遙なるページ#7



7回目は、ドキュメンタリー風な文章を書きたいと思います(かなりネタバレ)



これは、孝之がおじいさんになった後、子供達に若いころのことを話すという設定です
ちなみに、孝之は遙と結ばれたという設定になっていて、そのころでも遙のことを「遙」と呼んでます

(なお、ネタバレが非常に含まれますので、遙シナリオをクリアした人、または覚悟ができている方のみどうぞ)
私から少しはなしをするとしよう。
私が高3だったころ、今の奥さんの遙と付き合ってたんだ。
彼女は絵本が昔から大好きで、神秘的な夢を見るような人だったんだ。
もちろん、今も変わらないけどね。
そしてね、なによりもこの私が「恋愛はすばらしい」と思ったぐらいだからね。
私はあのころは恋愛とかそんなに興味はなくて・・・
いや、興味はあったのかもしれないけど、行動には移せないような人だった。
彼女のほうから告白してきて、付き合うことにしたんだ。
でも、そのころわし自身、遙のことがそんなに好きじゃなくて、
わけわからずに「うん」と返事しちゃったんだ。
でも、その日々があってこそ今があるんだと遙はいつも言ってくれるけどね。
そのときは幸せだった
自分自身壊れてしまうぐらい遙のことが愛しくて
遙と一緒にいることが当たり前で、それがとても嬉しかった
そう、あのときまではすごく幸せだったんだ・・・
(子供:あの時って?)
忘れられない8月27日
全ての時間が止まったんだ
あの日、わしと遙は、絵本作家展に行く約束をしていたんだ・・・
そのときね、わしは遅刻してしまったんだ
ちょうどあのとき、遙がほしがっていたものを見つけて
それと、ほら、いつも遊んでくれる水月おばさんとか、平のおじちゃんとかと一緒にとった4人の記念写真
この前見せただろ
あれを持っていたから、ちょっとは許してくれるだろうと思ってたんだ
でも、遅れたせいで取り返しがつかないことになっちゃった



(子供:どうしたの?)
いや、今でも思い出しただけで胸が痛くなるんだ・・・
話を止めちゃってごめんよ・・・
(子供:おじさん、泣いてるの?) ああ、悲しい時には泣きなさい
本当に悲しい時には泣いてもいいんだから
(子供:それで、どうしちゃったの?)
遙が、車にぶつかられたんだ
(子供:・・・?)
そして、遙はね、3年間ぐらいずっと眠っていたんだよ
時には気持ちよさそうに寝ているときもあったし、ずっと眠っていたんだ
そのとき、一度だけわしは遙を裏切ってしまった
わしは、遙はまだ生きているのに起きないから、水月おばさんといつも一緒にいたんだ
もうちょっと遙が目を覚ますのが遅かったら結婚していたかもしれない
遙には悪いけど、そのときはそんな感じになっていたんだ
もう、遙のことが大好きだったことが嘘だったみたいだったんだよ
ほとんどはるかのことは覚えていなかった
でも、遙が目を覚ました時に頭の中が爆発するような感じがして
(子供:爆発しちゃうの?)
ああ、脳みそなんかがボーンってなっちゃうぐらいにね
そして、真っ先に「遙」って言ったんだ
それからね、遙はずっと入院してたんだよ
ずっとずっと、裏切り続けてた
私は最低な人間だった
でも、いろいろしていくうちにわかったんだ
誰が一番大切か?
(子供:毎日行ってあげたの?)



(子供:おじちゃん?)
ああ、ごめん、ちょっと思い出しちゃってね
(子供:泣かせちゃってごめんなさい)
いいんだ
毎日は行ってあげられなかった
いろいろつらくてね・・・
よし、話はもう終わり
続きは次回聞かせてあげるよ
今度は今までのこともっと詳しく教えてあげるから
(子供:おじちゃんありがとう)
ああ


2月14日



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