終戦(敗戦)記念日にあたって思い出したクリスチャン10世



クリスチャン10世はナチスと戦わずして国民の命を護ったデンマークの王である。

加えて、デンマークの人々はデンマーク在住のほとんどのユダヤ人をスウェーデンに逃亡させている。


ナチス高官は秘密裏にユダヤ狩りの情報をデンマーク政府に流し、それをデンマーク政府はユダヤ・コミュニティの長に流したのである。この高官の墓には、ながい間、花がたえなかったという。



国土がナチスに占領されてからも、クリスチャン10世は毎朝、コペンハーゲンの街を通りから通りへと、一人で馬にのって、人々に挨拶してまわっていたという。


加えて、忘れてはならないのはレジスタンス運動に身を投じて殺された若ものたちの存在である。



私がこの事実を知ったのは、ロイス・ローリー(Lois Lowry)作の「Number The Stars」からである。日本の子どもたちにもこの本を読んでほしいからと、「日本語に翻訳させてほしい」と作者にメールしたところ、すでに日本語になった本が出ているという返事だった。日本語に翻訳して出版するには、それなりのシステムをふまなければならないのに、無謀なチャレンジだった。


ということで、日本語になった子供向けの本は出ているはずである。日本語本のタイトルは知らないが、ナチスはユダヤ人捕虜に星(スター)何番と印をつけたらしいことは分かっている。



ロイスは最後に次のように書いている。

I hope that this story of Denmark, and its people, will remind us all that such a world is possible.

私は願う。デンマークとデンマークの人々のこの物語は、このような世界は可能だということを私たちに(ずうっと、ずうっと)思い起こさせることを。


和訳の(ずうっと、ずうっと)は私の願いとして挿入した。

人間の人格に上下があろうはずがないが、あることを歴史は教えてくれている。人の命が第一と考える人格が上であり、考えないのが下である。今の日本はどうだろうか?