〜交通事故によって3年間目を覚まさなかった涼宮遙(遙)が急に目を覚まし、 それからお見舞いに行っていた。 涼宮茜(茜ちゃん・遙の妹)と鳴海孝之(鳴海さん)の作戦(バラの花を贈る)をしようと思ったのだが、 その日に孝之は高熱を出してしまっていた。 それでも無理をして病院にいったのが裏目に出て、 ちょっとのミスから遙に急に時間の流れを知らせてしまう。 ショックが大きかったみたいで、遙はふたたび倒れ、 眠りに落ちてしまい、目を覚まさない。 遙はICUに運ばれている。 ICUは家族以外は入れないため、 孝之は入れない。 結局今日もお見舞いに来たのだが、遙に会うことすら出来ず、 そのまま帰ろうとしたとき、茜ちゃんに会ってしまう。 茜ちゃんに遙の状況を聞いたのだが、「良くなっているとはいえない」という。〜 「そうか」 まだ、何も変わらないか。 ベッドの上で眠っていた、昨日の遙が頭に浮かんだ。 「少しずつ悪くなってるかもしれないって・・言われました。」 「えっ!?」 「1私も詳しくは分かりません。でもそういう話でした。」 「そんな・・・」 神頼み・・・そんな香月先生の言葉が思い出される」 「また、姉さんにしてあげられることが・・なくなりました」 「う・・・」 「また逆戻りです・・・ううん、それよりも悪くなってるかもしれない」 消え入りそうな声で、うつむきながら、茜ちゃんはつぶやいた。 (イ)、俺に向けられた言葉かどうかすらわからない。 (ロ)独り言のようにも聞こえた。 「・・・」 「姉さん・・・もう・・・」 そう思ったときには、茜ちゃんは鼻をぐずぐずし始めて、そして、一瞬のうちに涙声になっていた。 「・・・すまない」 頭ではかける言葉が見付かっていなかった。 (ハ)、口からはそんな言葉がAモレル。本心じゃない・・というわけじゃないけど、それはB慰めに近かった。【1】 「私にも責任はあります」 「え・・・?」 2思いもよらない言葉。それは茜ちゃんなりの慰めの言葉? でも、それは余りにつぶやきに近くて、気持ちまでは読み取れなかった。 「私が花なんか予約しなければ・・・鳴海さんが無理することもなかった」 「そ、それは違うっ!」 「私には、鳴海さんを責める資格なんてないです。」 肩を落として、茜ちゃんが立ち去ろうとする。 「待ってくれ!」 その前に回りこんだ 「・・・」 空ろな目で、俺をじっと見ている茜ちゃん。 まさか・・・本気でそんな風に思ってるんじゃないだろうな【2】 「そんなことないぞ!俺と遙のためにやってくれたんじゃないか」 「裏目に出たらしょうがありません」 「それは俺がバカだったから・・・だ、大体、それは俺が茜ちゃんに頼んだことだろ」 「でも・・・」 「茜ちゃんは悪くない!!」 なんて・・・不毛な言い合いなんだ。 3それを突き詰めてどうする?それで遙は目を覚ますのか? ・・・覚まさない。 何の意味もない。【3】 「・・やめよう」 「え?」 「責任を感じあって自分を追い込むことに意味はない。それで遙が良くなるわけじゃない」 「・・・」 「その時間を使って、俺たちに出来ることをするべきだ」 香月先生の言葉が頭をよぎる。【4】 「できること?」 「・・・祈ること」 「・・・」 茜ちゃんがCロコツにD怪訝そうな顔をした 責任を感じるのはやめようなんて、調子のいいこといって、出来ることといえば祈ることだって・・・。 無理もない。【5】 「悔しいけど・・・それしか前向きな方法は思いつかない」 「それはそう・・・」 「でも茜ちゃんはただ祈るほかにも、あと少しだけ出来ることがあるぞ」 「遙のE傍で・・・声をかけてあげてほしい。手を握ってあげてほしい。今の俺にはそれすら出来ないから」 「・・・」 「自分が悲しみにつぶされそうに成った時、それで自分も救われる。」 「俺は・・・俺は・・・そうやって3年前祈ってた」 「!?」 「祈るほうだって、それがいったい何の意味があるのか・・・って、どうしても意味を考えてしまう。 無意味さを知ってしまう」 「・・・」 「(ニ)、そうやって自分も救っていかなくちゃ・・・祈り続けられない」 これ、俺が言う言葉じゃ・・・本当はないんだけどな 「結局俺は、全てに負けてしまったけど・・・でも、それでもそうなんだ」 「鳴海・・・さん」 「初めから負けると思っちゃダメなんだ。遙より先に負けちゃダメなんだ だから・・・自分も元気付けてやらないと」 「・・・」 「俺が、遙に声をかけてやれないのも、手を握ってやれないのも、全部自分のせいだから仕方ない」 「・・・」 「自分を元気付ける方法は・・・自分で考えるよ。だから茜ちゃんは4・・・」 「・・・鳴海さん」 「頼む」 俺はそれだけ言うと、茜ちゃんに背を向けて・・・遙に背を向けた。 【(c)アージュ 君が望む永遠 より】
(1)A〜Eの、漢字はひらがなに カタカナは漢字に直しなさい。
なお、Dはそのことばの意味も書きなさい。
(2)イ〜ニにあてはまる言葉を以下の解答群から選びなさい。なお、同じ語句を二度使ってはいけない。
ア けど イ それから ウ それは エ だから オ まるで カ きっと
(3)この文章の中では、以下の文章が抜けている部分がある。
その場所を【1】〜【5】の中から選びなさい。
「俺たちは医者じゃない。 だから、俺たちのする何にも、遙が目を覚ますための助けにならない。 でも・・・何をしても意味ないって言ったって・・・ こんな言い争いは一番悲しいだろう。」(4)下線部1で、この言葉を発した茜の気持ちはどのようなものだったと考えられるか。
「〜のような気持ち」という形で繋がるように20字以内で答えよ。
(5)下線部2で、思いもよらないとあるが、それはどういうことか?
次の解答群の中から選びなさい。
ア 泣き崩れて、何もしゃべれないと思ったから
イ きつい言葉で責められると思ったから
ウ 何もしゃべらないで、そのまま帰ってしまうと思ったから
エ 俺の話なんて聞いてくれていないかと思ったから
(6)下線部3が指すものを10字以内で答えよ。
(7)下線部4の「・・・」の部分に入ると思われる言葉を、本文中から15字で抜き出せ。
なお、「・・・」などの言葉や「、」「。」は文字に含めない。
(8)この部分の文章にタイトルをつけるとしたら、どのようなものがいいか?
もし、以下のようなタイトルにするとしたら、( )に何を入れればいいか答えよ。
「( )という言葉」
なお、( )内は漢字2字で、本文中から抜き出すこと。
1.
「A」 漏れる
「B」 なぐさめ
「C」 露骨
「D」 けげん
「E」 そば
なお、Dの意味は、「そんなこと本当にあるのかと不思議がる」ことです。
2.
「イ」 ウ
「ロ」 オ
「ハ」 ア
「ニ」 エ
3.
【3】
4.
「姉に何もしてあげられないことへの悲しみ」の気持ち
5.
イ
6.
誰が悪いかということ
7.
遙の傍で声をかけてあげてほしい
8.
責任