その5/mRNAワクチンで生じる個々の分子および臓器への懸念(2)
*Pathogenic Priming (発病させる起爆剤/病原体の呼び水)
このPPは結果的にはADEと似ているが、根本的なメカニズムが違う。ここでは、mRNAワクチンが関連する病態をひきおこす可能的なユニーク・メカニズムをとりあげる。
論文(Lyons-Weiler 2020/4)
・・・SARS-CoV-2(新型コロナウイルス名)の長さに広がるスパイクタンパク質やその他の抗原性エピトープ(epitope/抗原性定基)にさらされた後に自己免疫性抗体が生成される可能性に関する論文が発表された。SARS-CoV-2タンパク質の抗原性エピトープのすべてとヒトの内因性タンパク質との相同性を比較したら、SARS-CoV-2タンパク質の抗原領域のある29個のうち、28個のタンパク質がヒトタンパク質(自己抗原と思われるもの)と相同性をもち、最も相同性が高かったのはスパイク(S)タンパク質とNS3タンパク質で、いずれも6個のヒトタンパク質と相同性があった。
・・・相同性とは塩基配列やアミノ酸の一致によって検出される二つまたはそれ以上の遺伝子間に見られる類縁性。
・・・ウイルスタンパク質と相同性のあるヒト内在タンパク質の機能解析をおこなったところ、3分の1以上のタンパク質が適応免疫系に関連していることがわかった。
・・・特に高齢者の重症化には、過去のウイルス曝露やワクチン接種によって、これら内因性タンパク質を標的とした抗体産生が開始されている可能性があると推測される。
論文(Ehrenfeldら2020)
・・・SARS-CoV-2によって生成されたスパイクタンパク質とオーバーラップするヒトのプロテオーム内のへプタペプチドの文字列を報告。それによると、ヒトとスパイクタンパク質に含まれる26個のへプタペプチドのオーバーラップが確認され、それら26個のうち2個は連続していることが判明した。つまり、ヒトの内在性タンパク質とスパイクタンパク質のあいだに共通して同一のペプチドが存在していることが明らかになったのである。
論文(Vojdani & Khaarrazin 2020/5)
・・・2003年のSARSスパイクタンパク質に対するマウスとウサギのモノクローナル抗体を用いて、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質だけではなく、いくつかの内因性ヒトタンパク質に対する反応性を調べた。その結果、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質だけではなく、さまざまな内因性タンパク質に対しても高い結合性があることが分かった。
・・・最も強い反応を示したのは、トランスグルタミーゼ3、トランスグルタミナーゼ2,ENA、ミエリン塩基性タンパク質(多発性硬化症)、ミトコンドリア、核抗原、α-ミオシン、甲状腺ベルオキシダーゼ、コラーゲン、クラウディン5+6、S100Bであった。
・・・SARS-CoV-2スパイクなどに高い結合親和性を持つ抗体は、tTG(セリアック病に関連)、TPO(橋本甲状腺炎)、ミエリン塩基性タンパク質(多発性硬化症)、およびいくつかの内因性タンパク質にも高い結合親和性がある。これらの自己免疫疾患は、病原体のプライミング(priming)にともなう自己免疫プロセスとは違い、症状があらわれるまで通常数年を要する。
・・・2021年、Vojdaniらはマウスやウサギのモノクローナル抗体ではなく、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対するヒトのモノクローナル抗体を使用して、抗体の交差反応性の問題を再度検討した。その結果、テストした55の抗原のうち18の抗原と反応した。この18種類の内因性抗原は、肝臓、ミトコンドリア、神経系、消化器系、膵臓などの組織との反応を網羅している。
Pathogenic Primingに関する総括
さて、これら論文の他に症例報告等多々書かれていますが、長くなると焦点がぼやけるので、このへんでpathogenic primingに関して総括します。
*SARS-CoV-2のスパイクタンパク質は、複数の内因性ヒトタンパク質と広範な配列相同性を有しており、自己炎症性疾患と自己免疫疾患の両方を発症させる方向に免疫系を誘導する可能性がある。
*Covid-19(SARS-CoV-2感染名)の後遺症として自己免疫はより広く認識されてきていて、いままで健康だった人が突発性血小板減少性紫斑病、ギランバレー症候群、自己免疫性溶血性貧血などの疾患を発症したという報告がある。くわえて、Covid-19患者に高レベルの自己抗体が存在することも指摘されてきている。
*mRNAワクチンを接種し、遺伝子組み換えスパイクタンパク質を身体に入れることの潜在的副反応の一つは、特に遺伝的に自己免疫の傾向がある個人は自己免疫疾患の合併をおこす可能性があります。
*Covid-19が陽性であっても、その多くは症状がない。Covid-19に鈍感な人は、おそらく非常に強い自然免疫系をもっていることになる。健康な粘膜バリアの好中球とマクロファージは、ウイルスをすみやかに排除し、多くの場合、適応システムによる抗体の産生を必要としない。自然免疫反応が強い人は、ほとんどの場合、無症状で感染するか、軽度のCovid-19疾患を呈するだけです。そんな人(特にこれから長く生きる若い人)には自然の粘膜バリアを越えて注射するmRNAワクチンは必要がないともいえます。かえって、抗体が過剰に産生された結果、慢性的な自己免疫疾患に陥る可能性があるからです。
しかし、軽度でも症状があったとき、自宅隔離で投薬もなしで放置されてはなりません。薬の処方が必要です。いまのところ、アビガン、イベルメクチンが有効とされていますが、残念なことに日本の医療行政は相変わらず最低です。しかし、医者に頼めば処方してもらえるのではないでしょうか。。最近では、長崎研究グループが発表した「5-アミノレブリン酸(5−ALA/ファイブ・アラ)」が新型コロナウイルスに対して強い感染抑制効果があると聞きます。「ファイブ・アラ」はサプリメントです。ヒトや動物、植物の細胞内でつくられ、緑黄野菜や甘酒、ワイン、日本酒、納豆などの発酵食品に多く含まれ、多くの人が日常的に摂取している自然由来の物質です。10年以上前から抗がん治療法やサプリメントなどの栄養補助食品として活用されてきたらしいです。試験管内における培養細胞で感染実験を行った結果、ファイブ・アラを一定量投与するとウイルスの増殖が抑制されるとも聞きます。仔細はネットで調べてください。サプリメントで摂取するのもいいでしょうが、食品から摂取できますので、良質食品を食べて自然免疫を高めてください。
最後に強く、自然免疫力の高い若い人に認識してほしいのは、無症状でも他者への感染力は高いということです。
つづき