その5/mRNAワクチンで生じる個々の分子および臓器系への懸念(1)



ADE

ADE(抗体依存性増強)は1964年に初めて報告された免疫学的現象だったが、この現象について、どのように起こるのか説明できなかったので、20年近くも無視されてきたが、その後、ADEは次のように説明された。感染時にウイルスに対する特異抗体または交差反応性抗体のいずれかの中和しない低レベルの抗体が存在する場合におこりえる特殊なケースで、これら低レベルの抗体は、過去にウイルスにさらされたこと、関連するウイルスにさらされたこと、ウイルスに対するワクチン接種を受けたことによって存在する可能性がある再感染時に、ウイルスを中和するには不十分な数の抗体が、それでもウイルスに結合する。すると細胞表面のFc受容体(一部の免疫細胞の表面に発現する受容体で、ウイルス等の病原体に付着した抗体に結合して免疫細胞の活性化に関与する)にドッキングしてウイルスの細胞内への侵入を促進し感染力を高める。

ADEの関与の可能性として認められているのは、デング熱、エボラ出血熱、ジカウイルス感染症、フラビウイルス感染症がある。




*mRNAワクチンによるADE

*新型コロナウイルスに対するワクチンはどうか? ADE顕在化の可能性は否定できない。試験管内と生体内両方のモデルでテストされたワクチンでADEが観察されているからである。よって、mRNAワクチンでも同じ可能性がある。

*理論上では、非中和抗体(中和できない抗体)がウイルス抗原に付き免疫複合体を形成して炎症性サイトカイン(免疫系細胞から分泌されるタンパク質)の過剰分泌をひきおこす。極端なときはサイトカインストームにより局所的な組織損傷が広範囲に及ぶ。

*高齢者の場合、経験してきたコロナウイルスへの過去の曝露が多様であるため、SARS-CoV-2(今の新型コロナウイルス名)に曝露された際にADEを起こしやすくなる可能性がある。その証拠として、重度の新型コロナ感染症から回復した患者の76%の血漿を、SARS-CoV-2と感受性細胞の培養液に加えると、Raji細胞(造血細胞由来のヒト連続継代性細胞)へのSARS-CoV-2ウイルス感染能力が向上したという論文がある。

*米国のワクチンメーカー3社(モデルナ、ファイザー、ジョンソン&ジョンソン)はブースター注射の開発にとりくんでいる。現在、多くの若年成人や子どもでさえも、ワクチンによってコロナウイルスのスパイクタンパク質に対する抗体を持っているため、この若年層のあいだで、将来のSARS-CoV-2感染やブースター注射に関連したADEが引き起こされる可能性がある。

*mRNAワクチンは、最終的に抗原性の高いスパイクタンパク質を抗原提示細胞に届ける。そのため、スパイクタンパクに対するモノクローナル抗体(抗原にあるたくさんの目印のなかから一種類の目印を人工的にクローン増殖させたものとだけ結合する抗体)は、内因性のヒトタンパク質に対して高レベルの(ADEに寄与する)交差反応性抗体を産生することが判明している。それは急性または慢性の自己免疫および炎症状態として現れる可能性がある。

ADEによる疾患の発現と、真の非ADEウイルス感染とを区別することは不可能、よって、mRNAワクチンを接種した直後に疾患や死亡が発生した場合、十分な調査をしても、ワクチンが直接原因ではないと確定的に判断はできない。これを換言すれば、ワクチンが直接原因である可能性は否定できない。


つづく