアに求婚したい男

    :ポーニア・・・富豪の娘

    :アントニオ・・・バサーニオの友人、ベニスの商人(貿易商)

    :シャイロック・・・ユダヤ人の金貸し

富豪の娘ポーニアと結婚したいバサーニオは友人アントニオに借金を頼む。貿易船が沈没して商売が傾いたアントニオは、シャイロックから自分の胸の肉一ポンドをかたに借金してバサーニオに渡す。期限がきても返済できないアントニオとシャイロックとの裁判が行われる。法学者に変装したポーニアは「肉は切りとってもいいが血は一滴も流してはならぬ」という裁きを下す、という展開である。



さて、誰も、どんな悪政をしても責任をとってこなかった日本の為政者だが、今回だけは違う。なにしろ人々の命がかかっている。東京オリパラ開催強行の結果次第では、裁きの場に立たされなければならない。裁きの場には東京オリパラ開催を反対する国民八割の陪審員がひかえている。



これら為政者とは東京オリパラを強行的に推し進める菅首相、丸川五輪相、小池東京都知事、JOCかつ橋本を筆頭におく組織委員会の各メンバーたちである。



シェイクスピアの戯曲「ベニスの商人」に出てくる有名なセリフ「肉を切り取ってもいいが血は流してはならぬ」であるが、このセリフを拝借して、「東京オリパラは開催してもいいが、9万人の選手及び関係者と五輪狂気に沸く日本人から一人として感染者を出してはならぬ」と私は言っておく。



この戯曲の底にはユダヤ主義と反ユダヤのキリスト教との反目もあるが、ここでは論じない。論じるべきは、公序良俗に反する契約内容自体の無効性である。人の胸の肉が借金のかたにできるわけがなく、そもそも契約そのものが無効なのだが、シェークスピアは契約は有効としたのである。有効だから肉は切り取っていいが、血は借金のかたになっていない。さて、シャイロックはどうする? アントニオを追い詰めるはずだったシャイロックは逆に、過去の悪事をふくめて追い詰められる側になるのである。

これが開催都市契約をはさんでのIOCと東京オリパラ開催の強行を企む為政者たちとの図である。図ではあるが、「ベニスの商人」と違うのは、かたにとられているのが、契約の両者ではなく、日本だけには納まらない世界の人々の命である。

人々の命を担保にして強行される東京オリパラ! 
やるのなら、IOCも日本の強行為政者も他者の血を流さずにやれ!
一滴でも他者の血を流させたら、シャイロックのように裁かれろ!
陪審員は八割の国民だ!