菅発語「五輪は成功」の裏に隠れる真実を読む
米国留学中、大学を卒業する少し前である。9.11同時多発テロ事件が起きた。そのとき多くの米国人によびおこさせたのが旧日本軍によるパールハーバー(真珠湾)・アタックである。第二次世界大戦後もよその国に出かけては、正義という名目で、戦争をし続けていた米国ではあるが、米国本土が戦地になったことはない。だから米国人には、「米国は今戦争をしている」という認識はない。そんな彼らにとって、自国への襲撃はバールハーバー以来二度目というわけだった。某女性教師がパールハーバーを持ち出して、どう思うかと問いかけてきた。「あなたの国は二つの原爆を日本に墜とした」などと、つたない英語で反論するのは得策ではない。つまらない恨みをかって、グレイド(grade/成績)を落とされたらたまらない。その場を納めるためには、頷くしかなかった。
なぜ、ここでパールハーバー(真珠湾奇襲攻撃成功)を出したかと言うと、この成功は日本中の人間を「米国に勝った、勝った」と浮き立たせたと思うからだ。小国の日本が大国をうちまかしたというプロパガンダと同様に、今の「五輪は成功そして金メダル27個」は空虚な響きをもって日本人を浮き立たせる。
1937年からの日中戦争は、パールハーバー・アタックという愚行を臨界点として、イギリス・アメリカ宣戦布告、そして絶対負ける太平洋戦争へと突き進んだ。挙句、1945年8月、二つの原爆を落とされるまで愚行であることに気付かなかった。その結果の日本人死者は軍人軍属、民間、国外国内、合計でおよそ310万人。
パールハーバー奇襲は成功した。その結果、日本人310万人は死んだ。
五輪は成功した。その結果、日本はコロナ戦争有事体制に入った。
感染増と五輪とのあいだに因果関係がないわけないのだが、ウイルスに口なし、しかも隠蔽が仕事の行政人ゆえに、永久に因果関係なしで終わるかもしれないが、口なしのウイルスだが、人間とは違い嘘は言わない。人間の身体に入ってその存在を如実に示す。
国は国民の命を助けるか?
歴史をふりかえってみれば、助けたことは一度もない。
「00は成功」という言葉ほど、大衆をまやかす言葉はない。
まやかされないように、その次にくる真実を見究めたい。