遙なるページ#45




第45回は、数学学習〜ナルミタカユキヲゴウカクサセヨ!〜



さて、今回のコーナーは、鳴海孝之を白陵大に合格させようというプロジェクトから、
遙が孝之に勉強を教えるという話になります。


〜8月13日〜

この日も遙のうちに来ていた

最近孝之が勉強を頑張るようになり、苦手はドンドン減ってきている

しかし、まだ苦手なところもあるようだ

そう、個数と処理・確率 といった分野である

これらは、高校1年生〜2年生の範囲(※1)である

入試になると、学年など関係無しに出題されるので、この苦手は取っておきたいところだ

というわけで、遙と茜は孝之に勉強を教えるのであった

※1 ちょっと前の学習要領であるため現在とは異なる可能性もあります

遙「孝之くん、大丈夫・・・?」

この心配はどういう意味だろうか?

1.「頭、大丈夫・・・?」
2.「もう、解ける・・?」
3.「疲れてない・・・?」

これら3種類の意味が考えられる

まあ、1であって欲しくないのだが・・・

2時間かけて確率や個数の処理の勉強をしているのだが、全くわからない

いつも遙に教わってばっかりだったので、今日は自分の力だけでやる!なんて宣言してしまったが
いま力尽きて、この有様である

やっぱり・・・遙に教えてもらわないと無理なのか・・・

いや、そんなことはない!

きっと・・・そんなことはないはず・・・たぶん

遙の方を見ると、「何か教えたくてしょうがない」といったオーラが出ている

これは頼まないと罪かもしれない

自分のふがいなさに対するいいわけかもしれないが、この際そんなことは無視して、遙に頼もうじゃないか!


「遙・・・」

遙「あっ、うん、孝之くん!じゃあ私が頑張って教えちゃうよ☆」

今日はいつも以上に気合が入っているみたいだ

遙は背中の辺りに隠していた(といってもばればれだったが)変な棒を取り出した

そして、その棒をくるくる回して、
遙「はるか先生に変身だよー☆」といってジャンプ!

もちろん、何も変わらないが・・・

まあ、遙がやるとなんか可愛さがあるので、許そう

よしっ、じゃあ、「遙せんせー☆教えてください!」


【個数と処理】

T−集合


遙「これはね、図とか記号とかつかって書くんだよ
  たとえばね、Aという集まりと、Bという集まりがあったとします。
  たとえば、私の家族をAグループ、白陵生をBグループとするね
  そうすると、お父さんやお母さんはAグループ、孝之くんや水月はBグループにはいるよ
  じゃあ、私はどうなると思う?」

孝之「AグループにもBグループにも入るね」

遙「うん、そういう場合を共通って言うの
  共通の部分をさす場合には、A∩Bって書くんだよ☆」




遙「それと、Aグループ・Bグループのどちらかにでも属している人、という指定をするなら
  A∪Bってやるんだよ☆」

遙「孝之くんもA∩Bのところに入ってきてね☆(照)」



U−ベン図


遙「さっき出てきた図をベン図っていうんだけど、この図を使えば
  集合の問題が推理パズルのように解けちゃうこともあるんだよ☆」


遙「じゃあ、このテキストにある問題を解いてみて☆」


クラスの生徒36人に2つの試験を課した。
試験Aに合格した人は19人・Bに合格した人は21人
そして両方の試験に合格した人は10人である
次のような生徒はどれぐらいいるか?
1.試験Aに不合格になった生徒
2.1・2ともに不合格になった生徒
3.試験に片方でも合格した生徒

遙「解けるかな?☆」

遙「うん☆1は正解だよ☆」

遙「全体の中で不合格か合格のどちらからだから、36−19(Aに合格した人)=17人」

それとね、2番だけど、こっちもベン図を書けばできるよ☆

遙「まず、両方が合格した人が10人だから・・・」



遙「それで、Aに合格した人は19人だから・・・Aだけに合格した人は19−10で9人
  Bだけに合格した人は21−10=11人」




遙「全員で36人だから、36−10−9−11=6人☆」


遙「じゃあ3番だよ☆
  これも、図を見ればわかるんだけど、これだけを解くときには図を書くのが面倒なときもあるから
  これを覚えておいて☆
 【 A + B − A∩B = A∪B】」


孝之「どういうこと?」

遙「A∪Bの意味はわかるよね?
  【どちらかもしくは両方に属している人】
  それを、この公式で求めることができるんだよ☆
  ベン図を使ってみればわかると思うけど、AとBを足すと、共通の部分は2回足されてるよね?
  だから、2回足されてる部分を、1回にするために共通部分を1回分引くんだよ☆」

孝之「あっ、そっか!
   というと、この問題は、19+21−10=30☆
   ほんとだ、ベン図を使ってみたときと一緒!」

遙「それと、この記号も覚えておいて【
  これはね、「Aじゃない」って言うことなの☆(※2)
  これを使った公式で、いろいろなものがあるんだけど、覚えられるかな
  ド・モルガンの法則っていって、この「Aじゃない」を使うと、
  次のような公式が使えるんだよ☆
  使うときはそんなにないけど、覚えておいて☆
  【
   

※2 正しくは補集合といいます

V−場合の数

遙「これはね、考えられるものを重複なく、また忘れることもなく数えたものだよ☆
  といっても、それだけの説明じゃわからないと思うから問題をやっていこう
  たとえばね、10円玉と50円玉だけつかって100円のものを買うときには
  どんな払い方があるかな?」

孝之「えっと・・・50円玉2枚・・・かな?」

遙「うん!あとは、50円玉1枚10円玉5枚・50円玉0枚10円玉10枚ってのがあるよ」

孝之「あっそっか!」

遙「だから、この払い方は3通りの払い方があるんだよ☆
  こんな風に簡単な問題は数えていけばいいけど、そんなに問題は簡単じゃないから
  解き方を学んでいくの☆」


1−和集合

遙「このテキストに書いてあることを見ると、
  【A・Bが同時に起こらないとすると、A・Bどちらかが起こるという確率】だよ☆」
  たとえば、10球あるうち3球が白球・2球が赤球・5球が青球とすると、
  白球か赤球を引くというのは、3+2=5通りだよ☆
  こんなふうに足すのを和の法則って言うの」

2−積の法則

遙「これは、【それぞれについて、Aの場合の数とBの場合の数が合ったとき、
  それらが同時に起こるのは≪Aの場合×Bの場合の数≫通りになるんだよ】
  言葉で説明してもわからないと思うかsら
  さいころ大小が合って、大のさいころが5以上、小のさいころが3以下の目を出す
  これはね、まず、分けて考えて大のさいころは2通り
  小のさいころは3通り
  同時に起こる場合だから、2×3=6通り
  だから、大(5以上)と小(3以下)になるのは6通りなんだよ☆」


3−木(Tree)

遙「あまりお勧めはしないけど、このように全とおり書いてやる方法もあるよ☆
  ただ、いっぱいになってくると面倒になるから
  要素が少ない問題のときだけにしてね☆」

(例・ABCの並べ替え)



遙「一番後ろにあるのは6つだから、6通り☆
  でも、1000通りとかそんな問題もやったら、孝之くん疲れちゃうよ↓
  そしたら孝之くんと遊べなくなっちゃう・・・

孝之「遙、最後なんか言ったか?」

遙「あ!う・・うん!なんでもないよ!(焦)」



4−順列

茜「お兄ちゃん!あそぼー☆」

孝之「茜ちゃん、今は勉強中なんだ、じゃあ、終わってからだ」

茜「つまんないのー↓」

孝之「ほんと・・・今日は水泳の練習じゃないのか?」

茜「あっ、うん、今日は先生が学校にこれないからって休みなんだって・・・」

遙「あっ、茜!その手に持ってるトランプ貸して」

茜「え、いいけど、どうするの?
  お兄ちゃんと遊ぶの?」

遙「ううん、ちょっとお勉強に使うから☆」

茜「なんか、よくわかんないけど、はい、じゃあ貸してあげる」

遙「ありがと!」

孝之「これ、どうするんだ?」

遙「うん、これを使えば数学の問題で例ができるから
  ほら、このテキストにもそんな問題あるでしょ☆」

孝之「あっ、ほんとだ」


遙「じゃあ、このトランプを出すね。
  1・2・3・4・5のカードを出しました☆
  これの並べ方は何通りありますか?」

孝之「えっと・・・これは、さっきの木を使ったほうがやりやすいかな
   よしっ・・・」



孝之「げっ・・・すごい面倒だ・・・
   根気でやるしかないのか!」

遙「もう・・・すんごい面倒だからやめたほうがいいよ・・・
  孝之くんと遊べなくなっちゃう・・・

孝之「遙、また最後のほうに小さい声でなにかいってたような・・・」

遙「あっ、うん!本当になんでもないの!(焦)」

孝之「こういう場合どうすればいいんだ?」


遙「うん、たくさんの方法があるから、全部の解き方教えるね☆
  まずは、さっきやった積の法則を使う方法
  ぐるぐるってまぜて、1枚目に来る可能性があるカードは何枚?」

孝之「ぐるぐるって・・・?まあいいや。5枚か?」

遙「うん☆じゃあ、2枚目は?」

孝之「これも、5枚じゃないのか?」

遙「えっとね、1枚目でもう1枚使ってるから、4枚しかこないの
  じゃあ、3枚目は?」

孝之「3枚、で、4枚目は2枚、そして5枚目は残り1枚ってとこか☆」

遙「うん、すごい☆孝之くんはやっぱり理解するの早いね☆
  別々のことが、同時に起こる場合だから・・・
  積の法則をつかって・・・」

孝之「5×4×3×2×1 で・・・120かな」

遙「うん☆」

孝之「簡単だな!で・・・ほかの方法は?」

遙「えっと・・・式は一緒になるんだけど、考え方がちょっと違うの
  □枚を並べるって時には「□!(階乗)」ってのを使えるんだよ
  階乗って言うのは、□から1までの数を全部かけたもの」

孝之「つまり、これは5枚だから5!で、5×4×3×2×1ってことか」

遙「うん、そうだよ☆」

孝之「これも簡単だな」

遙「それは孝之くんが頭いいからだよ☆」

孝之「いや、遙の教え方がいいからかな☆」

遙「孝之くん・・・(照)」

孝之「遙・・・(照)」

(5分間勉強停止・・・)

遙「あとはね、これはいつでもつかえるものなんだけど
  Pっていう記号を使うものがあるんだよ☆
  とか、そんな風に使うんだけど
  使い方を教えるね
  □枚中、○枚選んでならべるって時に
 って書くんだよ☆
  それで、計算の仕方は□から1つずつ減らしていって○この数字をかけるの
  だから、は、4から2つの数字
  4×3をやるんだよ☆」

孝之「そっか!というと、つまり」

遙「うん、今回の式だと、で、5から5つの数字だから
  5×4×3×2×1
  並べるっていう問題の時には、これを使うときが一番多くなると思うよ☆
  じゃあ、この1・2・3・4・5のカードを3枚選んで並べるってのは何通りか
  やってみて☆」

孝之「よしっ、5枚から3枚選んで並べるだから・・・
   だから、5から3つの数字で・・・5×4×3 だから・・・60通り」

遙「うん、正解だよ、孝之くん☆」



5−組み合わせ

遙「じゃあ今度は組み合わせのところ教えてあげるね
  さっきは、[並べる]って言う条件があったけど、今度は選ぶんだよ☆
  何が違うって言うと・・・順列だと123と321が違うものだったのが
  組み合わせだと123も321も132も・・・ぜーんぶ一緒なんだよ」

孝之「そういう場合はどうするんだ?」

遙「今度は・・・Cっていう記号を使うの☆
  とか、Pのときと同じようにPをCに変えただけだよ
  □枚から○まい選ぶときにはって書くんだよ☆」

孝之「こっちの計算方法は、どう違うんだ?」

遙「普通に説明すると、

  こんな感じになるんだけど・・・覚えにくいかもしれないから
  1回だけ解いてみたほうがいいとおもう
  たとえば、解ける?」

孝之「えっと・・・この式に代入すると?」

   だから・・・10通りだな」

遙「うん!そうだよ☆
  それでね、もう気づいたかな?
  分母のほうは、1からの数字で2個
  分子のほうは、5からの数字で2個
  だから、同じ個数になるんだよ☆」

孝之「そうか!この法則を覚えていれば、あの公式を覚える必要がないんだ!」

遙「うん☆」

孝之「すごい簡単だ☆これは遙せんせいの教えるのがうまいからだ☆」

遙「孝之くん☆(照)」

孝之「遙・・・(照)」

(5分間勉強停止[2度目])

遙「じゃあ、この問題とけるかな?」

孝之「よしっ、じゃあ解いてみるか・・・
   遙せんせいのために☆
   えっと・・・10099か・・・


   よしっ、やっとおわったぞ・・・(疲)
   こりゃ・・・掛け算も面倒そうだ・・・」

遙「約分してみて☆」

孝之「えっと・・・あれ・・・?全部消えていく・・・」

遙「うん・・・最後は100しか残らなかったでしょ?」

孝之「100通り・・」

遙「うん☆」

孝之「えっと・・・どういうことでしょうか?遙せんせい?」

遙「Cの計算の場合ね、後ろの数を次の法則で変えても同じになるの
  10099だから、100−99で1だよね
  だから、100と同じになるの☆
  は6−4=2だからと同じ
孝之「つまり、100C1をやれば・・・100か・・・」

遙「そうだよ☆」

孝之「(疲)」

遙「あっ・・・ごめん・・・最初に教えなくて・・・(泣)」

孝之「いや・・・俺が自爆しただけだから
   ほら、遙せんせいは悪くない!」

遙「うん・・・」

(そして孝之が遙を安心させるために・・・5分中断・・・)

孝之「というわけで、組み合わせは終わったわけだけど・・・
   組み合わせは□の中から○選ぶって時に使えるんだね☆」

遙「うん!そうだよ☆
  孝之くん、ずっと私と一緒にいてね(甘え)」

孝之「・・・?いきなりどうしたんだ?」

遙「あっ、うん・・・
  ずっと私だけの孝之くんでいて欲しいなって(甘え)
  3人の中の1人とかにしないでね(泣き&甘え)」

孝之「わかってるって!遙も俺だけの遙でいて欲しいな(照)」

遙「うん(照)」

孝之「遙・・・(甘え)」

遙「孝之くん(超甘え)」

茜「お茶持ってきたよー☆
  って、あーっ!やっぱり勉強やってないじゃん!」

遙「えっ!あっ!あかね!」

孝之「茜ちゃん!」

茜「ずぅーっと、勉強してるみたいだから差し入れにお茶とお菓子持ってきたら
  なーんかいい感じになってるみたいだったね☆
  私はおじゃまだったかな(ニヤリ)」

遙「あ、あかね!」

茜「もしかしてー!」

茜ちゃんは、俺の耳元で
「トランプで勝ったほうが負けたほうに1回命令していいなんてルールで
  やってたとか?
  お兄ちゃん、お姉ちゃんがこまるような命令ばかりして・・・」

孝之「あのなぁ・・・茜ちゃんの中で俺はどういうキャラなんだ」

茜「そういうキャラ☆」

孝之「・・・」

遙「だから、これはお勉強に使ってたの!」

茜「大人のお勉強?」

遙「いいかげんにしなさい!」

遙父「ただいまー、っと、二階が騒がしいようだな
   っと、鳴海君が来ているのか。
   鳴海くん!将来お父さんとなる人が帰ってきたぞ!」

孝之「って、お父さん!途中参戦でからかわないでください!」

茜「あははは、お兄ちゃんみんなにからかわれてる☆」

こうしてこの日の勉強はおしまいとなった
残った部分と確率に関しては、また今度勉強することになった
ちなみに、その後は食事をまたご馳走になり、家族を含めてトランプをやった・・・



最終更新日 2月13日