(設定=孝之は遙の告白を断った後、誰とも付き合わずにこの日を迎えた
 そこまでに茜は孝之のことを鳴海さん
 孝之は茜のことを茜ちゃんと呼ぶようになっている)


〜4月1日〜


俺の隣には茜という涼宮さんの妹がいる

そこまでのいきさつはというと、

速瀬の実業団入り祝いをするために速瀬と涼宮さんと待ち合わせをした
   ↓
そこには速瀬にあこがれる茜ちゃんも同行
   ↓
なぜか、涼宮さんの買い物があるということで、速瀬と涼宮さんはいきなり寄り道
   ↓
そして残された俺は子守りをする

そんな感じだ

茜ちゃんに会ったのは初めてではない

8月の10日あたりに速瀬の水泳の応援に行ったとき

それから、道端であって、話を聞いて欲しいといわれたときもある

そのときは用事があって逃げてしまったが・・・

それからも幾たびか会ったことがある
それから涼宮さんの妹だと知って驚いた

性格違いすぎだろ・・・

そんなこんなで俺たちは、車道と歩道を分断するようなところに立てられている
ポールみたいなところに座って2人の帰りを待っている

茜ちゃんのほうから話しかけてきた

茜「お姉ちゃんのことをふったのって鳴海さんだったんだね」

「えっ?」

いきなりこんな質問をされた

茜ちゃんは、昨日このことを知ったらしい

速瀬のほうからもうそろそろカミングアウトの時期かなということで話された

でもここまで気づかないのもどうかと思うぞ・・・

とりあえず俺は

「そうだ」と答えた

茜「お姉ちゃんのどこが不満だったのかなぁ?」

「不満というのはほとんどない
 ただ、俺は・・・」

そのときは知らなすぎたのである

涼宮さんのことを知らな過ぎたのである

それから友達として4人で仲間でいる間、涼宮さんのことをどんどん知っていった

涼宮さんがひそかにモテているのもわかる気がする

ただ、もう友達となってしまい、そこに線を引いていた

だから、恋愛感情としてみることはできないんだ・・・

それは涼宮さんだってわかっているはず

そのことを、詳しくではないが内容が取れるぐらいに話した

茜「ふ〜ん、まあお姉ちゃんももうちょっとじっくりしていればよかったのに・・・
  いつもはぽーっとしているのに、このときだけはすごく早い決断で・・・
  でも、どうして鳴海さんを好きになったんだろう?」

自分でも思ったことはある、ただ、こうやって言われると悲しくなるものだ

だからといって、自分を弁護するようなことを言うと、ナルシスト的になりそうなので、
何を言おうか考えていた

何も言わないうちに「あーうそうそ・・・ほらほら、そんな悩まないで」

そしてフォローするように

「鳴海さんには鳴海さんのいいところがあるから!」

<会話終了>

ずいぶん嫌なところで会話が途切れたな・・・なんて思っていたが、
良く考えると会話切ったの俺じゃないか

つっても、この言葉の後になんていえばいいんだ・・・

女の子と話すことが1年ぐらい前から若干多くなったものの、恋愛に関する会話には弱い俺

とりあえず、続けることは無理だ

すると急に、

茜「あっそうだ、今日はエイプリルフールなんだよ!
  暇だし、うそでも言い合おうよ!」

テンション高いなぁ・・・

まあ、茜ちゃんは、そういう性格だし


茜「そういえば明日ね、宇宙から宇宙人が侵略しに来るらしいよ!」

「わはは、定番だな!」

なんだか、急に肩の力が抜けた

すごくリラックスした気分になる

なんだろう・・・この心地よい気分は


茜「ほらほら、鳴海さんも嘘言ってよ!」

「あーわかったわかった、って言ってもまだ考えていないんだよ!」

茜「えー、じゃあ、10秒以内に考えて!」

「えっとえっと・・・」

茜「10・・・9・・・8・・・」

「あっそうそう、昨日総理大臣にあったぞ!」

茜「む、もしかしたら本当かもしれないという現実味を帯びた嘘!
  鳴海さんの嘘、レベル高い!」

「・・・?」

これって、レベル高いほうがいいほうなのか?

・・・基準がわからない

茜「じゃあ私、 お姉ちゃんはね、水月先輩と付き合っているってうわさだよ!」

「えっ・・・まじなのか!?」

茜「あーもう・・・嘘の言い合いなんだから、嘘に決まってるじゃん!」

「あーびっくりした・・・」

恋愛ネタできますか?

こういうネタには耐性がついていないから、結構俺には響くぞ!

まぢでビックリしたし

というより、あるはずないか・・・

茜「次、鳴海さん!」

ここで恋愛ネタで来るとは・・・じゃあ俺も一発いってみますか!

「じゃあ俺、 俺さ、茜ちゃんの事好きなんだ」

茜「えっ・・・・
  あ、うん・・・」

ちょっとまて!

何でここで時間が止まったようになるんだ?

どうしたんだ?

【嘘なんかつかないでよもぉ!】ぐらいで返してくれれば一番楽だったんだが・・・

茜「私・・・鳴海さんのこと嫌いじゃないです・・・
  その言葉って・・・付き合ってって事ですよね?」

冗談で言ったつもりだった

というより、会話の流れで嘘を言ったつもりだった

だけどなんだ?

俺は・・・茜ちゃんのことどう思っているんだ?

俺は、考えているうちに心の奥に触れた


こうやって見ると茜ちゃんも可愛い

元気なところが大きすぎるけど、その奥には可愛いところもある

涼宮さんと付き合っているわけでもないから「妹として」のつきあいでもない

そうだよ、何で俺は茜ちゃんと一緒にいるんだ?

そうだ、今、茜ちゃんの隣にいるのは俺が率先して「みててやるよ」って速瀬に言ったからなんだよ
そして、好きでもない人とうそを言い合っていたら、「好き」なんて冗談が出るはずがない

いつも元気なところを見せてくれる茜ちゃん

だけど、いつも一生懸命水泳を頑張る茜ちゃん

茜ちゃんの事が俺の頭の中を駆け巡る

そうなんだ・・俺は・・・茜ちゃんのことを好きになっていたんだよ・・・

俺はもう一度・・・「そうだ、俺は茜ちゃんの事が好きだ」

茜ちゃんは少し悩んだ後、
「はい!鳴海さん、私も鳴海さんが好きです!付き合ってください。」

俺は、ルール違反をしていた

嘘を言うはずなのに、ほんとのことを言っていたんだ


茜は俺に体を寄せてくる

茜「鳴海さん、ズルいですよ・・・こんなときに告白なんて。
  でも・・・ありがと☆」

こんな簡単なことに気づいていなかったんだ


俺は、側にいる茜ちゃんを見て幸せを感じている

俺の側にいて欲しい人は誰なのか、そんなのもわかっていなかった

これは、たった15分の出来事だった


〜その5分後〜 俺たちは手を繋いでいる

そうやってちょこんと二人でさっきのポールに座っている

速瀬「あー!!孝之と、茜!いきなりどうしたの?」

涼宮「えっ、えっ!」

二人は戸惑っている様子だ

特にあせっているのは涼宮さんのほうで、速瀬は一瞬で状況を理解したようだ

速瀬「ふ〜ん、まあ、二人の想いが実ったわけね!」

「・・・?」

速瀬「でー、どっちが告白したの?」

急に耳のところまで赤くなってきた

茜も同じ状況みたいで、止まっている

俺はちょっとだけ手を動かして、自分の方を指差した

速瀬「へぇ〜孝之もやるじゃん!
   ほんと、二人とも結構前から両想いみたいだったのに、やっとのことよね」

「ど、どういうことだ?」

速瀬「孝之なんか、結構前から茜の事好きだったでしょ?
   えっと、クリスマス会とかそんな頃かな?
   詳しくはわからないけど・・・
   あのころから茜の事意識して他のばればれだったよ
   無意識にやってたのか知らないけど、何気に茜の正面か隣の席をキープしてたし
   それに、私たちで出かけるときも結構茜の事気にしてたしね」

無意識って怖い。

でも結局心では茜ちゃんのことを大好きになっていたんだろう

ほんと・・・ここまで好きだったのに、自分ではわからないなんて俺、バカだな・・・

速瀬「茜だって、孝之のこと結構気にしてたし
   出かけるとき茜のほうも孝之のこと気にしている感じだったし
   孝之が来るお出かけの時には毎回予定を微調整しながらも毎回来てたの知ってるわよ
   私たちの学校生活の会話をしょっちゅう聞いてくるときがあったけど、
   結局孝之のことばかり聞いてるんだもん、茜のほうなんか、ばればれだよ」

茜「あっ・・・」

茜はさらに顔を赤くする

速瀬「ほんと、二人とも気づいてなかったんだね、
   でもよかったじゃん、茜も、孝之も」

涼宮さんは少し考えた後、

涼宮「鳴海くん、茜をよろしくね」


俺たちはこれから付き合うことになった

俺はこのきっかけを悪いとは思わない


毎年4月1日になるとあのときのことを思い出して、二人で笑い、赤面する

俺は茜の事が大好きである

中途半端な想いで付き合っているわけでもない

本気で茜の事を好きで、一緒にいたいと思っている

茜も同じ事を考えてくれているだろうか?

それならうれしい


あの時、茜のことを結構知っていると思ったがまだまだ知らないことばかりだった

そしてたくさん知っていくことがあった

まだまだ知らないことはたくさんあるだろう

そのたびに知らなかった茜を好きになっていく


茜は水泳を頑張っていた

そして俺は、仕事をしながら茜の水泳の補助をしていった

茜は全国大会に出場、優勝を果たした

これからも茜は水泳を続けていくといった

茜のオリンピック出場は確実だといわれている

そして茜が19歳になった誕生日、俺のプロポーズで結婚することになった

俺は生涯、茜と歩んでいきたいと思っている

そう伝えたら、茜のほうも「私も孝之とずっと一緒にいたい」といった


今度、4月1日がきたら、なんて話すのかな

愛の言葉を交わすのかな?

エイプリルフールは俺たちの記念日である

うそつきは・・・結婚生活の始まり・・・



―――あとがき―――

一発ネタにしては長いものでしたね
ネタとして書き始めたのですが途中の省略できない部分を記述していくとこんな感じになってしまったわけです


一発ネタとSSの区別・・・最近は難しくなってきました
SSでも最初のころはコレよりも短かったですし・・・
ネタと思ったのものは一発ネタ、SSと思ったものはSSというような大雑把な区別になっています
そうするときっと「アドヴェンチャー」は、SSではなく一発ネタなんでしょうね・・・

さて、今回の作品を振り返ってちょっと無理やりすぎましたかね?
それと、設定自体がオリジナルなので、とっつきにくいかもしれません

というわけで少し設定・裏設定など解説してみましょう
孝之は茜に恋をしていた
それは、一目ぼれとかではない。茜ちゃんのことを知った上で好きになったのである
4人の友達として付き合うようになった、「慎二・水月・遙・孝之」で、
遙と付き合うときには茜がしだいについてくるようになる
最初は茜の事、元気な娘というように見ていたが、茜の事をたくさん知るようになり・・・
といったところです
茜も孝之と同じように、深層心理で好きになっていたのでしょう
で、孝之はいい機会だとばかりにあの時口にしたのです
でももし、茜が冗談としてとっていたらどうしていたんでしょうね?
それはそれで、茜と友達での関係は続けていけると判断したのでしょうか?

「嘘の言い合い」というのも、茜の孝之と話したいという感情から生まれたものなんですよね
ただ孝之と話していたかった茜、
その一方で孝之のほうは多分「何はなしたらいいんだろう」と、ガチガチになっていたのでしょう
好きな人を前に話しかけられず、自分の気持ちさえも心の底に隠し、
知られないように脳だけは冷静にいる

ただ、茜の話により孝之の緊張は一気にほぐれ、いつのまにか自分の感情が出てきそうになっていたのです
そして、「恋愛」という言葉が結びついて、孝之の口から「嘘ではない恋愛の話」が語られたわけです

裏設定はというと、水月のほうはわざと遙との買い物を長引かせていました
本文中にあるように、茜と前で待っているといった孝之
二人にしておいたらもしかしたら・・・なんて考えでわざと長引かせていました
水月の予想がずばり当たってしまったため、かなり驚いたわけです

最後にふれましたが、このタイトル
「うそつきは○○○○の始まり」ですが、これは
「うそつきは結婚生活の始まり」です


ほんと、無理やりすぎましたね・・・
こんなうまくいくはずがないですよね・・・
エイプリルフールということで、許してください




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