「今を生きる」第29回   大分合同新聞 平成17年7月4日(月)朝刊 文化欄掲載

 生老病死(1)
「私たちは人間として生まれて、今、ここに生きている」、このことは「当たり前」、言われなくても「当然のことだ」、と考えています。そしてそのことを踏まえた上で、いかに豊かな人生をおくるか、といろいろ考え、努力、実行しているのが私たちの人生であると見ることが出来ます。豊かな人生をおくるためにはどうすればいいか、2004年の暮れになされた、「幸福感を感じる為の条件について」の全国的な調査報告を見ますと、(1)心のかよう家族、(2)経済的余裕、(3)やり甲斐のある仕事、(4)余裕のある時間、(5)充実した趣味、(6)快適な住居、(7)社会的地位、の順になっています。豊かな人生、幸福を実現するためにはそれらのための条件を考えながら、病気でいるよりは健康の方がいい。体力のあるとないではある方がいい。能力のあるのとないのではある方が価値がある。経済的に豊かと貧しいでは豊かな方がいい。若くて元気なのと年を取って元気がなくなるのでは、若い方がいい。多くの人が認める豊かさへのプラス価値、マイナス価値を考え、プラス価値を上げて、マイナス価値を少なくすることが日々の生活での取り組みのように考えています。豊かさを追い求めながら、生きていくとするならば必ず、老い、病、そして死は免れないのです。しかし、老病死は出来るだけ見ないようにして明るい方を考えていくのです。そして若いということが尊重され、明るく、楽しいことを出来るだけ集めようと努めます。われわれは長生きしたといいながら、加齢(年を取ること)や老いる事を嫌うという矛盾を生きているのです。ところが、仏教では年を取ることが喜べる生き方を教えてくれているのです。

田畑正久(たばた まさひさ)
1949年、大分県宇佐市の生まれ。九大病院、国立中津病院を経て東国東広域病院へ、同院長を10年間勤め2004年の3月勇退。現在宇佐市の佐藤第二病院に医師として勤務、飯田女子短大客員教授として医療と仏教の協力関係構築に取り組んでいる。

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