こんな風に僕は喜んでいいものか、悪いものか、このような状況に巻き込まれた

もちろん、これまでの「日常ではない世界」での出来事に巻き込まれたときのほうが大変だったけど
こちらの状況も大変である

こういうラブコメの定番である「うすらうすらしか気づいていない」という状況を維持しつつ
3人の機嫌をとるのは大変だ

この状況を大変といっていると、
ただでさえ出番がないのに、出番があるとひどい仕打ちを受ける池に怒られそうな気がするので
これは心のうちに秘めておこう

やりにくい

その日の昼休みに、このような選択肢が発生した
「シャナのところへいく」
「吉田さんのところへいく」
「ヘカテーのところにいく」


どれを選んでも苦しい展開が待っているにちがいない

おとなしく、机につっぷして、寝ているしかなかった


さて、今日は、そんな風に悠二を見つめる、もう一人の少女、吉田一美の苦労のお話である



きっかけは突然ともいうが、彼女はあの一件以来、坂井悠二のことを好きになっていた
あの一件だけではないかもしれないが、少なくともあの事件は大きく起因していた

あの体育の時間のことである

いつか毎日坂井悠二を見ている間に想いは積もり積もって、大きなものになっていた


「シャナ、子供みたいなこというなよ」

ああ、今日も坂井くんは偶然ゆかりちゃんに会って、偶然話が弾んで
偶然一緒に歩いているみたい

そこまで来ると、偶然でもどっちでも状況は悪いのだが、どんどんと現実逃避を進める日々

「坂井くんだってきっと料理が得意な女の子が好きなんだもん」

坂井くんがいつもコンビニの弁当だということを知ってまず勝負をかけるつもり

ちなみにその日は目に炎が映るほどの本気でがんばったため、207人分の弁当をつくっていた

そのなかで一番できがいいもの(少なくとも素人目にみればどれも一緒だが)を選んで、
坂井くんに渡そうと考えた

さて、そのプレゼント作戦は成功したとかしないとか


それからも、坂井くんの発言に気をつけて、身だしなみを変えてみたり
(例えば、坂井くんが普段着のほうが好きといえば、
 学校だろうと普段着で行って、先生に怒られる。
 もちろんそんなこと気にしていない)

坂井くん特製の「坊主の歌」を聞いたら、髪形を坊主にしてみたり


ここまでは恋する女の子そのもの(?)だったのだが、
ついに彼女の恋は変貌した


最初に言っておこう。この話は、かなりのフィクションであり、
実際の「灼眼のシャナ」とはまったく関係ない



彼女は夢を見た
【吉田さん、今度一緒に映画行かない?】


「坂井くんから誘ってもらえるなんていい夢見ちゃった☆」

思い立ったが吉日ということで、その日、映画のチケットを買いに行った

ちなみにその日は学校だったのでもちろん遅刻

ちょうど教室に入ったときに、坂井くんの制服があったので、
それを少し来て優越感にひたる

「ゆかりちゃんにだけは負けない」

30秒だけぽわーっと幸せに浸ったあと、そのポケットに映画のチケットを2枚入れる

「これで坂井くん映画に誘ってくれるかな」


体育から帰って来た坂井くんはいきなり入っていた映画のチケットにびっくりしていた

「そうだよね・・・、いきなり誰のからかわからないプレゼントはびっくりしちゃうよね」

もちろん、悠二は驚いていたというより、ここ数日の現象に恐怖していたのだが
彼女は「もう一人の敵」に気づいていただろうか

まあ、そんなことお構いなしに

「そうだ、坂井くんにちょっとだけヒントをあげよう」

『いつも、あなたをみています』

よしできた

きっとこれで、

【吉田さん、この映画のチケットくれたの君だったんだね
 僕と行きたいと思ってくれるなんて。
 吉田さん、こっちへおいで。いつもより近くから見てみると
 本当にキレイだ。
 君のことを食べちゃってもいいかい?】


「キャー、坂井くん、そんな・・・」

一人で妄想して、一人で顔を真っ赤にしている吉田一美は、さっそく下駄箱に手紙をいれた


その日の夜

【吉田さん、僕のためにこんな・・・看病してくれてありがとう
 これは、吉田さんへのお礼だよ】

そうしてキスする悠二、そこで目を覚ます。


「またいい夢見ちゃった。こんどは坂井くんを看病しよう」


彼女は、愛の看病大作戦 というタイトルで
致死量にならない程度の毒を調合した

そして、坂井くんの机の隣に引っかかっていたコンビニのお弁当に
調合した毒を混ぜる


ちなみに、その毒は
「坂井ーごめんな。今日はちょうど荷物がいっぱいで
 ひっかけるところがなくて」

「これね。授業中にも邪魔にならなかったし、大丈夫だったよ」


ってことは・・これ池君のお弁当?


「そうそう、坂井は今日弁当ないのか?」

「うん、ギリギリで買う暇がなかったんだ」

「そうか、じゃあ少しあげようか」

「悠二の食べるものがなかったのは私の責任
 だから悠二にこれあげる。」

シャナのテーブルの上にはメロンパンが山積みされている

その数個をシャナは悠二に渡した

「ありがとう、シャナ」

「どう、おいしい?」

「うん、おいしいよ」


「・・・ゆかりちゃんがあげたメロンパンを坂井くんが喜んで食べているのは
 偶然だよね」


その後池はそのまま気絶し、保健室へ連れて行かれた

もちろん吉田一美は看病・・・・・していない・・・・



体育祭がおわり、吉田一美はゆかりちゃんより70歩ぐらいリードした気でいた

だって、ゆかりちゃんと坂井くんのイベントは全部偶然だから
ポイント稼げてないもん という、現実逃避である


そんな時転校生がやってきた

「石川ヘカテー」という、帰国子女的な名前の人

その人は、転校してくるなり顔を赤らめながら坂井くんに一言話していた


偶然だよね、坂井くんは私のことが大好きなんだもん

そう、坂井くん、すごい優しいから、昨日か一昨日、困っていたあの人を助けて
そのお礼だよね


坂井くんを見つめてみる

坂井くんはきょろきょろしてなんだか落ち着きがない

うん、きっと、後ろにいる私を見るために、わざときょろきょろしているんだ

ゆかりちゃんには負けてない



3人の恋戦士がそろった瞬間だった

―――あとがき―――

あらかじめ言っておきます
恋戦士といっても3人娘隊みたいなことはしませんので
そもそもシャナは日常以外では戦っているし、ヘカテーも、もとは・・・ね


まあこんな風にちょっと強気の吉田一美を書いてみたわけですが
吉田一美からぽわーっとしたところをとると、なんとなく自意識過剰の部分が強くなる気が・・・
あ、こう感じるのは俺だけなのか?

何もない日常で〜ストーキング編〜のもう一人とは吉田一美のことでした
まあ、わかっていた人のほうが多かったでしょうけど、あらためてその経緯を書いてみたわけですが
最初に「灼眼のシャナ」とはまったく関係が・・・といっても吉田一美ファンを敵に回しそうなSSでした
これからのストーリーはきっとシャナ優勢の恋物語になるでしょうね
管理人自体がそれを望んでいますから

作るもの=神 という考えは確かにありますね
ハルヒではないですが、気に入らなければ作り直す
改めて意識すると、すごいことですね
作る人の特権として自分の好きなようにストーリーが作れるというものがあります
まあそれが二次創作というものの魅力なんでしょうけどね

私が書くシリーズものSSの3分の2程度は、行き当たりばったりのストーリーですから、
今現在、このシャナのSSがどうなるか決まっていません

まあ、そんな風に書いているといろいろ書き直しが楽にできるのでいいですね
さて、次は3人娘隊のSS,その次は最萌トーナメントのSSと、書いていくか



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